衛生検査とは、各地域の保健所が飲食店に対して行う「食品衛生監視指導」のことを言う。食中毒など飲食店で食事をしたことが原因で衛生上の危害が起きることを防止するため、保健所は飲食店に対して「衛生検査」を行うこととなる。
衛生検査の方法には大きく分けると2つあり、「収去検査」と呼ばれる食品そのものの検査と「立ち入り検査」と呼ばれる飲食店の設備や管理体制に対する検査である。どちらの検査も基本的には事前に飲食店側に連絡をしてから行われる。しかし来店客や近隣住民からのクレームなどが保健所に伝われば、臨時的に抜き打ち検査として予告なく検査が行われるケースもある。
保健所が行う検査は法的拘束力がないため、飲食店側が検査を拒否することもできる。しかし拒否した場合はその事実が会社名や代表の名前と共に一般に公表されてしまうこととなる。公表されればその飲食店が「保健所の検査を拒否したお店」だということが知れ渡り、イメージは下がってしまう。こういったデメリットがあるため、基本的には保健所が行う衛生検査はきちんと受けておくべきだと言える。
すぐに改善できるような問題であれば、口頭で注意を受けて再検査を行うことになる。しかし改善されない場合や検査で重要な問題が見つかった場合は「行政処分」を受ける可能性がある。営業停止や営業許可の取り消しなど問題の重要度に応じて処分が決まる。この処分は検査そのものとは違い法的な拘束力を持つものである。そのため、拒否をすると罰せられる可能性もある。
衛生検査そのものは、飲食店にとってはきちんと管理していることを示せばデメリットのある事ではない。きちんと衛生管理について勉強し、実施をしていれば問題が起きることは少ない。特に小規模で1店舗の経営の場合は、衛生管理は自分でチェックシートを作り、設備のチェックや食材の衛生管理に努めていれば十分である。
しかし複数店舗を経営している場合や規模が大きい飲食店だと、全店舗の衛生管理が行き届かない場合もある。そのため、衛生管理について業者へ委託するケースがある。厨房の衛生マネジメントサービスや衛生管理センターなどに委託すると、厨房や料理の衛生状態をチェックし、改善点が無いかどうかを管理してくれるというサービスである。
どの方法を取って衛生管理をするかは店の規模などによって変わってくるだろう。いずれの方法であっても、しっかりと衛生検査に通るように日ごろから厨房や料理、店内の衛生に気を配っておくことは飲食店経営者として非常に重要なことである。