事業再生ADRとは

まずADRとは、Alternative Dispute Resolution の略で、日本語では「裁判外紛争解決手続」と呼ばれています。 事業再生ADRは、ADR手続きの一種で「過剰債務に悩む企業」の問題を解決するために生まれた制度であり、公正中立な第三者としてのADR事業者が問題解決を図る手法です。事業再生の円滑化を目的として、平成19年度産業活力再生特別措置法の改正により創設されました。


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まずADRとは、Alternative Dispute Resolution の略で、日本語では「裁判外紛争解決手続」と呼ばれています。

「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法、ADR促進法、裁判外紛争解決法など)では「訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る手続」と記されており、裁判手続きによらずに紛争を解決する手段のことを指します。

事業再生ADRは、ADR手続きの一種で「過剰債務に悩む企業」の問題を解決するために生まれた制度であり、公正中立な第三者としてのADR事業者が問題解決を図る手法です。事業再生の円滑化を目的として、平成19年度産業活力再生特別措置法の改正により創設されました。

事業再生の手法には、大きく分けて、裁判所を利用する「法的再生」と裁判所を利用しない「私的再生」の2種類があります。

会社更生法や民事再生法などの法的再生には「信頼はできるけれど、利用することによりその手続が公表され、商取引上の風評被害による事業価値毀損の恐れがある」という問題点があり、私的再生には「商取引は円滑に続けられても、債権者間の意見をまとめにくい」という難点がありました。
これらを解決するため、私的再生の柔軟性をベースにしながら、法的再生のメリットを加味して新たに作られた制度が「事業再生ADR」です。

事業再生ADRには、以下のようなメリットがあります。
・債権放棄による損失の無税償却が認められる
・商取引債権者との取引を円滑に続けられる
・法的再生と同基準やそれ以上の再生が図れる
・事業に必要なつなぎ資金の借入が出来る
・裁判所を利用した手続きに移行した場合でも、裁判所はADRの調整結果を尊重

上場企業による事業再生ADR制度の利用事例としては、2018年の「田淵電機」、2019年の「株式会社文教堂グループホールディングス」の成功事例等があげられます。