In-Outとは、国内企業(in)によって海外企業(Out)との合併や買収が行われること、すなわち日本においては、日本企業が海外企業を買収するM&Aのことを指します。
「In-Out型M&A」「アウトバウンドM&A」とも呼ばれています。国内企業と海外企業によるM&A「クロスボーダーM&A」のひとつです。
ちなみに、国内企業が国内企業を買収するケースは「In-in」、海外企業が日本企業を買収するケースは「Out-in」といいます。
日本でのIn-Out型M&Aの歴史は意外と古く、1980年代には円高やバブル経済で、日本企業における「外国買い」が行われていました。
ソニーなどは日本企業としてはだいぶ早い段階から海外企業のM&Aを数多く行っており、80年代後半には、米国のCBSレコード、同じく米国のコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメントの買収を行いました。CBSレコードの買収金額は2700億円で、当時の日本企業としては史上最高の買収額でした。
バブル期に一度ピークを迎えたIn-Out型M&Aは、その後減少していました。ここ10年くらいは、日本国内の人口減少や少子高齢化などにより国内市場が縮小傾向にあるため、多くの日本企業が新たな市場、テクノロジー、生産拠点を海外に求めた結果、2016年にはIn-Out型M&Aは過去最多件数を更新し、その後も安定して増加しています。
特にアジア諸国の新興市場や、北米・欧州の巨大マーケットなどに進出することで、売上の増加や規模の拡大を目的としたM&Aを行う企業が増加しています。
In-Out型M&Aは、大企業に限らず中小企業、スタートアップやベンチャー企業でも活発に取り入れられています。
今まで海外企業・事業の買収など考えたこともなかった企業までが実施するようになっていますが、In-Out型M&Aには特有の難しさがあり、成功率も決して高くはないというのが現状です。