飲食店は建築物の中でも「特殊建築物」と呼ばれる部類に入る。その他にも学校や体育館などの不特定多数の人が利用する建築物のことを「特殊建築物」と呼ぶ。
飲食店の開業をする際に気を付けておきたいのが、飲食店は「特殊建築物」に部類されるため様々な建築基準が通常の建築物よりも厳しくなっていることである。火災などが発生した際に不特定多数の人が使う特殊建築物の場合は被害が大きくなる可能性がある。そのため、工事や設備の設置基準は厳しくなっている。
飲食店の建築制限は以下のようになっている。
防火地域…耐火建築物は制限なし・準耐火建築物は2階以下で100㎡以下・そのほかの構造の建築は不可
準防火地域…耐火建築物は制限なし・準耐火建築物は2階以下で1500㎡以下・そのほかの構造は2階以下で500㎡以下
その他の地域…耐火建築物は制限なし・2階以下で3000㎡未満・2階以下で3000㎡未満(2階が500ml未満)
防火地域とは密集した地域で特に防火に気を付けるべきだと定められた地域。市街地や線路沿いのエリアなどが当てはまる。準防火地域とは防火地域に次いで密集しており、火災に気を付けるべきだと定められた地域である。自身が飲食店を開業しようと考えている地域はどの地域に当てはまるのか確認しておこう。
居ぬき店舗など以前に飲食店など特殊建築物として使われていた場所なら、すでに建築制限に対応した造りになっている。そのため基本転機には特に特別な工事をする必要はない。開業の際に消防署でどのような手続きが必要かを問い合わせておけば、その際に基準に合致する建物かどうか点検をしてくれる。必要な届出の種類については店舗の規模や収容人数によっても違うのできちんと問い合わせよう。
また、飲食店の内装工事をするにあたって、特殊建築物の場合は工事の確認申請をしなければならないケースがある。申請が必要な規模の工事になる場合は、工事業者が手続きを行ってくれるケースもあるが、一度確認しておくべきである。また、事務所から飲食店に用途を変えるといった「用途変更」を行う場合も確認申請が必要となる場合がある。
内装工事の確認申請についてや、防火地域の基準は地域によってもルールが変わることがある。そのため、詳しい手続きなどについては消防署や役場など開業をする地域の行政に問い合わせなければならない。これから飲食店を開業しようと考えている方は「飲食店は特殊建築物なので建築に制限があり、工事の際は確認申請を行う必要がある」と覚えておくといいだろう。