飲食店で出す「薬膳」

飲食店で出す「薬膳」

薬膳とは、一般に東洋医学と呼ばれる、中国伝統医薬学(中医学)に基づいた、体のバランスを整え、健康を守る料理である。 食欲を満たすための料理とは考え方や目的が異なり、中医営養学と料理学を運用し、食物と中薬(漢方薬の原料となる生薬)を組み合わせ、健康で楽しい暮らしを得るための食事(食養生)を実践しているのが「薬膳」である。


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薬膳とは、一般に東洋医学と呼ばれる、中国伝統医薬学(中医学)に基づいた、体のバランスを整え、健康を守る料理である。
食欲を満たすための料理とは考え方や目的が異なり、「薬食同源(医食同源)、医食同理」の原則にしたがって、中医営養学と料理学を運用し、食物と中薬(漢方薬の原料となる生薬)を組み合わせ、健康で楽しい暮らしを得るための食事(食養生)を実践しているのが「薬膳」である。

いつも口にする身近な食材も、特性や働きを踏まえて効果的に調理すれば、健康維持や体質改善に活かせるようになる。
近年ブームになった、生姜を食べると体が温まる、という効果も薬膳に基づく考え方であり、お刺身の横にある大葉・わさびなどの解毒効果なども、食中毒のリスクがある生魚と合わせて食べることは薬膳的な知識である。
体質や季節、体調などを考慮した薬膳料理を食べることで、より一層健康的な生活をおくれるようになる。

「薬膳」という言葉は、1980年頃の北京のレストランで使われたのが始まりと言われているが、「薬膳」という考え方(医学)の始まりは、古代の中国王朝・周代(紀元前10世紀以降)の頃にいた、皇帝の食事を管理する「食医」という宮廷医だとされている。「食医」は、食べ物で健康管理や病気の治療を行っていた。この頃から病気になって治療するよりも、食事をもって病気にならないように予防し、食事で病気の治療をすることが重要視されていた。

紀元前2世紀の漢の時代には既に、漢方薬のバイブルともいえる「神農本草経」が書かれている。これによると、365種の薬物が効能(薬効の強弱)によって上・中・下の3種に分類されていて、現代でも良く見かける、くこ、(朝鮮)人参、ねぎ、梅、アンズの種、なつめ、蓮の実、しょうが、蜂蜜、はと麦、地黄、竜眼などの食材や漢方薬が明解に整理分類されている。

最近は、中医学の考えに基づいた薬膳メニューを提供する飲食店も増えてきた。「火鍋」などは、特に人気のある薬膳メニューだ。
近年の健康志向で、誰もが健康維持や体質改善などの情報に貪欲である。多くのストレスや不調を抱えている現代人に「薬膳料理」はうってつけだ。
「薬膳」の知識はそんなに難しいものではない。きちんと理解することで自信をもって、お客様に提供することが出来るようになるだろう。
飲食店などで気軽に薬膳を楽しみ、その上効果を実感することが出来れば「薬膳は美味しくない」「薬くさい」などといったイメージは簡単に払拭され、「またあのメニューを食べて元気に!」といったリピーターにつながるはずだ。