GYRO HOLDINGS株式会社 中村 英樹氏

GYRO HOLDINGS株式会社 中村 英樹氏インタビュー(前編) 成長戦略としてのM&Aとは

浮き沈みが激しい飲食業界において、株式会社subLimeはあらゆる業態のM&Aを繰り返しながら成長を続けてきました。その後、カフェカンパニーとの経営統合により生まれたGYRO HOLDINGS株式会社は、PAGからの買収を受け入れることで未曾有の危機から脱出。その復活劇の立役者となったのが取締役の中村 英樹氏です。今回は、subLime社と共に走り続けてきたM&A Properties(ナシエルホールディングスのグループ会社)の代表である後藤が、これまでの軌跡を振り返りつつ、今回発表されたPAGからの買収受入の真意に迫ります。前編は、subLimeが成長拡大を続けてきた秘訣と、中村氏がもつM&Aへの思いを伺いました。


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後藤)subLimeとM&A Propertiesのお付き合いも長くなりました。初めてお会いした2009年頃、居抜きで賃料を下げる低予算の出店方法を徹底的にブラッシュアップしたsubLimeの取り組みに、非常に感銘を受けたのを覚えています。

中村氏)初対面でいきなりM&Aの話を持ちかけられて、驚きました。その後は物件のご紹介を多くいただき、2009年当時の約10店舗からお手伝いをしていただいています。

後藤)その後subLimeは積極的にM&Aを繰り返して事業を拡大していきます。M&A戦略を始めたのはどのようなきっかけからだったのでしょうか。

中村氏)2011年に、CFOコンサルティングの鈴木さんという方から、花光(花光雅丸:株式会社subLime創業者)に株式会社RHコーポレーションのM&Aについて相談がありました。様々な理由はありますが、当時subLimeは47店舗で、RHがもつレインボーハットが53店舗。花光が「合計100店舗になるから買おう」と、M&Aを決めたのが最初です。

 

 

翌年の2012年にはM&A Propertiesから和食屋のM&Aのご提案をいただいており、そちらもM&Aが成立しています。

後藤)大手飲食チェーンが運営していた3業態(定食、居酒屋併せて10店舗)の話でしたね。当時subLimeは居酒屋とアイスクリームがあったので、ノンアルコールの定食がハマるのではと思い、ご提案しました。

中村氏)僕たちは自慢じゃありませんが、意思決定は早いんです。そして変なしがらみもなかった。だからそれ以降もM&A Propertiesにご提案いただいたM&Aの案件や、自分たちで見つけてきた案件のビジネスデューデリなどのお手伝いをしていただいて、次々とM&Aを重ねましたね。2011、2012年に続いて2013年に八百八町。これは大きなニュースになりました。

後藤)中村さんの手腕もあり、利益が大きく増えた時期ですよね。

中村氏)それまではほぼ収支は五分五分といった会社だったのですが、成長に転じました。

そして2015年にパートナーズダイニング(北の家族、ザ・ロックアップ等)、2017年にティーケーエス(沖縄料理なんくるないさー、まぐろ人等)。その後小さなM&Aをいくつか挟んで、2019年にカフェカンパニーと経営統合をしてGYRO HOLDINGSが生まれています。その頃にはだいぶM&Aの知識もついていましたので、自分たちで進めた案件も増えていました。

後藤)同業の居酒屋、定食のM&Aが続いていましたが、ここでカフェ業態。どんな狙いがあったのでしょうか。

中村氏)花光の理想を追い求めてM&Aで埋めてきた結果、当時年商は200億ほど。店舗が300を超えたあたりで、これ以上の成長に厳しさを感じていました。これまでのM&Aは買って減っての繰り返しだったので、このやり方に限界が見えてきていたんですね。規模を拡大するために楽だからM&Aという方法を取るのではなく、ここで僕らが入ることでシナジーを生み、さらに事業を伸ばせるというポジティブなM&Aの方向に舵を切る必要があったんです。

 

 

そうした観点で、僕らが持っていないドメインで非アルコール、商業施設に展開していて、クリエイティブで人が集まってくる…そんな会社はどこだろうと考えたとき、カフェカンパニーだと確信したのです。

後藤)いくつかある候補の中からカフェカンパニーに接触したのでしょうか?

中村氏)いえ、たまたま代表の楠本さんとはご縁がありまして、2年ほどいろいろやり取りをさせていただいていました。楠本さんも今後の戦略を考えている中で、元リクルートコスモスの企画職出身の経験を活かして、新業態の企画に専念したいと思われていたそうです。

一方で、私たちは業態を作るのはあまり得意ではないけれど、経営は業務委託を含めて比較的ノウハウを持っています。こうしたお互いのニーズが合致して、一緒に組んでやろうという話がまとまったという流れです。

後藤)subLimeは成長戦略としてM&Aを選択してきましたが、その狙いはどこにあったのでしょうか。

中村氏)いろいろ建前みたいなものはありますが、本音を言えば花光が思い描く未来は遠いところにあって、その最短距離として、一番手っ取り早い最良の手段を選んだということです。花光が語る100億を目指そう、300億を目指そうという目標を実現するのが僕の役割。しかしその目標に対して、理想と現実のギャップを埋めるためのパーツが足りなかったんです。

直営で出店していくだけの人材、物件、業態が足りない。しかしお金はあったので、一番手堅く確実な方法がM&Aだったというわけです。

後藤)投資に対するリターンについて、明確な投資判断をお持ちだったという印象があります。

中村氏)そうですね。基本的にはネットデットを加味して、EBITDAの3倍から高くても5倍までしか出さないと決めていました。正直、将来性がすごくよい業態を買ってきたわけではないと思っているんですよ。例えば、成長が高止まりしている会社や経営者がご高齢で引退を考えているような会社です。なのでどれかの事業が失敗するリスクは十分にあります。

 

 

僕らが考えていたのは、仮に失敗したとしても会社がつぶれないかどうか、手じまいできるかどうかという点です。徹底したコストコントロールで業態を安定させながら、万が一の失敗にも備える。こうした原理原則をしっかり守ってきたことが、負けない投資に繋がっていったのだろうなと思います。

後編は2022年1月公開予定です。

 

 

お話ありがとうございます。
今回、中村さんに『居酒屋ジャパン』のセミナーへご登壇をお願いしたことをきっかけに、この対談が実現しました。

セミナーはどんな内容になる予定でしょうか?

 
 

せっかくの直接お伝えできる機会ですので、
本当はオフレコにしておきたい内容も特別にお話しできると思います。

 
 

このセミナーでしか聞けない内容となっているのですね。
それはとても楽しみです。

 
 

ぜひご期待ください。

 
株式会社ナシエル ホールディングス主催 M&Aする立場からされる立場になった中の人の本音 セミナー