飲食店でのスチーム調理についての基礎知識

飲食店でのスチーム調理についての基礎知識

スチーム(調理)とは水を加熱した湯気の温度で調理する方法で、湯気で加熱するため食材の乾燥を防ぎながら調理できます。 また油を使わない調理方法ですから、ヘルシー志向にも対応しやすく需要の高い調理方法だといえます。調理従事者の負担も少なくなることも多いので、段階的にスチーム調理を取り入れてもいいでしょう。


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スチーム調理ってどんなこと?

スチーム(調理)とは水を加熱した湯気の温度で調理する方法で、湯気で加熱するため食材の乾燥を防ぎながら調理できます。
スチーム調理に向いた食材は淡白なもの(鶏肉、魚介、あくの少ない野菜)になります。
逆に臭い強い肉などはスチーム調理した際に臭いが残ってしまいうので向いていません。
また、スチーム(蒸す)という調理方法は途中で味付けができないので、先に下味をつけておくことや、調理後にタレをつけて食べることが多くなります。

スチーム調理することのメリット、デメリット

スチーム調理のメリットとしては、「素材の味や形を生かした調理法」であること、水で浸して煮るわけではないので「水溶性の栄養素を逃がさない」こと、また油を使用して焼いたりあげたりするわけではないので、カロリー摂取を抑えられ「ヘルシーな料理を作ることができること」、水分や脂分の流失を防ぐことができるので「仕上がりがしっとりふっくらジューシーになること」などが挙げられます。
また、水で茹でたものよりも水っぽくならないため保存がきくこともメリットとして挙げられます。そして、「ゆで調理」よりもスチーム調理のほうが短時間・低コストで調理できることもわかっています。

調理することに比較的手間がかからないこともメリットだといえます。工程は野菜や肉などを切ってスチーム調理器に入れるだけなので、特殊な技能などを必要とせず調理従事者の経験を問いません。電子スチーム調理器の場合はコンロの場所を取らないこともメリットです。しかし、置き場所はとってしまうので、その点はデメリットにもなります。

その他デメリットとしては焼き調理と比べると時間とコストがかかってしまうことがあることや、1度に大量に調理することに向いていないこと(調理器具によります。大きめのスチーム調理器を導入している場合やスチームコンベクションオーブンでは庫内の温度を100度以上にできるので大量調理に向いています。)などが挙げられます。

鍋でのスチーム調理方法

スチーム調理器(電子蒸し器、スチームコンベクションオーブンなど)がない場合でも簡単にスチーム調理は取り入れられます。問題点として、使用する鍋の容量が限られるため1度に調理できる食物の量が限られてしまうことが挙げられます。
深めの鍋に水を入れる(深さは大体3~5cmほど、蒸している間に干上がらないように)鍋に入るサイズの金属製やシリコン製のざるに食材を入れて鍋にセットする、そしてフタをして沸騰させて調理するという流れですね。ここでフタを少しずらして調理すると鍋の中の温度が100度以下(70度~80度くらい)になり、より野菜などの栄養素を逃しにくいとされています。

導入・維持・管理には手はかかるのか

導入の費用などは様々です。手軽に挑戦できるものではフライパンでも蒸調理ができるプレートが販売されています。少量の食材をすぐにスチーム調理したい場合は便利です。
また、コンロに乗せて使用する2段~数段に仕切られている鍋の形状のスチーム調理器や電子スチーム調理器などは比較的導入しやすいかと思います。
電子スチーム調理器は調理方法も大変簡単になっていて、タイマーをセットするだけでその場を離れても安全に調理をすることができます。調理の手間、時間短縮には効果的です。
また多段に分かれている場合が多いので1度に調理できる食材の量は多くなっています。

ここまでの器具は比較的維持・管理では難しい部分はなく、洗浄もしやすい構造になっているものが多いため調理経験者でなくても取り扱いがしやすくなっています。
業務用で導入されることが多くなってきているスチームコンベクションオーブンでは管理に多少気を使わなければいけません。

スチームコンベクションオーブンでのスチーム調理をした場合のお手入れ

・スチームタンクの水の排水、洗浄
・オーブンのスチームを出すための管に残った水分の排水などをする必要があります。
より長く故障なく使用するために、また古い水分を残してしまうことは衛生的にもよくありませんので、日々の手入れを忘れずにしていただきたいところです。

利用してできること(スチームコンベクションオーブンについて)

・一般的なスチーム調理としては蒸し料理ができるということですが、スチームコンベクションオーブンを利用することで、できない調理方法はないといえます。焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるすべてが水蒸気や熱風を送ることで調理方法が可能になります。
しかし、できることが多いことから、熱風とスチームを個別に使って調理する場合、同時に使って調理する場合など使用方法が複雑なため、使いこなすことが難しく基本の操作を抑えることが重要になってくるのです。
メーカーに相談するなどして、メニューに組み込む際や調理従事者への説明など、しっかり勉強しておくことが必要です。

いかがでしたか?スチーム調理は身近で採用しやすい調理方法です。また油を使わない調理方法ですから、ヘルシー志向にも対応しやすく需要の高い調理方法だといえます。調理従事者の負担も少なくなることも多いので、段階的にスチーム調理を取り入れてもいいでしょう。本格的にスチームコンベクションオーブンでのスチーム調理をする場合は相応の維持管理費がかかりますが、調理の幅を広げることや、調理の効率化の部分では大きな期待を持てる調理器具です。
できること、使用方法、故障時の対応など理解し、調理従事者への指導も含め上手に利用しましょう。