ホール担当者の責務~飲食店の従業員に求められる知識とは

ホール担当者の責務~飲食店の従業員に求められる知識とは

ホール担当者に求められるものの第一は、「接客態度」「接客技術」です。しかしそれ以外にも求められるものがあります。それが「知識」です。


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ホール担当者に求められるものの第一は、「接客態度」「接客技術」です。しかしそれ以外にも求められるものがあります。それが「知識」です。

お客様の質問は実にさまざま

お客様から投げかけられる質問というのは、実にさまざまです。ホール担当者の場合、それに対してある程度きちんと答えられなければなりません。

一般的な感覚で言う「高級店(ディナーの価格が1万円~)」の場合は、その日に出される料理の詳細をきちんと知っておきましょう。
このようなお店の場合、料理を出すときに、料理の説明をするのが普通です。しかしお客様のなかには、その内容をさらにつっこんで聞いてこられる方もおられます。

たとえば、「ヴァンブランソースを使っています」と言ったとしましょう。料理に興味がある人ならば、ヴァンブランソースとは何か、どのような製法で作られているのかくらいまでは聞いてきます。これらは「想定内の質問」であり、答えられる用意をしておかなければなりません。

また、料理を味わっている最中に、「このハーブは何のハーブだろう」「食べ慣れた味なんだけど、思い出せない」とお話をしている方もいます。このような場合は、高い確率でホール担当者に「答え合わせ」をしてほしいと考えるはずです。そのため、これも、問われたときにきちんと答えられるようにしておく必要があります。

2011年の3月から、食材の「原産地」を気にされるお客様も目に見えて増えてきました。産地偽装の問題などもそれに拍車をかけているのかもしれません。その日の料理に使われている主だった食材の産地くらいは、きちんと踏まえておくようにしましょう。あくまで体感的なものであり統計をとったものではありませんが、特に野菜類や魚類は、問われやすい傾向にあると思われます。

これらはあくまで一般的なものです。私は以前、自分自身が接客担当者として店頭に立っていたときに、「母の日の由来と日時設定の意味」を聞かれたことがあります。ちょうど母の日のキャンペーンをやっていたからのお問い合わせだったのですが、思いがけないところからの質問であったので、言葉に窮してしまった経験があります。

答えられないときにはどうするのが正解か

ただ、質問の内容によっては、難しすぎて即答ができないこともあるでしょう。その場合は、どうすればよいのでしょうか。

「わかりません」の一言で片づけてしまったり、適当に答えてしまったりするのは非常によくありません。特に適当に答えてしまった場合、お客様からさらにつっこまれることがあります。このような質問をしてこられるお客様というのは、多くの場合相当な知識を持っており、それと矛盾することがあれば(悪気なく)追及してくることもあるからです。

また、「わかりません」という言葉で投げっぱなしにするのは、やはりホール担当者としては恥ずかしいことです。必ず分かる人に聞きに行きましょう。特に、「今出ている料理」についての場合は、シェフなどに問い合わせればはっきりとわかるはずです。もちろんその場ですぐに答えることができればそれに越したことはないのですが、「即答できませんので、ただいま確認してまいります」と言えば失礼にはあたりません。

ワンステップ上の回答の仕方について

お客様から問われたことに正確な返答ができること、わからないことは調べたり聞いたりして答えられるようにすることは、それだけでも大きな意味を持つ行動です。

しかし、さらに「ワンステップ上の回答」があることも知っておいてください。

これは私自身が実際に体験した接客のエピソードです。とある料理を食べているときに、酸味と甘みが感じられる調味料が使われていました。バルサミコ酢のような味わいだったのですが、どこを見ても、バルサミコ酢の「黒色」がありません。

そこでホール担当者の方に、「どんなソースが使われているのですか?」と聞きました。

回答としては、「ホワイトバルサミコ酢を使っています。それをちょっと特殊なやり方で加工して、液体ではない形で供しています」という返答がありました。その「特殊なやり方」の方法についても詳しく解説をしてくれ、疑問点がとけるのと同時に、新しい発見もできました。

このように、「お客様が必要としている回答+お客様にとって有益でおもしろい情報」の2つを盛り込んで返答ができれば、それはホール担当者として素晴らしい能力だと言えるでしょう。聞かれたことだけでなく、プラスアルファの説明を加えて話ができるのは、ホール担当者に求められる技術と知識をクリアしている証だからです。

このような回答ができるようになるには、ホール担当者自身が料理に対して興味を持っていなければなりません。常にアンテナを張り巡らせ、「どのような知識が役に立つのか」を考えて、積極的に情報を取り入れるようにすることが大切です。