飲食店で出すべきウォッシュチーズの種類とは?

飲食店で出すべきウォッシュチーズの種類とは?

ウォッシュチーズは、飲食店で出すのはなかなか難しいチーズだと言えます。それは、ウォッシュチーズの持つ特性を知ればわかります。まずはこれを踏まえつつ、飲食店で扱いやすい種類について見ていきます。


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ウォッシュチーズは、飲食店で出すのはなかなか難しいチーズだと言えます。それは、ウォッシュチーズの持つ特性を知ればわかります。まずはこれを踏まえつつ、飲食店で扱いやすい種類について見ていきます。

ウォッシュチーズは非常にクセがある

ウォッシュチーズは、人によってはブルーチーズよりも食べにくさを感じるものでしょう。

ウォッシュチーズの表面は、塩水などを使って洗われています。(ブランデーを代表とするお酒を使う場合もあります)この「洗う」という工程を経ることから、「ウォッシュチーズ」と呼ばれるようになりました。

このため、外側の皮は非常に強く、そして独特のクセを持ったものとなります。また、ウォッシュチーズ自体が「リネンス菌」と呼ばれている菌の働きを借りている、というのも、この「匂い」に拍車をかけています。リネンス菌は枯草菌の一つと考えられており、納豆菌の親戚でもあります。納豆のあの強烈な香りをイメージすれば、ウォッシュチーズの匂いの強さも想像できやすいのではないでしょうか。

固い外側の皮に包まれた内側は柔らかいものが多く、とろりととろけてくることもあります。中身はたしかに外側に比べると柔らかい味なのですが、外側の香りが鼻孔を満たすこともあるため、白かびチーズやセミハードチーズよりは食べにくいものとなっています。

このため、ウォッシュチーズは基本的には非常に「玄人向きのチーズ」に仕上がっている、と考えなければなりません。ワインを出しているところなどは良いのですが、一般的な居酒屋でウォッシュチーズを使うのはかなり冒険だと言えるでしょう。また、料理に使用する際は慎重に使わなければなりません。(基本的には、あまり料理に使われるチーズではありません)

飲食店でも使いやすいウォッシュチーズを選ぶなら

このような特徴を踏まえて、飲食店でも使いやすいウォッシュチーズを紹介していきたいと思います。

まず、「キュレ・ナンテ」。これはフランス・ブルターニュ地方で生まれたチーズです。「ナンテ」は「ナント」という街の名前、「キュレ」は「司祭」という意味を持つ言葉です。フランス革命が起こったときにその騒乱から逃げ落ちてきた司祭が作ったのがその発端とされています。

ウォッシュチーズの定番である塩水で洗って作られるのですが、そのときに使われている塩は、「ゲランドの塩」というとても有名なものです。また、キュレ・ナンテの一種である「キュレ・ナンテ・オ・ミュスカデ」は、ミュスカデという白ワインで洗って作られているものです。キュレ・ナンテの方はほのかな潮の香りを、キュレ・ナンテ・オ・ミュスカデは白ワインの柔らかい香りをまといます。

このチーズの特徴は、「ウォッシュチーズでありながら、非常に食べやすい」ということです。ウォッシュチーズの内部はとろりととろけたような形をとることも多いのですが、キュレ・ナンテの場合はむっちりとした弾力のある形を取ります。そのため、技術のない人であっても切り分けるのが簡単で、技術のないスタッフでも供しやすいでしょう。

味わいも非常にマイルドで、優しい味わいです。初心者さんでも食べることができるウォッシュチーズですから、一つはこれを入れておきたいものです。

ワインがメインのお店なら扱ってみたいのが、「モン・ドール(「ヴァシュラン」という名前で呼ばれることもあります)」です。これはフランス~スイスの国境あたりで育てられるチーズです。チーズの名前は、これが育つ場所である「モン・ドール(黄金の山)」と同じです。

これは、一つの目玉として供することのできるチーズです。なぜならモン・ドールは「期間限定の」チーズであるからです。モン・ドールが食べられるのは、8月15日から3月15日までの間です。1年のうちの7か月間しか出回らないチーズです。7か月というのは1年の半分以上ですが、「期間限定チーズ」「この時期にしか食べられないチーズ」のような形でキャンペーンを打ち出しやすいでしょう。

またこのチーズは、ウォッシュチーズのなかでも非常に柔らかく、スプーンですくって食べることになります。そのため客単価は上がりやすいのではないでしょうか。とても濃厚な味ですが、食べにくさはそれほどでもありません。出すときには、「表面は食べられない」ということを伝えてください。

「ありきたりなウォッシュチーズではだめだ!」というワイン専門店などでは、「マロワル」を選ぶのもよいでしょう。フランスのディエラッシュ地方で生まれたもので、非常に強い方向を放ちます。また、味もとても濃厚です。その旨味は長く後を引きます。

このマロワルは、軽い白ワインやカクテルではなかなか受け止めきれません。タンニンを強く感じる赤ワインと合せる、まさに「玄人向けのチーズ」です。
出せる飲食店は限られるかもしれませんが、お店ではあまり見ないチーズのため、インパクトはバツグン!

系統の違う3種類のチーズを挙げてみました。自分の店に合うものを選ぶとよいでしょう。