利用できる助成金・補助金
はじめに、利用できる助成金や補助金について見ていきましょう。
持続化補助金
持続化補助金は正式名称を「小規模事業者持続化補助金」といい、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組にかかる経費の一部を補助する制度です。従来からある「一般型」と新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者向けの「コロナ特別対応型」のふたつがあります。
持続化補助金に申請するためには、商工会、商工会議所で相談の上、経営計画書、補助事業計画書を作成する必要があります。
また、事業再開枠として、補助上限 50 万円までの定額補助も併用可能です。
対象
小規模事業者
補助額・補助率
・一般型:上限50万円(特例事業者の場合は100万円)、補助率 2/3
・コロナ特別対応型:上限100万円
補助率 Aサプライチェーンの毀損への対応…2/3
B非対面型ビジネスモデルへの転換…3/4
Cテレワーク環境の整備………………3/4
※ただし、補助対象経費の1/6以上が、以下のいずれかの要件に合致する投資であること
申請先
商工会もしくは商工会議所
申込期日
・一般型 2021年2月5日
・コロナ特別対応型 2020年12月10日
※持続化補助金は上記の申込期日以降も継続予定。今後の期日は決定次第、順次公開される
参照1:令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金
参照2:令和2年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>
雇用調整助成金
雇用調整助成金(特例措置)とは、事業主が雇用保険被保険者である従業員に、休業手当を支払う場合に、休業手当の一部を助成する制度です。
対象
以下の条件を満たす事業主
・新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している
・最近1ヶ月間の売上高または生産量などが前年同月比5%以上減少している
・労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている
(令和2年4月1日から令和3年2月28日までの期間内の休業が対象)
助成額、助成率
(平均賃金額×休業手当等の支払率)×助成率(上限:1人1日あたり15,000円)
■助成率
区分 | 大企業 | 中小企業 |
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主 | 2/3 | 4/5 |
上乗せの要件を満たす事業主 | 3/4 | 10/10 |
申請先
労働局もしくはハローワーク
申込期日
支給対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内
※雇用保険被保険者以外の従業員に対する休業手当は「緊急雇用安定助成金」の助成対象となる
IT導入補助金
IT導入補助金とは、自社の課題やニーズに合ったITシステムを導入する場合の費用が補助される制度です。飲食店も申請できます。
IT導入補助金には、一般枠のA類型、B類型と特別枠のC類枠の3つがあります。
対象
中小企業、小規模事業者
補助額・補助率
・A類型:30万~150万円未満 補助率1/2以下
・B類型:150万~450万円 補助率1/2以下
・C類枠:30万~450万円 補助率 C類型-1:2/3以内 C類型-2:3/4以内
申請先
IT導入補助金ホームページの申請マイページ
※gBizIDプライムアカウントの取得など、事前準備が必要
※IT導入支援事業者から申請マイページの招待を受ける必要あり
申込期日
2020年12月18日
※2021年も継続予定
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、新分野への展開や業態・事業・業種の転換、事業再編などを通して事業規模の拡大を目指す中小企業などを支援する補助金です。
事業再構築補助金には、通常枠と特別枠(卒業枠・グローバルV字回復枠)があります。
対象
中小企業、中堅企業で、次の要件をすべて満たす企業
・申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等
・事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等
・補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
補助額・補助率
■中小企業
通常枠:補助額100万円~6,000万円 補助率2/3
卒業枠:補助額6,000万円超~1億円 補助率2/3 ※400社限定 一定の要件あり
■中堅企業
通常枠:補助額100万円~8,000万円 補助率1/2(4,000万超は1/3)
グローバルV字回復枠:補助額8,000万円超~1億円 補助率1/2 ※100社限定 一定の要件あり
申請先
jGrants(電子申請システム)での申請を予定
※gBizIDプライムアカウントの取得など、事前準備が必要
申込期日
令和2年度3次補正予算の審議・成立により実施予定です。また、事業内容は変更の可能性があります。
助成金・補助金を利用する際の注意点
ここまでは、コロナ禍で飲食店が利用できる主な助成金や補助金を紹介しました。さまざまな制度を利用したいと考えている方もいるでしょうが、その場合、いくつかの注意点があります。
そこで、ここでは代表的な注意点について見ていきましょう。
補助金は必ずしも受給できるとは限らない
助成金と補助金はどちらも国や地方公共団体から支給されるお金ですが、異なるものです。
助成金は、受給要件がしっかりと決まっており、要件を満たしていれば受給できる可能性が高いものです。
一方、補助金は採択件数に上限がありますが、応募件数が採択件数を上回ることが通常です。そのため、申請理由に妥当性・必要性がないと判断されると受給できません。
また、助成金と補助金の要件を比較すると、一般的に補助金の方が厳しくなっています。さらに、補助金の場合は、補助金を受け取った後も報告義務があるのが一般的です。
助成金・補助金は受給までに時間がかかる
助成金・補助金を申し込む際の注意したいのは、受給までに時間がかかるということです。助成金・補助金の種類によって受給までの期間は変わりますが、長い場合は数ヶ月かかることもあります。
さらに、助成金・補助金は基本的に後払いのシステムです。そのため、申込者は先にシステム導入費などの支払いをしなくてはいけません。先払いする資金の用意だけでなく、助成金・補助金を受給するまでの資金繰りにも注意しましょう。
不正受給には厳しいペナルティが課される
補助金や助成金の不正受給には、厳しいペナルティがあります。給付金の事案では、持続化給付金の不正受給で逮捕者が多く出ています。
補助金や助成金でも不正受給をした場合は、支給額の全額返還はもちろんのこと、管轄省庁のWebサイトでの企業名などの情報掲載や、最悪の場合は詐欺罪での告訴や逮捕されるなど厳しいペナルティが科せられます。
要件を満たすかどうかの判断に迷う場合は、必ず専門家に相談しましょう。
コロナ禍での飲食店の立て直しには
コロナ禍における飲食店経営の立て直しは、企業努力だけでは難しくなってきています。そこで、助成金や補助金の活用も考える必要があります。自社が使えそうな補助金や助成金があれば、積極的に利用しましょう。
ただし、助成金や補助金には支給要件があったり、必要書類の作成や準備など申込手続きが複雑だったりするなど、複雑です。また、万が一不正受給となった場合のペナルティも厳しいです。そこで、必ず専門知識にある専門家に相談します。
もし、あなたが助成金や補助金の利用をお考えなら、ぜひM&A Propertiesへお問い合わせください。経験豊富な担当者があなたの現状をていねいにヒアリングし、最適な助成金や補助金の提案から支給を受けた後の処理までサポートいたします。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大による時短営業などの影響により、多くの飲食店で経営が苦しくなっています。そこで利用したいのが、助成金や補助金の制度です。コロナ禍で飲食店が利用できる助成金・補助金には、「持続化補助金」「雇用調整助成金」「IT導入補助金」「事業再構築補助金」などがあります。
ただし、どの助成金や補助金も対象者や支給要件などが定められています。そのため、助成金や補助金を利用するには、それぞれの支給要件を理解し、自社が該当するかどうかを見極めることが重要です。
専門家などのアドバイスを受けながら賢く助成金や補助金を利用することが、飲食店にとって厳しいコロナ禍を乗り切るためのひとつの手段となるでしょう。