コベナンツ(コベナンツ条項 / Covenants Clause)とは

コベナンツ(Covenants)とは、社債や金銭消費貸借契約等で法人が資金調達をする際に、資金供給側の不利益が起きた場合に契約解除や条件の変更ができるように契約書に盛り込まれる、債務者側の義務や制限などの特約条項のことです。


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コベナンツ(Covenants)とは、社債や金銭消費貸借契約等で法人が資金調達をする際に、資金供給側の不利益が起きた場合に契約解除や条件の変更ができるように契約書に盛り込まれる、債務者側の義務や制限などの特約条項のことです。コベナンツ条項(Covenants Clause)とも言われます。

一般的には「シンジケートローン」「プロジェクトファイナンス」「LBOファイナンス」などの組成融資(複数の金融機関が参加する融資)によく活用されています。

「シンジケートローン」
顧客の資金調達ニーズに対して、アレンジャー(幹事金融機関)が複数の金融機関を取りまとめてシンジケート団(共同の融資団)を組成し、1つの融資契約書に基づいて行う融資形態です。基本的にはすべての金融機関が同じ条件・契約で融資を実施します。
信頼関係が十分でない企業との取引や、無担保融資も多いので、銀行側のリスクを減らすためにコベナンツが用いられることが多いです。

「プロジェクトファイナンス」
企業の特定の単一事業や公共事業などの特定事業に対して融資を行い、そこから生み出されるキャッシュフローを返済の原資とし、債権保全のための担保も対象事業の資産に限定する手法です。
特定のプロジェクト自体が担保となっているので、阻害要因を排除する目的でコベナンツが用いられることが多いです。

「LBOファイナンス」
買収ファイナンスやM&Aファイナンスなどとも呼ばれ、買収・M&Aの局面で使用されるファイナンスです。
買収資金の大部分を金融機関からの融資で調達する手法で、この手法を使えば、少額の自己資金での買収が可能です。
LBOファイナンスにおける担保は買収先の企業となるので、当該会社が倒産しないように、借り手企業の投資を制限する目的でコベナンツが用いられることが多いです。

M&A契約においては、契約締結日からクロージング日の間、そしてクロージング日以降、とクロージングの時点を基準に大きく2つに分けて、各当事者が行うべき行為や逆にしてはならない禁止事項を規定する条項として、契約書内に盛り込みます。契約締結日からクロージング日までのコベナンツとしては、取引実行に必要となる取締役会(又は株主総会)の承認の取得などの手続関連の規定、重要な経営判断や重要な資産の処分などを禁止する善管注意義務条項などがあります。
クロージング後のコベナンツとしては、一定期間競業行為を行わない旨を定める競業避止などがあります。