
■株式会社FS.shakeは、2025年3月に「麺屋 音」を運営する株式会社天翔を、翌月の2025年4月末には「串亭」を運営する株式会社リアルテイストをそれぞれ買収しました。まずはこの2件のM&Aについて目的をお聞かせください。
遠藤)当社の成長はマルチブランドを展開する戦略によってもたらされているので、常に新しい業態での展開を模索しています。ただ、私一人で考えられる業態には限界があり、どうしても傾向が似てきてしまうところがあります。そこで、2件のM&Aを通して全く異なる文化やノウハウを持つ企業を取り入れ、新しい価値を生み出していきたいと考えていました。
具体的にお話していくと「株式会社天翔」の買収については、我々が過去にラーメン事業で失敗した経験があったため、ラーメンについて多くのノウハウを有していてブランドとしても魅力的な企業を仲間にしたいという背景がありました。
もう一つの「株式会社リアルテイスト」については、当社にはない客単価6,000円ほどの中価格帯の串揚げ業態を運営しており、事業ポートフォリオの多様化を図るのに最適だと考えて買収を行いました。
■遠藤社長にとっては初めてのM&Aとなりました。大変なことはありましたか?
遠藤)会計システムの統合・会社規則の練り直しなどを含め、異なる文化が統合していくため、やるべきことが非常に多く発生しました。
まずは買収した2社ともに、スタッフの待遇向上に着手しています。各社のスタッフに「FS.shakeの社員になって良かった」と思ってもらうためには、待遇改善は最も重要な要素であると考えたためです。ありがたいことに、現時点では両者ともに社員の離職がほとんどない状態になっています。
■待遇面の改善以外に、M&A実行後に取り組まれたことはありますか?
遠藤)株式会社リアルテイストでは、メニュー設計の改善を行いました。仕入れの一つ一つを細かく分析し改良を加えていくことで、原価率の改善を早期に実現しています。私は元々「串亭」をよく利用していてメニューについては把握していたので、スムーズに着手することができました。また、その結果頑張っている従業員の待遇に還元できるという良いサイクルも生まれています。
株式会社天翔については、メニューのリブランディングを実施し、従来の濃厚の煮干しラーメンからあっさり淡麗なものへ変更を進めています。M&A後の新規出店も順調に進んでいますし、「ラーメン×居酒屋」という新しい業態の開発も行っています。

■ありがとうございます。M&Aでの買収後まだ数か月という段階ですが、早速様々な改善に着手されているのですね。このスピード感は普段の経営から意識されているのでしょうか?
遠藤)はい。当社では経営において何よりもスピード感を意識しています。私の創業期の経験から「出来ることは最短でやろう」という習慣が自分に根付いており、その習慣が派生して会社の組織全体にも浸透しています。例えば、最短で月の下旬のタイミングで実行できることを「キリよく来月から」といった形で先延ばしする行為は禁止しています。これは幹部クラスでも変わらず徹底するようにしています。
スピード感のある行動が根付いているおかげで、業態開発や出店を非常に短いスパンで進めることが出来ています。シーシャの業態については、初めて自分がシーシャを吸って「これはいける」と考えてから3カ月弱ほどで出店まで進みました。
■人材のマネジメントについても特徴があればお聞かせください。
遠藤)エリアマネージャーの評価制度については工夫をしています。当社では店長からエリアマネージャーへ昇格する人材が多いですが、プレイヤーとしては優秀でも、マネージャーになると機能しなくなるケースがあります。その場合は一度店長に戻ってもらい、そこからまた上がるという仕組みを設けています。店長に戻ることで「何が駄目だったのか」を見つめなおし、再度エリアマネージャーになることで前回よりも上手くいくことが多いです。
また、中枢の幹部クラスは叩き上げが多いですね。他の会社では外部からスペシャリストを採用することもありますが、当社のような規模だと文化に合わずうまくいかないことが多いです。外食業界は特に、企業文化との相性が重要だと感じているので、この点は意識して幹部を選定しています。
また、最近では評価制度や待遇面を改善したこともあり、コロナ前と比べて離職率が非常に低くなりました。

■今後のFS.shakeの将来像をお聞かせください。
遠藤)とにかく規模を大きくしていきたいですね。まずは売上100億円を目指し、その後300億、500億、1,000億と伸ばしていくのを目標としています。居酒屋とシーシャ、2つの既存事業を拡大しながら、現在出店していない地方にも展開を進めていきたいです。
また、海外での店舗オープンも進めていく予定です。直近ではフィリピンでの店舗展開も予定しており、先々では東南アジア・中東などの地域にも店舗を拡げていきたいと考えています
■今回インタビューさせていただいた2件のM&Aは、我々M&A Propertiesのコンサルタントが仲介させていただきました。パフォーマンスは如何でしたか?
遠藤)元々M&A Propertiesには新規出店の不動産仲介の面でサポートをしていただいており、その繋がりからM&Aのサポートもお願いしました。非常にフェアな姿勢で接してくれて、価格の交渉などの少し相談しづらい本音の部分にも真摯に向き合ってくれたので非常にやりやすかったです。

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