飲食店での「子どもお断り」許されるのか、するべきか

飲食店での「子どもお断り」許されるのか、するべきか

「子どもお断り」の看板を掲げて営業をしていきたいのであれば、そのリスクとメリットを知らなければなりません。それについて見ていきましょう。


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飲食店の形態は実にさまざまです。子どもやファミリーをターゲットとした飲食店もあれば、「大人の隠れ家」のようなかたちをとっている飲食店もあります。この2つは、どちらも良い・悪いで区切れるものではありません。

ただ、「子どもお断り」の看板を掲げて営業をしていきたいのであれば、そのリスクとメリットを知らなければなりません。それについて見ていきましょう。

法律的にはまったく問題がない

しばしば、「子どもお断り、を掲げるのは差別であり、法律違反なのではないか」という論調を目にすることがあります。しかし、店側が「子どもお断り」の看板を掲げたとしても、それが法律違反に問われることはまったくありません。

なぜなら、基本的には、店側とお客側の関係は対等であり、その契約に基づいてサービスが提供され、対価としてお金が支払われるからです。公共の利益に関する業務の場合は、「お客が気に食わないから断る」ということに制限が生じる場合もありますが、飲食店はこのような性格のものではありません。そのため、自由に「子どもお断り」を掲げることができます。

また逆に、子どもが店のなかで走り回っており、ほかのお客様に著しい迷惑をかけた場合は、店側は「正常な状態で、清潔な料理を出すこと」を守るために、その子どもや保護者に注意をする義務を負います。

子どもお断りを掲げるメリットについて

「子どもお断り」を掲げるメリットについて考えていきましょう。

「すべての大人が、子どもよりも行儀がよい」とまでは言いませんが、子どもとは違い、大人は泣き喚いたり、大声を出したりする可能性は極めて低いと言えます。そのため、静かな店づくりができるでしょう。
「子どもの金切り声を聞きたくない」
「静かな空間のなかでゆっくりと食事をしたい」
と考える人にとっては、このような「子どもお断り」のお店は通いやすい店になる、と言えるでしょう。

また、高い食器を扱っていたり、高い調度品を置いていたりする飲食店でも、「子どもお断り」を掲げている店は多いと言えます。このようなお店の場合、子どもが食器を割ったり調度品を破損させたりすると、大きな騒ぎになるからです。以前の記事でも触れましたが、お客様が食器や調度品を壊したとしても、その損害賠償を請求するという飲食店は極めて少ないと言えるでしょう。このため、「壊れたら困るものが多いので、そもそも子どもは店に入れない」とするのは、ごく当然の判断だと言えます。

さらに、「ビジネス街にある。安いランチを打ち出しているので、一つひとつの利益は決して多くない。回転率で勝負したいのに、『昼休み』という時間制限があるビジネスマンとは違い、子連れのお客様がいつまでも席を占めていて困る」というようなケースもあるでしょう。これによって、入れないお客様を断ることが続けば、そのお客様はほかのお店に流れていってしまいます。

「子どもお断り」を掲げることにより、これらのメリットが得られます。

子どもお断りを掲げるデメリット

ただし、「子どもお断り」を掲げることには当然ながらデメリットも存在します。
まず、「家族」という広い層を断ることによって、お店の収益が落ちてしまうということ。この「落ちた収益」は、「子どもお断りのお店だからこそ行く」という層で挽回ができる、という考えもありますが、一時的に収益が落ちる可能性はあります。

人や店によっては、「子どもに冷たい店だ」というクレームが寄せられる可能性も少なくはありません。また、「子どもが大きくなっても、冷たく断られた店には行かない」と考える人もいるため、この点にも注意が必要です。

子どもお断りを掲げる場合は明確な基準を持とう

「子ども」と一口にいっても、それぞれ性格はまったく異なります。
しっかりと躾けられており、お行儀もよく、騒ぐこともない子どももいれば、大声でわめき、料理に文句を言い、走る子どももいます。
ただ、「子どもお断り」を掲げるのであれば、その子がどんな子でも、一律してお断りすることが大切です。

「あのお客様の子どもは小さい頃から常連で、お行儀もよいから」と通していても、ほかのお客様から見れば、「あの子はいいのに何で?」という印象になります。このような特別扱いは、単純に「子どもお断り」を掲げているとき以上に、クレームの火種となります。

また、何歳からOKなのかもきちんと決めておきましょう。未就学児童がだめなのか、小学生以下がだめなのか、15歳以下がだめなのか……。この点についてはしっかりと線を引きます。「4月から小学生なのに」「来月お誕生日なのに」と言われたとしても、特例は認めてはいけません。

また、「子どもお断り」を掲げるのであれば、その旨はホームページや看板に書いておきましょう。多くのお客様が予約客であるような高級店ならばホームページを見られることも多いかと思いますが、一般的なイタリアンや定食屋(特にランチをやっているところ)は、表の看板に書いておいた方が、子連れのお客様もそのお店を避けることができます。