SPCとは、Special Purpose Company の略で、特別な目的の為に設立される会社のことをいいます。
会社の保有する資産の流動化や証券化などで利用されることが多いです。
M&Aにおいては、対象会社を買収する目的で設立されます。
SPCがM&Aで使われる場合には、LBOというM&Aの手法によって設立されます。LBOは 「Leveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)」の略で、M&Aの買収者が売手企業の株式や資産または将来のキャッシュフローを担保として融資を受け、その融資によって買収者は売手企業を買い取り、融資の返済は買収された企業が背負う、という手法になります。
LBOを実行する際にはまず、買収を行う者が買収のための特定目的会社(SPC)を設立します。そのSPCが対象となる会社の資産やキャッシュフローを引当てとして金融機関などから買収資金の融資を受けます。SPCは融資によって得た資金で売手企業を買収し、買収された売手企業はSPCの子会社という位置づけになります。
そして、SPCと買収された企業を合併し、SPCの借入金を返済していく、といった流れになります。
近年のLBOの成功例としては、2006年のソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収が挙げられます。買収金額は1兆7,000億円という高額でしたが、その中の1兆円はLBOによってSPCを設立して調達した資金でした。
M&Aにおいて、SPCが活用されるケースは少なくありません。SPCを活用することにより、少ない資金で買収が可能となり、融資を受けた負債は買収した会社が背負うことになるため、買手企業に返済義務がないなどのメリットがあります。
ですが、買収した会社が負債とその利息を返済できずに倒産してしまうというリスクもありますので、SPCを設立してM&Aを実行する場合には、注意が必要です。