銀行から融資が受けられないのはなぜ?理由と対処法
融資を決定するのは銀行員の役目であり、数々の企業の与信審査を行ってきた銀行員はいわば融資のプロフェッショナルです。
企業の決算書を元に、様々なポイントから与信審査を行いますが、融資を断る際の理由を公開してもらえないことがほとんどでしょう。なぜなら、理由を明かしてしまうと、審査基準が公開されてしまうからです。そのため、与信審査を通過するための判断基準はあいまいであることが多いのです。
しかし、銀行員が決算書を見る際のポイントはある程度把握できます。
融資が受けられない理由
融資を受けることができない理由は大きく分けて5つです。今回はその理由について解説します。
1つ目は、「経営者としての能力に懐疑的である」という場合です。
例として、銀行員は決算書に関する様々な質問を経営者に投げかけますが、その際に不明点がある、あいまいな返答をする等の対応をされると、銀行員は経営者としての能力に懐疑的な印象を持ってしまいます。
経営手腕に欠ける経営者がいる企業に融資をしてしまうと、返済が滞るリスクがあるため、審査が通りにくくなるのです。
2つ目は、「既に借入金が膨らんでいる」という場合です。銀行は企業の出す利益を返済原資としてとらえています。
例として、A社の利益は年間2,000万円だとします。つまり、返済能力は年間2,000万円が上限であるということです。この状態で借入金が0円ならば、銀行は2,000万円以上までの融資を行う可能性があります。
しかし、既に借入金が5,000万円あり、毎年1,000万円ずつ返済しなければならない状況にあるとします。この場合、返済原資2,000万円のうち1,000万円はなくなるため、残りの1,000万円しか融資が行われないということです。
また、借入金が膨大な額にまで膨らんで債務超過に陥っている場合は、融資を受けること自体難しいでしょう。
3つ目は、「返済が遅れている」という場合です。
銀行が与信審査を行う際に見るポイントとして重要なのが、過去の返済実績です。過去に借入を行った際に返済が滞ったことがある場合、銀行側としては「今回の返済も滞るのではないか」と不安を覚えます。その結果、与信審査を通過しにくくなるのです。
4つ目は、「税金や公共料金が未払いである」という場合です。
企業は事業活動を行う中で、法人税、消費税、社会保険料等の税金や家賃や水道光熱費等の公共料金など、様々なお金を納める義務があります。これらの支払いが未払いの場合、銀行はその企業を危険とみなします。
また、日本政策金融公庫等の公的な金融機関はこれらの未納に対して特に厳しいです。
5つ目は、「赤字を出している」という場合です。
前述したように、銀行は企業の出す利益に基づいてその企業の返済能力を判断します。また何期にも渡って赤字を出している企業は返済能力が無いと判断されることが多いです。右肩下がりの売上が続いていれば、将来性がないと思われるでしょう。
改善すれば融資を受けられることも
与信審査は様々な視点から総合的に行われるため、融資を断られた理由を明確に特定することは難しいでしょう。
しかし、上記のポイントを参考にして自社の経営状況を振り返ることで、問題点が浮かび上がってくることもあります。それらの問題点をひとつずつ改善することで融資の与信審査を通過することも可能です。
一方で、これらの問題点は即座に解消することが難しい場合もあります。このような状況では、金融機関以外の融資先を検討することも必要でしょう。金融機関よりも審査期間が短く、融資基準が低い資金調達方法は数多く存在します。
銀行の融資以外で資金調達をする6つの方法
金融機関による融資以外の資金調達方法は数多くありますが、今回は6つの方法を紹介します。
1.ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業等立ち上げたばかりの企業に対して投資を行う投資会社のことを指します。対象のベンチャー企業が未上場の段階で投資を行い、企業が上場して株価が上昇した際に株式や事業を売却し、売買差益を得ることを目的としています。
投資の方法としては、自己資金を投資する方法と、投資ファンド等を設立して投資家から資金を集める方法の2つです。
メリットとしては、「スタートアップの企業でも資金調達がしやすい」という点です。創業して間もない企業は銀行からの融資を受けにくい場合があるため、ベンチャーキャピタルによる資金調達は有効でしょう。ベンチャーキャピタルは融資ではなく出資なので、企業の将来性が見込まれれば資金を得ることは十分に可能です。
一方、デメリットとしては、「経営に干渉されることもある」という点です。
ベンチャーキャピタルはキャピタルゲインを得ることを目的としており、対象企業の株価が上昇しなければ目的を果たすことができません。そのため、業績を向上させられるように経営に口を出してくるケースもあり、当初の理想像から離れた経営方針をとらざるを得なくなることもあります。
2.クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、不特定多数の個人から資金調達を行う方法です。
「アイデアはあるけれども、実現する資金が無い」という個人や企業が資金調達をする際に多く用いられる方法です。最もメジャーな購入型の他に、寄付型、投資型、融資型等の方法があります。
出資者は資金を提供する代わりに、企業の商品やサービスを対価として受け取ることができます。そのため、自社の商品やサービスの魅力を市場に伝え、顧客の獲得を期待できるというメリットがあります。
一方で、企業の事業に対して共感してくれる出資者がいなければ、資金を集めることは難しいでしょう。
3.補助金や助成金
国や地方自治体による補助金や助成金を得ることで資金を調達する方法もあります。
政府や自治体は雇用創出などによる経済の活性化を狙い、返済義務のない補助金や助成金を民間企業に支給します。
一定の条件をクリアすることでこれらの支給を受けることができますが、そもそも事業そのものに対して支給されるお金ではありません。そのため、多額の資金調達や迅速な資金調達には向いていないでしょう。
4.資産の売却
事業に使われていない遊休資産を売却することで資金を得る方法もあります。
本来は事業に使用するために取得したにも関わらず、現在は稼働していない機械、工場、建物等を遊休資産といいます。遊休資産であったとしても、固定資産税などの様々な税金を支払わなければなりません。事業に使われていないのにも関わらずコストを支払い続けるよりも、売却して資金に換える方が良い場合もあります。
取得時の価格よりも低い価格でしか売却できないことがほとんどですが、検討する余地は十分にあるでしょう。
5.ファクタリング
ファクタリングとは、回収する前の売掛債権を売却することで資金を調達する方法です。
ファクターと呼ばれる、売掛債権を購入して現金化する会社があり、ファクターに債権を譲渡して手数料が差し引かれた分を現金として得ることができます。
2社間だけでなく3社間のファクタリングもあり、手数料も異なります。
しかし、ファクタリングを行うことで、長期的な資金繰りの改善にはなり得ない可能性が高いので注意が必要です。
6.M&A
M&Aによって事業を売却し、対価として資金を得るという方法があります。
経営手腕に優れた買手企業に事業を譲渡すると、譲渡した事業の経営危機を乗り越えることができるというメリットがあります。また、自社の事業を整理し、中核事業に集中できるという点も大きな利点です。
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まとめ
金融機関から融資を得るには与信審査を通過しなければなりませんが、様々な理由から融資を受けることができない企業は多くあります。
自社の問題点を改善することで与信審査を通過し、融資を得るという方法ももちろんありますが、多くの問題点は迅速な解決をすることが難しいです。
このような状況では、金融機関以外の融資先を見つけ、融資以外の資金調達方法も検討するべきでしょう。