――これまでの経緯を教えていただけますか?
元々は、高校3年生なりたての頃にブログを開設したのがきっかけです。そのブログというのも、当時流行していたようなWeb日記という形ではなくて、完全に美容の口コミを載せるものでした。雑誌の読者モデルという立場ではありましたが、素人が媒体に縛られずにひたすら話題の製品を口コミしていました。それが月間200万アクセスほどになり、多くの方に知ってもらうようになりました。
高校を卒業後、19歳から雑誌「egg」のモデル兼美容ブロガーとして活動するようになりました。コラボ商品の発売や書籍を出版といった活動を続けていて、雑誌の専属モデルというものになったのは25歳の時で「姉ageha」が初めてでしたね。26歳になったころに筋トレを始めています。
――なぜトレーニングを始めようと思ったのでしょうか?
ギャルモデルの世界では、細くて華奢な体型が当たり前とされていて、私もずっと無理なダイエットをして低体重の不摂生な生活をしていたんですね。
その生活を変えたいという気持ちが強くあったので、26歳の時にフィットネスの大会を目指すことになってトレーニングを始めたんです。そのために健康的な食生活にして、お酒も一切やめて、1日に3食から5食しっかり食べる、という食生活に変えました。
韓国の大会に2回目の挑戦の時をしたときに、全クラスで優勝してMVPを獲らせていただいたんです。その時にフィットネスウェアのアパレルブランドも立ち上げて、今4年目になります。
――フィットネスと食生活はどのように関係してくるのでしょうか?
食事が与える体への影響って7~8割くらいあるんですよね。いろいろな種類の運動を試しましたが、どんなに鍛えても、よい食事でよい栄養素を摂っていなければよい筋肉を育てることはできなくなってしまいます。
食事は大事なんですけど、脂質・糖質は抑えたいじゃないですか。欲しい栄養素だけを確実に摂ることを目指さなくてはならない。そうすると、調味料までこだわる必要がありました。使う食材から調味料まで、できる限り加工されていないもので、極力自然に出来上がったものを使う。そして素材の味を生かして調理して食べていく、ということにたどり着いたんです。
私はボディメイクをライフスタイルだと考えているんです。もし2か月間頑張って痩せたとしても、また好きなものを食べる元の生活をしてしまったら、また同じ体型に戻るだけじゃないですか。一時の通過点として目標達成はできると思いますが、長く続けていくということにフォーカスしなければ、結果としては自分のなりたい体型を維持することはできませんよね。
私も減量末期にはしょうがなく茹でただけのお肉とブロッコリーだけしか食べないなんてこともありますが、その時の食事のストレスってものすごいんですよね。やっぱり美味しく楽しく食べたいので、たくさん工夫してきました。無理をするのではなく、ストレスのない状態で我慢せずに楽しみながら、ライフスタイルを変えていくというのがすごく大事だと思います。
――無理なく健康的な栄養を取るのは難しいと思います。そこからこの事業を着想されたのですか?
食に対する意識が変わり始めてから今年で6年目になりますが、事業として始めようと思ったことは正直なかったんです。
言いづらいのですが、ご飯をほとんど食べずにお酒しか飲まないような生活をしていた時期は便秘体質がすごかったんです。痩せていてかわいい姿を目指しているはずなのに、体もお肌もボロボロの状態でした。腸は第二の脳と言われていて、腸内環境が悪いとお肌にもすごく影響してきます。だから自分が健康的に生活するために、体の内側から体質を変えていく必要がありました。何か大きなビジネスにしたいと思って始めたことではなくて、ただ、自分のためにやり続けたことです。
――ご自身のために食に対して工夫されていったのですね。では、デリバリーブランド立ち上げのきっかけはどういうものだったのでしょうか?
ボディメイクについて発信していると、食事をどうしているのかという質問をいただくことがものすごく多かったんですよ。そのような質問に答える意味でも、自分で作った料理のレシピや工夫したポイントなどを発信していたら、同じレシピで作りました!などとたくさんの反響をいただくようになりました。
元々料理教室に通うほど料理がすごく好きだったので、レシピ本を出そうか?という話が出たこともありました。それももちろん一つの手段ではあったのですが、今はネットで調べたらヘルシーで美味しいご飯のレシピはいくらでも出てくるじゃないですか。だから、そのような食事を作りたいと思う人はすでに調べて作っていると思ったんですよね。一方で、自分でご飯を作る時間が取れない人もたくさんいるという問題も目の当たりしました。
例えば、シングルマザーで家族のご飯を作らなければならないから、自分だけ別でダイエットメニューを作るのは大変だとか、仕事からへとへとで帰って来た後に料理を作る余裕がないとか。そういう方たちが、「見習って、頑張って作ります」などとDMをくださったのですが、それを読むのがすごく心苦しかったんですよ。情報は伝えられるけど、実践が難しい人たちはどうしたらいいのか、ずっとわからなかったんです。
このコロナ禍で飲食店も早く閉まってしまっていたので、なおさら手軽に食事を取ることが難しい状況が続いていました。
――毎日の食事に困っている大勢の方は、コンビニに頼るしかなくなってしまいますよね。
ここで問題なのが、コンビニの商品には摂りすぎると危険な添加物が多く使われていることです。私もよく周りから「サラダチキンばっかり食べてるの?」と聞かれるのですが、素材や調味料までしつこく調べるタイプなので、添加物が気になってしまって私自身コンビニの商品は食べないし、みなさんにもおすすめはしていません。
自分で作ることが難しくて、コンビニも避けたい。そんな需要と手軽に頼めるデリバリーにマッチしたため、今回のこのバーチャル店舗でヘルシーフードのお店をプロデュースすることが決まりました。
私の大好きなヘルシーフードを皆さんに食べてもらえる日が来たらといいな、と漠然と思っていたことが現実になったので、飲食の分野は初めてですが、かなり気合を入れて商品開発を行っています。
――お料理がお好きとのことですが、レシピもゆんころさんが考案されたのですか?
そうです。すべてのメニューは私が考案しています。そのメニューをシェフが飲食店向けのレシピに整えてくださっているような形です。
特にカレーが私のこだわりです。減量を何度も経験していますが、カレーはどうしても我慢ができなくて。その時に、減量中でも家で食べられるカレーを作りたいと思い考案したのが、ドライカレーでした。カレールウの使用量を大幅に減らして、しかも脂をあまり含まない食材の鶏ひき肉とビーンズで作るのがポイントです。このドライカレーが自分の作る手料理の中でも大好きで、ぜひみなさんにも食べてほしいなと思い今回メニューにしました。
あとは週3回くらい食べている豆腐ハンバーグですね。豆腐ハンバーグのいいところは、それ自体も美味しいんですけど、ソースを変えれば飽きない点です。自分でアレンジしながら作った自信作です。
――ご自身の食生活をそのままレシピにされているのですね。メニュー開発で苦労されたことはありますか?
手料理って作ったその瞬間のおいしさというものが重要な要素だと思うのですが、デリバリーでは出来立ての瞬間の提供がどうしても難しくなります。例えば豆腐ハンバーグなどは固くなりやすいメニューなので、実現するのがむずかしいところもありましたね。
意外に思われるところでは、ドレッシングですね。メインだけでなく、添えるサラダもすべて合わせて500kcal以内で作っているので、副菜でどれくらいまでカロリーがかかっても平気かというところも考える必要があり、ドレッシングに含まれるカロリーまでこだわって作りました。飽きてしまわないように味を変えられるいろいろなソースを作っています。
――やはりボディメイクにはカロリーコントロールが重要ですか?
カロリーが大事なのは、ダイエットをする際に一日の大きな目安になるからです。どんなにヘルシーな食材で脂質をカットして糖質も少ないものを作っても、メニューによってカロリーが大きく上下してしまうと、1日の摂取カロリーのコントロールができなくなってしまうのです。だから今回はどれを選んでも500kcalにするにフォーカスしました。カロリー計算がしやすくなるというのを意識してメニューを作るところが、一番難しかったかもしれないですね。
例えば私の場合、基礎代謝と運動分を加えて1日1400キロカロリーを消費している計算になるので、一日の摂取カロリーをそれ以下で抑えることでその差分が痩せていく幅になります。
ただ摂取カロリーを抑えるだけではなくて、その内訳と時間帯が大事。お昼の食事の時に一日の中で一番多くのガソリンを投下してあげることで、より効率的に燃料として使うことができるので痩せやすくなります。そのお昼の500カロリーに何を食べるかというのがすごく重要で、そこを考えて作られたメニューです。
――ランチで食べてもらうのが理想ですか?
ランチはもちろんおすすめですが、脂質や糖質を極めて少なくすごくヘルシーに作っているので、お仕事が終わった後、夜に何を食べようか迷ったときに食べていただいても安心なメニューになっています。
――自分でコントロールしなくても、それを食べるだけで大丈夫というは画期的ですね。
カロリーだけを気にして、脂質や糖質が高くなってしまうということはよくあることです。SMART DELIのメニューは脂質もものすごく低いんです。高たんぱく低カロリーで美味しいものを目指しています。
――高たんぱく低カロリーということは、鍛えている方にも嬉しいですね。
実際に、私のトレーニングを見てくださっているトレーナーの方や、フィットネスの選手の方にも食べていただいたり、成分表も確認していただいたりしました。これなら筋トレにも、ボディメイクやコンテストを目指している人も食べられますね、とお墨付きをいただいています。
――プロも認めるしっかりとした食事という面で、他のお店とも差別化されていますね。これを食べればゆんころさんの体を目指せるということですか?
そうなんですよ。そこがポイントです。みなさん私の体になりたいかはわからないですけど(笑)なかなか食事のコントロールがわからないという方にも、あまり難しいことは考えずに「これを食べてもらえれば安心」というものを作っています。
食は人の体に与える影響が大きいので、ちょっとでも制限するとストレス幅も大きいんですよね。体を動かすために食べなければならない反面、美味しいと感じるものって脂質や糖質が多くて、ボディメイクという観点ではほとんど除外されていってしまいます。私自身が食べたいものを我慢するストレスを極力少なくしたいという想いがあって作ったレシピなので、皆さんにも楽しく美味しく食べて、ストレスを感じずに食生活を見直せるということを、デリバリーを通して体感してほしいなと思っています。
――ファンの方もゆんころさんと同じ食事が食べられるというのは嬉しいですよね。
そう思っていただけたら嬉しいです。よく料理の写真をアップすると、「ゆんちゃんのメニューのヘルシーなカフェがあったら通いたいです」というお声もたくさんいただきます。
ヘルシーなものをお手軽にとろうと思うと、やっぱり難しいじゃないですか。そのようなお店があるエリアは都内の限られたエリアにしかないし、値段を考えると満足度があまり高くないものも多いと感じます。全国各地で満足度が高いヘルシーな食事を食べられるというところを目指してやっています。
――今回のデリバリーブランドのプロデュースにも過去のプロデュース経験が生かされているのでしょうか。
よいサービスって世の中にいくらでもあると思うんですよ。飲食店もそうですし、アパレルもそうですし、美容クリニックも、美容商材も…よいサービス・よい商品はもう出尽くしている。そこに対して、自分が携わることによって、生まれる価値があるかを意識してプロデュースしています。
今回のフード事業は、私のボディメイクの背景を生かすことができると思ってやらせていただいたので、そこにこだわりがありますね。ほかの人では作れないものを作りたいという想いがあります。
SMART DELIではデリバリーのほかにテイクアウトも強化して行きたいと思っていて、テイクアウトの時のエコバックなんかもオリジナルで作ることを考えています。テイクアウトすることが楽しくなるようなことまで考えてブランドを作っています。
――先ほどおっしゃっていた「ボディメイクはライフスタイル」ということですね。
はい。特別ではなくて、皆さんの日常に寄り添えるものを作っていきたいです。
――今回SMART DELIをスタートするにあたって、ゆんころさんと交流のあるインフルエンサーの方々がPRされると伺いました。
インフルエンサーさんには、SMART DELIの商品を食べてみた感想を率直にPRしてもらいたいなと思っています。身に着けるものと違って目に見えてすぐに見た目が変わるものではないのですが、ヘルシーなのにこんなに美味しいということに感動していただけたら嬉しいですね。
――今後はどのように展開されていく予定でしょうか。
このようなサービスを関東圏で浸透させるのは早いと思いますが、地方でも同じクオリティの味でSMART DELIを提供できるように、というのを目指しています。東京はヘルシーフードのお店が比較的多いのですが、そういった選択肢の少ない地域にお住いのファンの方や、必要としてくださる方に対して、クオリティの高いヘルシーフードをお届けしたいです。
具体的には、恵比寿、東日本橋、池尻大橋の配達エリアから始まって、まだスタート前の時点で20店舗ほどが確定しています。
一つの店舗を全国展開していくとなると大変な規模感になってしまいますが、速いスピードで全国に行きわたらせることは、バーチャル店舗だからこそできることだと思います。
――最後に伝えたいことはありますか。
今回、健康的な食事をしたくても難しいという方へ手軽にヘルシーな料理を届けたい、という想いでスタートしています。しかし、これは賛同してくださる飲食店さんが加盟してくださって初めて、ご提供が可能となります。
物販であれば、お店に来てくださいとか、ECで買ってくださいと宣伝することができるのですが、今回はデリバリーのバーチャル店舗なので、扱ってくださる店舗に応じて配達エリアが広がっていきます。そのため全国に加盟店さんが増えていくことを願って取り組んでいきたいと思っています。加盟していただく店舗の方々に対して、このサービスに込めた想いや背景を私の口から直接伝えていきたいですね。
満足いただけるデリバリーブランドができたと自信を持って言えるので、全国各地のヘルシーな食事を必要としている方に、できるだけ多く届けていきたいと思っています。
――ありがとうございました。