FLコストとは、飲食店を経営する上で非常に重要な指標のことである。「food and labor cost」の略称であり、材料費=Foodと人件費=Laborの合計を表すものである。プライムコストとも呼ばれる。飲食店における経費のうち、多くの割合を占める材料費と人件費はある一定までは節約することができても、カットすることはできない種類のものだ。そのため、飲食店における利益は売り上げからFLコストを差し引きし、家賃や光熱費等の経費を支払い残ったものになる。
安定した店舗経営を続けていくためには、このFLコストの管理が必要不可欠である。FLコストを引き下げれば、利益率は高くなり、短期的な利益は多くなるだろう。一方で、FLコストの引き下げによって食材の質を落とす・過度の人員削減を行うなどした場合には、他店との競合に負けてしまう可能性もある。経営上の努力としては、目先の利率を見るのではなく長期的な視点でFLコストを安定的に運用していくことである。廃棄食材を減らす、勤務シフトの見直しと言った細やかな努力がFLコストを下げることにつながると言える。
店舗の売り上げのうち、このFLコストが占める割合を示したものがFL比率と呼ばれるものである。FL比率のうち、適切だと言われている数値は約60%。飲食業界であってもさまざまな業種があるため、平均を取れば55〜65%である。
地域によっては食材の販売価格が高いこともある上、特別なスキルを持つ人員を確保したいと言うような希望があるケースもあるだろう。こういった店舗経営におけるこだわりがある場合には、必ずしもそれを無視してFLコストの運用だけに注力する必要はない。あくまでもひとつの指針として、FLコストの増減をチェックしておくことは大切だと言える。