飲食店は、基本的には「店のなかで食事をしていただく」という形態をとります。
しかしながら、たとえ店のなかでの飲食であっても、雨の日はやはり客足は鈍ります。
「外に出るのが怖いくらいの豪風雨だ」というだけでなく、あまり雨足が強くないときであっても、基本的には客数は少なくなりますし、それに付随して売り上げも落ちてしまいます。
雨の降っている日は、誰もが外に出るのがおっくうになってしまうからです。
こんな「雨の日」の対策について考えていきましょう。
多くの飲食店が「雨の日対策」をしている
少し目端のきく人が運営している飲食店であるのなら、かなりの確率で、「雨の日の対策」をしていると思われます。
この「雨の日の対策」は、お店ごとによってさまざまですが、そのなかでも、よくあるのが「割引」でしょう。
これは、「雨の日ならばこの商品がお買い得になる」「雨の日にご来店いただくと、お会計が○パーセントオフになる」というものです。雨の日は客足も売り上げも落ちますから、そのなかからさらに値引きをする、となると抵抗感がある人もいるかもしれませんが、「まったくだれも来てくれない」というのよりはマシです。
たとえば、「雨の日は、通常だと400円越えの雨の日が200円になる」としている居酒屋もあります。このような、「生ビールの割引」は、数多くの居酒屋が取り入れています。注文客が多い生ビールを割引にすることによって、訴求力を高められるということも関係しているのかもしれません。
雨の日限定のメニューを出すところも
飲食店ならではの工夫として、「雨の日は、雨の日にしか出さない限定メニューを出す」としている店舗もあります。普段はお客様にはあまり出さないようなまかない食を出したり、通常よりもよいワインを出したりするのがそれです。
このような、「限定メニュー」というのは、非常に希少価値があるものです。「お金を出したらいつでも食べられるもの」とは違い、非常に限定的ななかでの販売ですから、「このお店の味が気に入った」という人ならば、わざわざ雨の日を狙ってきてくれるようになるかもしれません。
ただ、この場合、「雨の日のために、また新しい食材を仕入れなければならない」となるとなかなか大変です。新しいメニューを開発することにも苦労はありますが、腐りやすい食材で、かつはん用性のそれほど高くない食材を使わなければならないメニューだとすると、廃棄ロスが大きくなってしまいます。また、ドリンク(特にワインやシャンパン)は、一度封をあけてしまうとあまり長持ちしません。
このような点を踏まえて、「雨の日の限定メニュー」を考える必要があります。
また、このときのメニューは、決して高すぎるものであってはいけません。その飲食店のいつもの料理の価格帯と合わせて提案するのがよいでしょう。「雨の日だけど、頑張ってくる価値があった」と思ってもらうためには、「価格」も非常に重要な要素なのです。
ターゲットを定めて行いたい! 特別なサービス
もう一つ取り上げたいのが、「ターゲットを定めた特別なサービス」です。
たとえば、子どもさんもよく来るお店などでは、「雨の日に来たら、帰り際におもちゃやお菓子を渡す」としているところもあります。このような場合、できればその子どもさんが自らの意志で選べるようなシステムにしておきたいものです。
また、ターゲット層が「子持ち」ではない場合はまた方向性がかわってきます。たとえば、自家製のパンを焼いているところなどの場合は、パンをサービスで帰りしなに配る、というものです。数はあまり多くなかったとしても、「もらえる・もらえない」の間には大きな心理的な違いがあります。
それ以外のサービスについて
雨の日の対策としてのサービスは、これ以外にもたくさんあります。
たとえば、ポイントカード制のところの場合は、「雨の日に来てくれたら、ポイントを○倍にする」としているところなどもあるのではないでしょうか。
それ以外にも交通費をサポートとするとして、タクシー代金の一部を飲食料金からひいてくれるところもあります。
また、無料で商品が出てくるお店もあります。ドリンクやデザートといった軽いものが中心ですが、このサービスも「無料」ということで、非常にオトク感があります。
私たちは、「雨の日は客足が落ちる」ということにばかり、つい気をとられがちになってしまいます。
これはたしかにその通りではあるのですが、さまざまな対策をすることによって、この「減少する客足」を留めることができます。そしてこのように、雨の日の対策をしっかりしている飲食店というのは、お客様から愛される傾向にあります。「あのお店は、雨の日にはとってもオトクになるんだよ」「あのお店の雨の日限定のメニューはすごくおいしい」というクチコミが出回れば、飲食店側にとってもお客様側にとってもとても有益だと言えます。いろいろと試してみてくださいね。