飲食店への持ち込みは断るべき
常識として、飲食店への持ち込みはよくないこととされています。
基本的に、飲食店のテーブルや椅子はその店舗で販売されているものを飲食する場所です。店舗の場所代も、料金に含まれているわけですからそこに外部から飲食物を持ち込むのはよくないという考え方が主流です。
もちろん、飲食店のスペースはその店のものを食べる場所だから持ち込みはいけないという理由は間違いではありません。ですが、店舗への外部からの飲食物の持ち込みを断るべき理由は他にあります。
それは、衛生上の問題です。
飲食店では、提供するスペースで飲食されたすべてものに対して責任を負わなくてはなりません。それが、持ち込まれた食品で、当該店舗内で調理、提供されたものでなくても責任を負います。
もし仮に、持ち込まれた食品が原因で食中毒が起こった場合は、店舗は営業停止などの処分を受ける可能性が出てくるという事です。
ですから、どのような場合でも、それが常連客や古くからの知り合いであったとしても、外部からな持ち込みは断るべきなのです。
飲食店への持ち込みが原因でのトラブル事例も
顧客が持ち込んだ食品が原因で食中毒が発生し飲食店側が営業停止処分などを受けたケースが最近もありました。
2016年12月23日に茨城県の飲食店で、常連客が自宅で調理し持ち込んだクマ肉のローストに旋毛虫という寄生虫が付着しており、これが原因で食べた人に発熱や発疹の症状が出るという事件がありニュースになっていました。
このケースで、保健所はその飲食店を営業停止処分にしています。
このようなケースは決して珍しいものではなく、他にも多く存在します。
飲食店の営業停止は金銭的なダメージもさることながら、衛生管理面での信頼を失うことになります。一度、営業停止になった店舗が再び信頼を取り戻すことはとても難しく、当然のことながら飲食店経営の大打撃となります。
そうはいうものの、常連客や知り合いから「これ食べても良い?」と尋ねられると断りにくいものです。ですが、受け入れるのは得策ではありません。「持ち込まれたもので食中毒が起こっても、店が営業停止になると保健所から言われている」と理由を説明して、しっかり断りましょう。
離乳食やアレルギーへの対応は?
アレルギーをお持ちの方への対応
アレルギーを理由に、食品の持ち込みの許可を求められることがあります。
以前、個人経営のハンバーガー店で「子供にアレルギーがあるからこのトマトを洗って皿に載せて出して欲しい」とお願いしている方がいらっしゃいました。
こういう場合、心情としては許可したいと思われるかもしれませんが、安全性や衛生法を考慮すると断らざるを得ません。
アレルギー対応食を作るのは想像以上に大変ですし、誤ってアレルギー物質が混入していたら大変なことになってしまいます。
こういう場合は、アレルギー対応食は作れないことと同時に持ち込みもお断りしていることをしっかりと説明しましょう。
離乳食の場合
来店する方の中には、店舗のメニューに子供が食べられるものがないからと、離乳食の持ち込みを希望される方もいらっしゃいます。なかには、お皿やスプーンなどの貸し出しを頼まれる方も…。
離乳食の場合、未開封のレトルトの離乳食やベビーフードであれば、持ち込みを許可する飲食店も多くあります。未開封のレトルト食品であれば衛生上のリスクを回避することができるからです。加えて、大人数で来店してくれる家族連れやママ友の集まりなどは、売上の面からみても逃さないほうがいい顧客でもあります。
ですが離乳食の場合でも、持ち込みを断った方がいいケースもあります。それは、他店舗で購入したパンやお弁当、手作りの離乳食などです。
他店舗のものがダメな理由はいうまでもありませんが、手作りのお弁当や離乳食も衛生面から考えるとリスクが高いのでお断りするほうがいいでしょう。
どんなに愛情を込めて作られたお弁当や離乳食でも、ウイルスや細菌のリスクはあります。心情としては許可したい、と思ってもお断りしましょう。
そしてとても残念なことですが、離乳食に関しては「持ち込みが当たり前」と考えている方も、時々いらっしゃるようです。
持ち込みでの飲食が当たり前になると、徐々にエスカレートしてお菓子やアイスクリームなどを無断で持ち込むようになることもあります。
ですので、離乳食の場合でも持ち込む場合は「ひとことお声かけいただけるように」お願いしたほうがいいかもしれません。
持ち込みを未然に防ぐ方法
飲食店の持ち込みは、基本的にNGということはご理解いただけたかと思います。
でも、お客様から頼まれたことを断るのは気まずいですよね。そういう気まずさを出来るだけ回避するためによい方法があります。それは、注意書きを掲示することです。
メニューの横や店舗の入口などに、持ち込みが禁止であることを掲示しておけば「持ち込んでいいですか?」と尋ねられる回数は確実に減ります。店側のルールですので、先に対応しておくほうが賢明です。