利益相反とは

利益相反とは、複数の当事者がいる取引において、片方が有利になり、もう片方が不利益を被ることを意味します。 ここではM&Aの場合において利益相反についてご紹介します。


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利益相反とは、複数の当事者がいる取引において、片方が有利になり、もう片方が不利益を被ることを意味します。

利益相反取引は、当事者同士がともに利益を得られるのではなく、どちらかが不利益を被ることになる取引を指します。
英語表記の「Conflict of Interest」の頭文字を取ってCOIと略されることもあります。

株式会社における利益相反は、取締役と会社の利害が相反する場合のことをいいます。
取締役が会社の利益を犠牲にして、自己または第三者の利益を図るような取引のことで、取締役が利益を得ることで、会社が損害を被るような取引のことといえます。

そのため、会社法では、取締役が利益相反取引を行う場合は、事前に会社に対して当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならないと定めています。

M&Aの場合においては、MBOの際にこの問題が典型的に表面化します。

M&A取引は、売り手側企業の経営陣としては株主に対してより高く売却する機会を提供する義務を負っている一方で、買い手側としては極力安く買収したい考えるため、本質的に利益相反を起こしている状態です。

さらに経営陣は会社の内情を一般投資家よりも詳しく知りえる立場にあるため、MBOに当たっては取引の公正性の確保が何よりも重要であるといえます。

近年は、M&A仲介業者の利益相反取引が問題視されるようになってきました。
M&A仲介業者の目的は、M&Aを成功させて売り手側と買い手側の双方から報酬を得ることにあります。

2020年12月には河野行政改革担当大臣から、売り手側と買い手側の双方から手数料をとるM&Aの仲介は、利益相反になる可能性があると指摘がありました。

そもそもM&A取引は「できるだけ高い価格で売却したい」と考える売り手側と「なるべく安い価格で買いたい」と考える買い手側がいる利益相反の状態であり、2つの企業の間に入る仲介会社も利益相反と考えられています。

仲介会社としては買い手側に有利な交渉を行うことで、買収成功により今後もリピートしてもらえる可能性が高くなることから、利益相反に陥りやすいといえます。