事業譲渡とは

事業譲渡とは、会社の事業部門や会社資産の一部または全部を譲渡(売却)する方法です。株式譲渡と並んでよく使われるM&Aの手法で、会社そのものを株主から買い取る株式譲渡と違い、その会社の特定の事業のみを譲渡する手法となります。


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事業譲渡とは、会社の事業部門や会社資産の一部または全部を譲渡(売却)する方法です。株式譲渡と並んでよく使われるM&Aの手法で、会社そのものを株主から買い取る株式譲渡と違い、その会社の特定の事業のみを譲渡する手法となります。

事業譲渡の対象となる「事業」とは、工場や店舗などの設備、商品などの物、不動産・動産、事業組織、財産、債務、人材、ノウハウ、ブランド、知的財産や特許権、取引先との関係など、有形のものから無形のものまでのあらゆる財産です。

事業譲渡は個別承継のため、資産ごとに譲渡対象とするかどうかを選択できます。
これは事業譲渡の大きな利点であり、事業部門の一つだけを買収したいとか、多数の店舗のうち一部のみ買収したいという場合などのよく用いられます。
全事業を譲渡する場合でも、事業譲渡であれば、負債や不要な不動産などを譲渡対象から外すことも可能です。
ただし個別に資産の名義変更などが必要になるので、株式譲渡に比べて手続きは煩雑になります。
それでも、買い手側にとっては、特定の事業や財産のみを譲り受けることが出来るため、簿外債務や偶発債務のリスクを遮断しやすいというメリットがあります。

ただし、事業譲渡においては「競業避止義務」というものが定められています。
会社法21条に明文規定があり、譲渡会社は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一市区町村および隣接市区町村内においては、その事業を譲渡した日から20年間は同種の事業を行ってはならない、とされてます。
また、双方が同意した上で特約を付帯した場合、30年の期間内で延長・短縮等が可能となります。(会社法21条2項)
この制限により期間や場所を特定する場合もありますが、通常は事業譲渡の場合であっても、契約書には、地域に限らず、期間は5〜20年程度の競業避止義務を設定することが多いです。

なお、旧商法では「営業の譲渡」とされ、一般的に「営業譲渡」と呼ばれてきましたが、2006年5月施行の会社法により、「事業の譲渡」という言葉が用いられたことにより、「営業譲渡」は「事業譲渡」へと変更されました。