CAPMとは、Capital Asset Pricing Model の略で、資本資産評価モデル のことで、1960年代にW・シャープとJ・リントナーらによって完成された理論になります。
CAPMは、株式投資家からの期待収益率、いわゆる「株主資本コスト」を算出することが出来るモデルとなり、現在、世界的にもっとも一般的な株主資本コストの算定方法として利用されています。
CAPMの計算式は以下のようになります。
株式資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケット(市場)リスクプレミアム
リスクフリーレート:無リスクの資産に投資した場合に得ることの出来る利回り。一般的に最も安全な資産は日本国債と言われていますので、「10年物国債の利回り」を使用することが多いです。
β:株式市場全体の動きに対する個別銘柄の感応度。株式市場が1%変化したときに、個別銘柄の株式のリターンが何%変化するかを表す係数です。
マーケットリスクプレミアム:株式市場全体における利回りから、リスクフリーレートを引いたもの。株式市場全体の利回りは、過去数年間のTOPIXの平均利回りを使用します。
β値やリスクフリーレートに関しては、マーケット調査会社のサイト等で公開されていますので、その数値を参照して算出することが出来ます。
株主資本コストは、主にM&Aの企業価値評価(DCF法)をする際に、割引率として用いられているWACC(加重平均資本コスト)を算出する際にも用いられています。
株式投資の指標ではよくROE(自己資本利益率)が利用されています。
ROEは株主にとってのリターンを表す、もっとも基本的な指標ですが、リターンのみなので株主利益の一面にしか過ぎません。
そこで、コスト面の指標であるCAPMも考えなければなりません。投資家が期待する収益率は企業にとっては資金調達のコストともいえますが、それでは具体的に何%を投資家は期待しているのか、これを推計するためにCAPMはとても重要な役割を果たしています。