飲食店でいう「ヤマ」とは?
飲食店ではスタッフ同士の会話の中で「ヤマ」という言葉を使うことがある。これは「在庫切れ」「品切れ」「売り切れ」という意味で「○○はヤマです」といったように使われる。
基本的にはスタッフ同士で使う会話であり、隠語として扱われているので顧客に対する言葉ではない。寿司屋や蕎麦屋といった日本料理店では比較的良く使われていると言われる。また、居酒屋などでも耳にすることが多い。
語源は「山に上って頂上につくと、その先は何もない」ということから「品切れで何もない」ことを「ヤマ」というようになったとされている。この言葉は江戸時代から使われていると言われている。
飲食業界ではこういった「隠語」と呼ばれるような用語が複数存在する。普通に「○○品切れです」「○○売り切れです」と言っても伝わるが、あえて「ヤマ」という言葉を使うのには複数の理由がある。「ヤマ」の方が言いやすいということや、店内にいる顧客に話の内容が解らないようにするためというのが主な理由とされている。昔からの習慣なので今も使い続けているという飲食店経営者も多い。
「ヤマ」といった飲食店の業界用語は比較的ポピュラーではあるが、若いアルバイトスタッフなどの中にはこういった用語に親しみが無い人も多い。店内で使用する場合はきちんと説明してあげたほうがいいだろう。
「ヤマ」という言葉は品切れや売り切れなどを指す言葉であるが、飲食店ではどの商品が品切れになっているか、その材料が無くなっているかということをしっかりと伝達することが大切になってくる。もしオーダーを取った後に品切れが解り、後から顧客に「すみません、品切れでした」と伝えるとあまり印象が良くない。二度手間になってロスタイムも増えてしまう。しかし品切れになった段階でホールスタッフにもしっかりと伝えておけば、オーダーを取る際に「こちらの商品は売り切れております」と伝えることができ、二度手間を防ぐことが可能になる。顧客から悪い印象を抱かれることを防ぐことにも繋がる。
品切れなどの情報を報告することだけではなく、それ以外でも店内の状態などをきちんとスタッフ同士で伝達することは飲食店において重要な事柄である。顧客とのトラブルを防いだり、業務を円滑にしたりすることができるため、情報の共有や伝達を意識した経営・スタッフへの教育を心がけよう。そして、そのために「ヤマ」のような飲食店の業界用語を活用していくといいだろう。