日本でのパン文化が広がるにつれて、個人でパン屋さんを開業する方は増えています。飲食店業界の中でも人気が高いジャンルであるパン屋さん。普通の飲食店を開業するときとは違った手続きが必要になる場合もあります。
パン屋を開業するにはどんな手続きが必要かという点や、パン屋を成功させるコツをご紹介します。
パン屋開業には資格が必要?
開業に必須なわけではありませんが、厚生労働省が認定している「パン製造技能士」という資格があります。これは国家資格でパン屋を開業したいなら目指すべき資格となっています。
・パン製造技能士
脱サラしてパン屋を目指すといった場合や、今から専門学校に入学して資格を取るのが難しい場合は、無理に資格を取得する必要はありませんその場合は、実践で技術を身に着ける方法が適しています。
・パン屋さんに就職して修行する
自分でお店を開業できるようになるには、3年以上の就業経験が必要だと言われています。もちろん、この数字はあくまでも目安ですので3年以下でも開業できますし、3年以上修行してもいいでしょう。
修行するパン屋さんは、大手のパン屋だとすべての業務について学ぶことができないため、比較的小規模かつ繁盛している店舗のほうがいいと言われています。
・パン職人を雇う
自分で資格を取ったり、修行をしないつもりの方はパン製造の資格を持つシェフや、パン屋さんでの修行経験があるシェフを雇うというのも1つの方法です。しかしこの方法は人件費がかかるため、十分な資金が必要です。
パン屋開業に必要な手続き
飲食店を開業するために必要な通常の手続きの他に、パン屋の場合は「菓子製造業」の手続きが必要な場合があります。
菓子パンを作る場合は「菓子製造業」の許可を得る必要があると判断されます。菓子パンを販売せず、総菜パンのみを販売する場合は必要ありませんが、この基準は各地域の保健所が行いますので、保健所に届け出て聞いてみましょう。
・飲食店営業許可
飲食店を開業するためには必ず必要となる許可です。保健所に許可を申請し、基準に当てはまれば営業を認めてもらうことができます。
・食品衛生責任者の設置
こちらも飲食店なら必ず必要になる手続きです。施設ごとに1名を設置する必要があります。資格は不要で食品衛生協会が行っている講習を受ければ責任者になれます。
・菓子製造業許可
菓子パンを作る時には必要になる許可です。許可を得るには以下の基準に当てはまる設備を設けなければなりません。
・自宅のキッチンとは区別した厨房を用意する
・床と壁は耐水性の材料で清掃しやすい構造にする
・更衣室を作業場の外に作る
・扉付きの食器戸棚を用意する
・手洗い用の設備がある
※これらの基準は保健所によって違う場合があります。
パン屋を成功させるコツ
・差別化を図る
パン屋は数が多いため、普通のパン屋を開業しても場所によっては顧客が集まらないことがあります。そこで近年は「米粉にこだわったパン屋」「イーストフード不使用にこだわったパン屋」「カラフルな菓子パンが売りのパン屋」など、他のパン屋にない特徴を前面に押し出した方法で営業を行っているパン屋が増えています。
周囲のパン屋に負けないインパクトがあり、顧客のニーズに合った方法で差別化を図っていきましょう。
・目玉商品を作る
どのパン屋でも、一番の売れ筋となる「目玉商品」があります。「あのパン屋のメロンパンが凄く美味しい!」と話題になれば顧客は増え、そのほかのパンの売れ行きも上がります。
もちろん、すべての商品をこだわって作るべきですがインパクトがあってより多くの人に手に取ってもらえる「目玉商品」づくりも大切です。
・立地にこだわる
パン屋を成功させるには「パンを食べたいけど、近くにパン屋がない」という地域に出店する必要があります。パンを好んで買う若い女性や主婦層などが多く集まる場所ながらも競合店が少ない地域を探し、出店しましょう。
出店を検討している地域の「立地調査」をしっかり行う必要があります。場所を決める前にきちんとリサーチしておきましょう。
・オーナーが製造に関わる
オーナーが製造に関わらないパン屋は、パンを作るシェフと、経営に関わるオーナーとの間の意思疎通ができず、失敗してしまう人が多いと言われています。
オーナーがシェフを雇っているという形態であっても、現場に立津ことが重要です。製造にきちんと関わって「パンの味はどうか」「作り方はどうか」といったチェックを行っていき、シェフとの話し合いを通じて経営方針を検討する必要があります。
リサーチを行い、成功するパン屋を開業しよう
パン屋の数は年々増えていますが、需要も年々高まっていて競合店が多いジャンルながらも成功する可能性が十分にあります。多くの競合がいる中で成功するために重要なのは、いかにその地域のニーズにマッチできるかという点です。
例えば、子供が多い地域なら可愛らしいキャラクターのパンが人気になり、若い女性が多い地域ならヘルシーなパンが人気となります。
リサーチを重ねて地域ごとの特徴に合わせたパン作りを心がけながら、成功するパン屋経営を目指しましょう!