私的再生は、会社整理の手法の1つであり、私的整理とも呼ばれています。
事業再生にはさまざまな手法がありますが、大きく分けて「法的再生」と「私的再生」の2つがあります。
法的再生は、会社更生法や民事再生法などの法律に基づき行う再生手続きです。
私的再生は、裁判所を間に入れずに、債権者と債務者など関係者同士で協議し、自力で会社の再建を進めていく手続きとなります。
私的再生には、以下のような方法があります。
・私的整理ガイドライン
私的再生を行う際に債権者と債務者同士が合意し、権利放棄などを行うための手続き規定です。
私的整理ガイドライン研究会が公表しています。
・事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)
「過剰債務に悩む企業」の問題を解決するために生まれた制度であり、公正中立な第三者としてのADR事業者が問題解決を図る手法です。
私的整理ガイドラインの手続きとほとんど同じですが、私的整理ガイドラインでは主要金融機関が主体的に手続きに関与する必要があったのに対し、事業再生ADRは、第三者であるADR事業者が手続きをする点が相違します。
・中小企業支援協議会スキームによる手続
中小企業が利用できる手続きです。中小企業再生支援協議会が中立的な第三者機関として私的再生に協力します。
・特定調停手続
中小企業金融円滑化法の終了に伴い日本弁護士連合会が行った対応策の1つで、弁護士などの専門家の協力を得て会社の再生を目指すものです。
私的再生のメリットとしては以下のようなものがあります。
・非公開のため、信用力低下や風評被害を防げる
・より柔軟かつ迅速な再生が出来る
・再生手続きにかかる費用を抑えることが出来る
個別の債権者と交渉する「私的再生」の場合、事業そのものを存続させることを前提とし、かつ外部スポンサーの支援を受けて事業再生するケースがほとんどとなるので、M&Aの案件となることが多く、このような事業再生のためのM&Aを「事業再生M&A」「再生型M&A」などと呼びます。