料理をより美味しく見せるため、そして店全体の良い印象をお客様に与えるために必要なのが効果的な照明器具を設置することです。料理を美味しく、店内で快適に食事を楽しんでもらうために、照明器具の種類とその特徴、有効的な活用方法を知っておきましょう。
扱いやすさは一番の「白熱電球」
照明といってはじめに思い浮かべることになるのが白熱電球です。その魅力はなんといっても、初期投資の安さ。ただし、気を付けるべきなのは熱。灯りを付けると段々と電球そのものはもちろん、周囲にも熱を持ちます。手が届く範囲に白熱電球を設置してしまうと大変危険ですので、照明の位置(高さ)には十分に気を付けておきましょう。
消費電力の少ない「蛍光灯」
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも利用されている蛍光灯。大変照度があり、広い空間を一気に照らすことが出来るのが魅力といえます。店内の明るさをある一定程度は確保したい場合は、蛍光灯でしっかりと明るくすることが可能です。ただ、蛍光灯の灯りは温かみがあるというよりも、事務的な光だと感じる人が多いのが事実。従業員のロッカールームやバックヤードといったような場所に向いているでしょう。
一番オススメなのが、厨房内です。どんなにムードの良い飲食店だとしても、厨房内は明るさをきちんと確保しなければなりません。調理中の衛生的な観点からも、照度を十分にとる必要がある厨房こそ、蛍光灯を利用してみるのはいかがでしょうか。
メンテナンスが不要の「LED電球」
長寿でかつ、節電に効果があるといわれるLED。もちろん、飲食店の店舗にも照明として利用することが可能です。LED電球の寿命は長いものでは約10年ともいわれているので、ランニングコストを考えると電球そのものの購入に多少お金がかかったとしても将来的にコストを抑えることが可能です。買い替える必要がないということは付け替える必要もないということになります。電球切れをこまめに気にすることがなくなるのは、安心ですよね。店舗の管理を行っていくうえで、照明の取り替え(電球の買い替え)が不要というのは大変助かることでしょう。
ただ、LED電球は照度が若干物足りないという声がよく聞かれます。飲食物をしっかりと照らすことが出来なければ、店の印象が大きく変わってしまいます。メインで使用する照明にLEDを導入する際は、明るさが適しているかどうかを確認しておくことが必要です。
飲食店の印象を左右するのは、“照度”
薄暗い店内で、提供した飲食物さえまともに見えないようですと問題ですよね。ただ、目がチカチカしてしまうほどの明るさがあると、それはそれで目の負担になりますし、盛り付けた料理が綺麗に見てもらえなくなってしまいます。そこは照度が大きく関わってくる問題です。
商業施設における明るさといった項目は、日本工業規格(JIS)で基準が定められています。JIS規格によると、1平方メートルあたりの照度をルクスという単位ではかり、スーパーマーケットのような明るい空間は1000ルクス、明るめの店舗だと2000ルクスにも上ります。
飲食店の照度基準として、廊下や階段は200ルクス以下で推移しているものの、食卓や調理室は300~700ルクスで推移しています。(JIS Z9110-1979)食品をより新鮮に、そして美味しく見せるためのサンプルケースは、照度はなんと800~1500が基準とされているのです。飲食店と一言でいっても、照度の基準は玄関や待合室、廊下や調理室そしてサンプルケースといった場所によって様々だということがわかりますね。いかに、場所に適した照度を確保するか…ということが大変悩ましい問題です。
店の雰囲気をイメージして、色温度も大事に!
明るい南国のような店内にするにしろ、ヴィンテージ風のカフェにするにしろ、照度と同じく重要になってくるのが色温度です。照明には赤みがかった白い色や、青っぽいようなパキっといた白い色があることでしょう。そういった照明の色みにも気をつかって選定することをオススメします。温かみを出したいのであれば、色温度は高めの赤やオレンジ、黄色の照明をふんだんに使うと良いでしょう。どこかホッとするような灯りが色温度の高めなものになります。
照明の配置はもちろん、設置する場所だけではなく色温度や照度にも気をつけて照明の選択をしていくことが、飲食店の成功を握っているのです。
いかがでしたか?単純なようで奥が深い店内の照明。明るさそのものについて熟考して配置することはもちろん、コスト面でも考慮して無理のない設置をする必要があります。様々なバリエーションを考え、自分のコンセプトとしているお店に近付けるためにも様々な種類、色みの照明を組み合わせて設置してみてはいかがでしょうか。