飲食店を経営していると、「貸し切りにしてくれ」という依頼を受けることがあるかと思います。
このような場合、どのような値段設定にするのが的確なのでしょうか?
それについて見ていきます。
飲食店の貸し切り、値段の相場はいくらくらい?
「飲食店の貸し切りの料金」は、一概に「○○円が相場」などのように言うのは難しいと言えます。
なぜなら、そのお店の規模、出す料理、プラン設定などによって大きく異なってくるからです。また、「どれくらいの時間を貸切るのか」によって値段にも差が出てくることでしょう。
ただ、一例として、「宴会場の場合は、終日の場合は80000円程度が相場」という数字が出ています。
また、現在流行っているレストランウエディングの場合は、軽食コミ(立食式)で半日~で30万円程度という数字も出されています。
飲食店の貸し切り料金、これを決める要素
あなたがお客様から、「お店を貸し切りにしたい」と言われたとき、まず確認しなければならないことがあります。
1つめに、「時間」。
たとえば2時間ほどで退席するのか、それとも半日程度で退席するのか、あるいは1日まるまる使うのか…などです。特に、2時間や半日の場合は、「お客様の出したゴミや皿を片付ける手間」も計算にいれなければなりません。これらは意外と盲点になりますから注意が必要です。
また、実際には2時間で退席してもらえない可能性もあるので、この点も考慮しましょう。
「時間」に関連して、もう1つ意識してほしいのが「曜日」です。
金曜日の夜や土曜日の終日、あるいは日曜日の昼間など、「ほかのお客様が来られやすい時間帯」の貸し切りを希望されているのか、それとも平日の貸し切りを希望されているのかを確認しましょう。
「人数」の確認も必要です。
これは「お店に入れられる許容人数」の確認の意味もありますが、「どれくらいの人が来て、どれくらいの量の飲食物を注文してくれるのか」にも関わってきます。極端な話、50人ほどが入れる飲食店を5人程度で貸し切られてしまう場合と、45~50人で貸し切られる場合では、値段がまったく異なってきます。
「用途」についても問い合わせておきましょう。
「貸し切り料金には飲食物の値段は含まない」というスタイルの場合、飲み食いを基本とはしない貸し切られ方をしてしまうとお店側としてはあまり利益が得られません。
そのため、「どんな用途で貸し切るのか」については知っておく必要があります。
常識的にかつ単純に考えるのであれば、貸し切りの設定の料金というのは、「同じ時間・同じ曜日で、貸し切りをしないで運営していた場合に生じる利益を、貸し切りをする人たちに求める」ということになるでしょう。
たとえば、土曜日の夜の20時から22時までの間の通常時の売り上げが10万円だったとします。同じ時間に「50人で貸し切りたい」と言われたのであれば、1人あたり2000円程度の料金で貸し出せる、ということです。
もっともこれは、あくまで単純計算のときの話です。次の項目でお話しするように、実際にはもう少し複雑に事情が絡み合ってきます。
ただ、お店側が大損するようなことがないような設定にしなければなりません。また、「終日貸し切りで、かつ飲み放題を希望」の場合は特にご注意を。
場合によっては単価の安いドリンクに限定する、などの対策が求められます。
貸し切り料金は、料理込みかそれとも場所代か?
もう1つ考えたいのが、「貸し切り料金には何を含むのか」ということです。
場所代としてだけを徴収するのか、それとも料理込みの値段なのかということです。
貸し切りには、大きく分けて以下の3パターンがあります。
- 場所代として貸し切り料金を徴収する。料理にかかる費用は別。
- 料理と場所代込みの料金を提示する
- 人数さえ確保してくれるのならば場所代は徴収しない。大量の料理がさばけると考えられるので、場所代は必要ない
この場合、お店としては①を選びたくなります。しかしこの場合、値段設定は非常に難しくなるでしょう。いくらなんでも、「料理がまったく頼まれなくても利益が出るだけの場所代」をいただくのは現実的ではありません。しかしだからといって場所代を安くしすぎると、料理を頼まれなかった場合の損害が大きくなります。さらにいえば、お客様のなかには、「貸し切り料金が発生するのであればやめておく」と考える人もいるでしょう。
②の場合は、非常に安定しています。コース料理を出す店、あるいはレストランウェディングのときなどによく使われる形態がこれです。レストランウェディングのときなどは、「料理をその都度注文する」というパターンは基本的にはそれほど多くありませんから、お客様も違和感を覚えないでしょう。
③は、お客様にとってはかなり良い方式です。ただこの場合、「料理が注文されなかったら大赤字になりかねない」という問題もあります。
このあたりを考えて値段設定をしていくことが大切です。