財産評価基本通達とは、相続税・贈与税の課税価格計算の基礎となる財産の評価に関する基本的な取扱いを定めた通達のことで、国税庁が定めているものです。
相続、遺贈または贈与によって取得した財産の価額は、相続税法第22条で「時価」によって評価することと定められています。そのため、一定の基準のもとで財産の評価ができるよう、相続税や贈与税を計算する際は、この財産評価基本通達の評価基準にしたがって評価額を算定することになりますが、財産評価基本通達は、200以上の項目に分かれており、頻繁に一部改正が行われているので、課税時期における通達に則って財産を評価することが重要となります。
財産と一口にいっても、多くの場合は金銭だけでなく、土地や建物等の不動産、株式などの有価証券、貴金属などが含まれています。その全てにおいて価額を調べる必要があるのですが、財産評価基本通達には、土地や家屋に関する権利の他、株式やその他の財産にわたって細かく価額計算方法が規定されています。非上場株式の評価方法も記載されているので、同族会社のグループ内で株式を移動したり合併したりする場合にも、財産評価基本通達に基づいて評価することが多いため、同族会社のグループを再編成する際にもよく採用されています。
財産評価基本通達には、相続税の課税価格を計算するため、不動産や株式など基本的にすべての財産の評価方法が記載されているので、M&Aにおいて財産評価をする際に利用されることがあります。ただし、この通達に記載されているのは、納税額を算出するための評価方法であって、極めて画一的な評価方法となっているので、第三者間で行われるM&Aにおいては参考にする程度で、評価方法としてはほとんど用いられません。