飲食店においては、よく「スタッフの化粧や髪の毛、ネイルなどの身だしなみとかっこう」
がよく取り上げられます。
これについて考えていきましょう。
「化粧」は多くのところでナチュラルメイクが好まれる
「化粧」については、基本的にはどこの飲食店もOKとしていることでしょう。年齢や店の形態によっては、むしろノーメイクは失礼にあたる、と考えるところもあるかもしれません。
ただ、このときの化粧は、基本的にはナチュラルメイクにとどめるべきでしょう。特に、お酒を出すことが前提となっていないお店では、このように統一するべきです。ファンデーション、まゆ毛の手入れ、入れるとしてもアイシャドウやチークくらいまでの方が望ましいでしょう。アイライナーは、「絶対に入れてはいけない」というものではありませんが、いわゆる「パンダ目」などになっているスタッフがいたのなら注意します。
飲食店で求められるメイクは、あくまで、「清潔感があるところまで」でしょう。そのため、派手すぎるメイクは禁止するべきです。ナチュラルメイクをベースとして組み立てるように指導しましょう。また、当然のことながら、香水などは一切禁止とします。香水の香りは間違いなく料理の邪魔になりますし、お客様によって好みの香りも異なるからです。化粧品のなかには匂いのきついものもありますが、あまりにも強い香りを持っている化粧品を使っているのなら、これも慎むように勧告するべきでしょう。
髪の毛は基本的には結ぶ。カラーリングぐらいは容認するところも
「髪の毛」について見ていきましょう。
これは、「料理に髪の毛が入らないこと」が絶対条件です。肩以上(つまりむすべるだけの長さ)があるスタッフには、必ず髪の毛を結ぶように指導してください。「結べる長さではない、しかしややうっとうしく感じる長さ」の場合は、ピンなどを使ってしっかりと止めましょう。
現在、飲食店のなかでは、「完全に髪の毛を覆う帽子を使っている」というところもあります。特に厨房の場合はこの傾向が顕著です。帽子単品で被るケースもありますが、ネットをかぶって、その上から帽子をかぶるという方法をとっているところもあります。
このようなケースですと、髪の毛が料理に混入する危険性が極めて低くなります。ただ、せっかくこのような万全の対策をしていても、うまく髪の毛がおさまっていなかったのなら、宝の持ち腐れです。シフトに入る前に、お互いで髪の毛の状態をチェックするなどの工夫をしたいものです。
髪の毛の「色」に関しては、少々判断に迷うところです。「女性は落ち着いた茶色までなら可、男性は黒髪のみ」などのように性差があるところもありますが、現在は、「落ち着いた染色」くらいまでなら可、とするところも増えてきています。飲食店の種類や形態にもよりますが、明るすぎる髪の毛の色は避けた方が無難です。また、店側で、マニュアルとして「このトーンまでなら可、それ以上明るい髪の毛は染め直すこと」というように、美容院で使うカラーチャートを用意しておくのも一つの手です。
ネイルは基本的には避けるべき
最後に、「ネイル」について見ていきましょう。
いわゆる「ネイルアート」は基本的には禁じるべきです。マニュキアがはがれて料理にはいってしまったり、加工面にばい菌がついてしまったりしている可能性も少なくないからです。また、心理的なものとして、「マニュキアをした爪で料理をしてほしくない」と考えるお客様がおられることも知っておいてください。
ただ、マニキュアの場合は、特例として、「透明もしくはそれに類するような自然に見えるピンク色」は許可しているところもあります。たしかに「はがれる」という危険性は防止できないものの、スタッフのなかには、「爪がもともと弱く、割れやすい。保護の意味でマニュキアを塗っている」という人もいるでしょう。自然な色ならばあまり目立たないので、これについては考えてみるのも良いと思われます。
ただし、「長い爪」は厳禁です。長い爪は作業がやりにくいだけでなく、爪の後ろ側に非常に汚れがつきやすくなっています。汚れがばい菌の温床となることも多く、決して清潔ではありません。たとえ勤務前にきちんと洗っていたとしても作業中に汚れることはありますし、お客様に不快感を与えることは避けられません。そのため、爪はきちんと切りそろえるべきです。一つの目安となるのが、「指先から爪が飛び出ているように見えるか、見えないか」ということでしょう。
もちろん、これはごく一般的な飲食店の話です。飲食店の形態や、経営者の判断によっては、「フルメイクもネイルも長い髪の毛もOK」ということになるでしょう。
ただ、途中でのルール変更は、スタッフにとってもとまどいの元となります。最初の設定のときに、きちんと決めましょう。
また、面接時~採用時に、「この飲食店の服装ルール」を説明しておく方がよいと思われます。