飲食店の経営をしているならば、自宅以上に、「ゴキブリ」に対する対策をしっかり練っておかなければなりません。今回は、この「ゴキブリ対策」について見ていきます。
虫が怖いのは衛生的な問題だけではない
ゴキブリに代表される「虫」は、食材を食い荒らし、使い物にできなくさせてしまいます。また、食中毒や感染症を引き起こす原因の一つとも言われています。このような観点から考えても、害虫は飲食店にとって非常にやっかいな存在であると言えるでしょう。
ただ、それ以上に、この「ゴキブリ」には厄介なところがあります。
それが、「人に対して強い生理的嫌悪感を抱かせる」ということです。
たとえば、食事にゴミが入っていたりビニールが入っていたりした場合、人はそれを確かに不快には感じますが、大騒ぎする人はあまり多くはないのではないでしょうか。しかしこれが虫ならば、話は別です。
生きているゴキブリでも死んでいるゴキブリでもその生理的な嫌悪感は、ビニールなどの比ではありません。もちろん感じ方は人によって差はありますが、「食べている最中に、異物であるビニールをかんでしまった」という衝撃よりも、「虫をかんでしまったようだ」という衝撃の方が大きいと考えるのが普通です。人によってはトラウマレベルでしょう。
このようにゴキブリは生理的嫌悪感が大きいものですから、「料理に虫が入っていた」「自分の席のすぐそばをゴキブリが疾走していた」という場合、大クレームに発展したり、クチコミで悪い評価が付けられたりすることは想像に難くありません。またそれを見聞きした人は、恐らく、高い確率でそのお店に足を運ぶことはしなくなるでしょう。
基本の害虫対策について
では、このようなゴキブリを出さないためにはどうすればよいのでしょうか。
まずは、店舗を清潔にすることが何よりも大切です。ゴキブリは人間のフケや肌のカスなどを好んで食べますが、生ごみなどにもよく群れます。これらを避けるためには店舗を常にきれいに掃除することが重要です。ゴミ捨て場は調理場とは隔離しておきます。できれば外にゴミを出せるとよいでしょう。この「清潔にすること」は、ネズミなどの発生を抑えるためにも有効です。
水回りは特にきれいにしておきます。水分が残った状態にしておくと、虫の繁殖を許します。特に夏場は注意しましょう。羽虫などの発生を予防するためにも、店を閉める前は水場を完全に乾いた状態にしておくことが重要です。
食器を洗ったスポンジなどは、意外に虫がつきやすいものです。こまめに新しいものに変えるようにしてください。
市販の殺虫剤などを利用するのもよいでしょう。複数本置いておき、見つけたらすぐに退治します。
ただし、どれだけ清潔にしていても、どれだけ水場に気を付けていても、ゴキブリが発生することはあります。飲食店に多いのはちゃばねゴキブリと呼ばれるもので、こちらは店の衛生環境を改善することによってある程度は改善できます。しかし黒い方のゴキブリの場合、店をきれいにしていても、店外から侵入してくることもあります。そのため、対策が難しいのも事実です。
ちなみに、「ゴキブリが出たら、どんな色なのかを見ておいてほしい。そうすれば原因がはっきりするから」と考える人もいるかもしれませんが、従業員だって多くの場合は害虫は苦手です。なかなか冷静に見極めることはできないと思われます。
専門業者に依頼することも考えて
飲食店は、「自分の家」とは違います。ゴキブリが出た時のダメージは計り知れませんし、場合によっては店自体をも傾けかねません。ただ、自分の家とは違い、害虫駆除にはお金も掛けられるはず。そこで、選択肢の一つとして挙がってくるのが「専門業者に依頼すること」です。
多くの専門業者では、丹念な調査を行い、安全でかつ効果的な薬剤を使って効率よく確実に害虫を駆除していきます。自分たちだけでは対応しきれない害虫も、専門業者に頼めばすっかりいなくなった、という話もあります。また、その持続期間も比較的長いと言われています。データや薬剤、あるいは業者などによっても異なりますが、3か月間程度は効果が持続すると考えられています。
料金については、業者ごと、またお店ごとによって違いがあります。ただ、20坪以下のお店であっても、1回あたり50000円程度の出費は想定しておいた方がよいでしょう。正確な金額は見積もりを出さなければわかりませんが、いくつかの業者に相見積もりをお願いするとよいかもしれません。その際に、持続期間やオプションについても聞いておくと比べやすくなるでしょう。
ちなみにここで話しているのはあくまで「ゴキブリ」の話ですから、ダニなどの駆除も一緒に行いたいということであれば、違ったプランを提示されることもあります。
自分たちで対策するにせよ業者に依頼するにせよ、ゴキブリに対しては神経質になりすぎるくらい神経質になっておいた方がいいと思われます。特に、女性向けの飲食店やおしゃれさをウリにしている飲食店の場合は妥協が許されません。