奇をてらったようなデザインは本当にだめ?飲食店の外観について

奇をてらったようなデザインは本当にだめ?飲食店の外観について

飲食店の「中」で働いているとしばしば忘れてしまいがちなのですが、外を通りかかる「お客様予備軍」にとってはお店の外観も非常に重要です。「たまたま通りかかったから」「仕事に行くときにいつも通っているところにあるお店だから、気にはなっていた」という人を、お店のなかにまで招くためには、「外観のデザイン」がとても大切です。


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飲食店の「中」で働いているとしばしば忘れてしまいがちなのですが、外を通りかかる「お客様予備軍」にとってはお店の外観も非常に重要です。現在はインターネットでクチコミやそのお店のホームページを見られるため、「中」の情報も手に入れられやすくなりました。

しかし、「たまたま通りかかったから」「仕事に行くときにいつも通っているところにあるお店だから、気にはなっていた」という人を、お店のなかにまで招くためには、「外観のデザイン」がとても大切です。

今回は、お店のデザインについてお話していきます。

ファサードの基本と大前提

お店の外観は、「ファサード」と呼ばれます。これは「façade」と表記されるフランス語です。本来の意味は「建物の正面」という意味ですが、飲食業界では「そのお店の外観全体」といった意味合いで使われることが多いようです。

お店の外観は、お客様がそのお店を訪ねたとき、まず真っ先に目にするものです。お客様は、料理を食べるより先に、スタッフと顔をあわせるより先に、お店の外観を目にすることになります。

インターネットで口コミやメニューを調べて、「このお店の料理を食べたい」と考えて来店した人の場合、外観がたとえ多少好みでなかったとしても、お店のなかに入ってくれるでしょう。

しかし、「通りがかり」「食事をとるために車を走らせていた」という人にとっては、お店の外観は大きな情報源です。営業しているかしていないかわからないお店、外観がとても汚いお店などからは足が遠ざかってしまうでしょう。

ファサードを作るうえで大切なのは、まずは「料理の雰囲気と合っているかどうか」を考えることです。もちろんファサードに正解はありませんし、現在はあえてお店と料理の方向性を変えているところもありますが、基本の考え方は「料理との調和」です。

また、「どんな風に食事をさせたいか」を意識することも大切です。お茶をすることを前提としたお店ならば少しメルヘンチックな外観でも受け入れられますし、コンセプト居酒屋などはそのコンセプトにあった外観が求められます。和食のお店ならばひのきなどを使ってもよいでしょう。

「お店のなかが見えるようにガラス張りにする」という考えと、「落ち着いた雰囲気で食べてもらいたいので、あえて壁などを作り、外からは見えないようにする」という考えは、どちらが正しい、とは言い切れません。

ただ、気軽に来ていただきたいのであれば、ガラス張りで可視化するのもよいでしょう。反対に「隠れ家」のようなイメージで食べさせたいのであれば、店のなかを見せないという方向にかじを切るのが一般的です。

もちろん、「開放的な空気」と「隠れ家的な雰囲気」を両方バランスよく混ぜ合わせることも可能です。建築デザインを担当する人に、自分の求める方向性をしっかり伝えるようにしましょう。

チェーン店のメリットについて

ファサードを考える一つの例として、「チェーン店」を取り上げましょう。
現在、和食・洋食・中華、さまざまな分野でチェーン店が活躍しています。

これらは、ファサードの面から考えても非常に興味深いサンプルです。

チェーン店は、多少のバリエーションはあるものの、そのほとんどが同じ形です。これによって建築にかかるコストを下げることができます。そしてそれに加えて、「同じ外観であること」「同じ店であること」をお客様に伝えることができます。

チェーン店の料理は画一的ですが、その分当たりはずれがありません。「特別な日ではない」「家に帰って作るのが面倒だ」という人は、見慣れたファサードを持つチェーン店に足を運ぶことでしょう。もし仮にチェーン店がそれぞれまったく違うデザインだったとしたら、「名前は一緒だけど、違うお店みたいだな。値段の相場も味もわからないし、やめておこう」と思う人もいるかもしれません。

このように、「外観」は、集客力にも大きな影響を与えるのです。

奇をてらった外観は本当にダメなのか?

飲食店の外観を話題に取り上げると、しばしば「奇をてらったような外観はダメだ。落ち着かないからリピーターが寄り付かない」という意見が出てきます。

これはたしかに一理あります。落ち着いた食事をとりたいと考えたとき、外観が原色で埋め尽くされたお店などには足を運びにくいでしょう。

ただ、奇をてらった外観のお店が必ずしも悪い、というわけではありません。

観光地にあるお店などは、それほどリピーターを重要視しません。お客様のほとんどが「一度来て終わり」だからです。このようなところでは、ほかのお店と差別化できるような個性的な外観が生きてきます。また、個性的な外観のお店はそれだけで話題性がありますから、ツイッターをはじめとしたSNSを利用した宣伝効果も期待できます。

いずれにせよお店の外観は、「通った人を店内に招き入れられるかどうか」を決める非常に重要なファクターです。
一度建ててしまうとリフォームにはお金がかかりますから、よく考えて組み立てましょう。