飲食店を悩ませる「食中毒」にはどういったものがあるのか

飲食店を悩ませる「食中毒」にはどういったものがあるのか

飲食店の評価を大きく下げることはもちろん、営業停止といって行政処分を受ける可能性もある「食中毒」。 いかに食品を安全な状態で保管し、適切に調理するかを考えていきましょう。


この記事は約5分で読み終わります。

飲食店の評価を大きく下げることはもちろん、営業停止といって行政処分を受ける可能性もある「食中毒」。これには様々な種類があり、感染経路も異なります。いったいどういった食中毒があり、どこから感染が拡大してしまうのかを知っておくことが重要です。また、食中毒防止の食品管理をしていくことも重要です。いかに食品を安全な状態で保管し、適切に調理するかを考えていきましょう。

食中毒には大きく分けて3種類ある

食中毒という大枠のなかに、3種類の分類ができます。それぞれに感染の経路や特徴、予防策が変わるので知識を深めることが必要です。

・微生物によるもの

主な食中毒はこの微生物によるものが多く、いかにこの微生物による食中毒を未然に防ぐかが重要です。微生物のなかには細菌、ウイルス、真菌の種類があり、この中で多くの種類があるのが細菌です。ウイルスは誰もが聞いたことのあるノロウイルスに代表されるもの。真菌はカビ菌に侵された食品ということです。

・化学物質によるもの

厨房内には食器の洗浄のための洗剤や、厨房の調理器具のための漂白剤などがあります。そういったものによって引き起こされるものが化学物質による食品毒です。

・自然毒によるもの

植物性のものと、動物性のものがあります。植物性で有名なのが、毒キノコ。最近ニュースになっているのが、スイセンの葉です。ニラと間違えて食べてしまい食中毒症状を発症してしまったというニュースは記憶に新しいですね。動物性の代表格は、フグ毒。食べてしまうと死に至るほどの強力な毒ですので、ふぐを取り扱う際にはふぐ調理師がしっかりと対処することが必要です。

食中毒を防ぐために必要なポイントとは…

では、具体的にどういったことに気を遣っておけば食中毒を防ぐことが可能なのでしょうか。

・手指の消毒、殺菌

基本ともいえるこの手指の洗浄、殺菌そして消毒ですが、これを徹底することによって相当な数の食中毒原因物質を食材へ混入を阻止することが出来ます。

・卵は調理直前に割る(サルモネラ菌対策)

卵については常に新鮮なものを用意しましょう。長期間の保管は考えず、新鮮なものを冷蔵保管することを徹底することが大事。そして、割りおきをしないことも重要です。殻を割ったあとは速やかに調理をすることを忘れずに。

・加熱すべき食材は十分に加熱すること

肉や卵といった食材については、内部まで火を通すことで食中毒予防につながります。目安としては、中心部が70℃以上になること、そして1分以上加熱すること。

・井戸水をそのまま調理に用いないこと

井戸水が汚染されていることもあるので、井戸水を調理にそのまま利用してしまうのは絶対にやめましょう。井戸水を用いる際は必ず塩素での消毒や煮沸消毒をしましょう。また、飲用に適しているかどうかの水質検査も受けることをお忘れなく!

・大量に前日調理をしない

当日の調理作業がラクになるように…と、前日に調理を済ませておくことを考えていませんか?先日調理による食中毒が認められているので、前日に大量に仕込みをしておいた料理を提供することは危険です。

・室温で保管しない

室温での保管では、最近の繁殖がどんどん進み汚染されていまいます。一度熱を通せば大丈夫と思っている方も多いですが、そんなことはありません。熱に強い菌がいますし、中には酸素のない状態でも仮死状態となって、酸素が戻った途端に活動をまたはじめるような最近もあるので気を付けましょう。室温での保管は避け、冷ましたあとは速やかに小分けにして冷却をするようにしてくださいね。

・膨張した缶詰・真空パックは食べない

真空パックや缶詰が膨張している場合は大変危険です。中で菌が繁殖している可能性があるため、こういった食材は必ず廃棄するようにしてください。

・切り傷・化膿傷のある人は調理作業に従事させない

食品に直接触れるようなセクションで、切り傷や化膿した傷のある人を作業させてしまうと食品が汚染されます。また、傷に存在する菌は熱に耐性があるために、「炒めるから大丈夫」などといった考えではNGです。

猛威を振るうアニサキスによる食中毒とは…

近年段々と増えているのが、アニサキスによる食中毒です。芸能人もその症状を発症し、「大人も泣くほどの激痛だった」と述べています。アニサキスによる食中毒は、魚介類を扱う飲食店であれば考えられるリスクのひとつですので、対処法をしっかりと把握しておく必要があります。

アニサキスは寄生虫の一種であり、幼虫が猛威をふるっています。サバやイカといった魚介類に広く分泌しており、主に内臓に寄生しているのですが、寄生した魚介類が死んでしまうと筋肉に移動してさらに成長を続けると厚生労働省が報告しています。
胃に刺入する場合は胃の激しい痛み、それによる嘔吐が症状として現れます。腸にアニサキスが潜入した場合は、激しい下腹部痛に襲われるため、どちらも恐ろしいですね。
対策として、加熱しての提供を心がけることが挙げられます。70℃以上の加熱でアニサキスは瞬時に死滅するので安心ですね。また、刺身のように生で提供する際には一度冷凍保存(マイナス20℃で24時間以上)することでアニサキスの感染性を消失させることが出来ます。

いかがでしたか?飲食店ではあってはならない食中毒。しっかりと予防、対策をしておきましょう。