飲食店を開業するのに最低限必要な費用とは

飲食店を開業するのに最低限必要な費用とは

飲食店を開業したい場合、まず初めに考えるのは「費用面」についてではないでしょうか。飲食店を開業する際にかかる費用としては、大きく分けて「①物件取得費用」「②店舗運営にまつわる費用」「③会社設立に関する費用」の3つがあります。


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いくらあれば飲食店を開業できる? 最低限必要な費用とは

飲食店を開業したい場合、まず初めに考えるのは「費用面」についてではないでしょうか。飲食店を開業する際にかかる費用としては、大きく分けて「①物件取得費用」「②店舗運営にまつわる費用」「③会社設立に関する費用」の3つがあります。①は文字どおり物件を借りる・購入する際にかかる費用、②はインテリアや内装にかかる費用のことです。③の会社設立に関する費用は、経営の業態によって変わってくるものです。飲食店の場合、基本的には個人経営=個人事業主として経営を始めることが多いため、③については必要ないケースもありえます。

①店舗物件の取得費用

飲食店を経営するためには、まず実際に店舗にするための物件が必要になります。ほとんどの場合、賃貸物件でのスタートとなるでしょう。店舗用に物件を借りる場合には、保証金となる敷金が住居用と異なり賃料の10ヶ月程度が相場となっています。1ヶ月の賃料が20万円の物件を借りる場合には、保証金として200万が必要になる計算です。立地や物件の条件によっては、さらに金額がかさむこともあるでしょう。

また、最近増えている「居抜き」の場合には店舗の内装や調理器具等の設備をそっくりそのまま引き継ぐことも可能です。この場合、②の店舗投資に関する費用が安くなる分、内装や設備の状態によって譲渡代が必要になります。

②店舗運営にまつわる費用

物件を用意したら、開業に必要な器具を揃えます。店舗の内装や外装、インテリアや調理器具等をメインとして、細かな備品にも費用はかかります。店員の制服を揃える場合など、こだわるポイントが増えればそれだけ費用がかかるでしょう。

一般的には、業種や規模、店舗物件等の細かな条件によってかかる費用は変わるものの、内外装・機材費等を揃えるために1坪あたり50~80万が必要だと言われています。居抜き物件を利用することでもう少し費用が抑えられることもありますが、20坪ほどの店舗を開業するためには1000万円ほどかかる計算です。

居抜き物件を使わず開業資金を抑えたい場合には、中古備品を使って開業する方法もあります。飲食店経営者に向けたプロ仕様のリサイクルショップも増えているので、厨房機器や備品、インテリア等を中古で購入することもできるでしょう。

③会社設立に関する費用

初めから事業として店舗を展開していく場合など、飲食店で法人化を考えている人もいるかもしれません。一般的な飲食店開業の場合には、個人事業主の届け出をするだけで充分である場合も多いものの、税金対策として法人化を行うこともあります。目安としては、純利益が1000万円を超えるかどうか。1000万を超える利益がある場合、税率の関係上法人の方が得になります。なお、法人化すると「法人住民税」を支払う必要があるので、これ以下の収入の場合は個人事業主としての経営をおすすめします。

さて、晴れて1000万を超える利益を出せるようになったら、株式会社もしくは合同会社として法人化を行うことになります。この場合、会社設立に関する費用が発生してきます。

◇定款作成に関する費用

株式会社を設立するためには、公証人の手数料として5万円、謄本代として1部1,000円前後を2部で2,000円前後。これに加えて印紙代4万円とトータル9万2,000円前後の費用がかかります。電子認証で行う場合には、印紙代がかからないため5万2000円で定款を作成することができます。

また、合同会社を設立する場合には交渉人の手数料・謄本代はかからないため、印紙代の4万円のみが必要です。電子認証で行う場合には印紙代も必要ないので、定款作成に関する費用はかかりません。

◇設立登記に関わる登録免許税

設立登記をするためには、登録免許税がかかります。株式会社で起業する場合、印紙代として15万円ほど。資本金の1,000分の7が15万円を上回る場合には、1,000分の7に相当する金額が必要となります。

合同会社の場合は、印紙代として6万円、資本金の1,000分の7の金額が6万円を上回る場合には株式会社と同じく、1,000分の7に相当する金額が必要です。

◇資本金

資本金は実際に銀行口座に入金される必要のあるお金のこと。直接起業に関わる費用ではないものの、必要な資金の一部です。現在では、資本金を1円にしても会社の設立ができるようになりました。やろうと思えば資本金1円で企業が可能というわけです。

しかし、実際に1円で起業しても問題ないかというと少々難しい部分があります。というのも、会社の設立費用に関わる約30万円ほどはほとんどの場合会社負担です。ここで資本金を1円としてしまうと、起業と同時に債務超過になってしまいます。そのため、資金に余裕があるのであれば、無理せず用意できる金額を資本金として計上しておくべきでしょう。

月20万円の物件を借りて20坪ほどの飲食店を開業しようとするケースを考えると、①と②を合わせた「1200万」ほどが最低限かかる金額の目安になります。もちろん、物件の賃貸料や備品類をできるだけ安く抑えることも可能ですが、平均的な店舗であれば700万~1500万ほどが飲食店開業の相場。まずはしっかりと下調べをして、店舗の開業を進めていきましょう。