新株予約権とは、会社法第2条21項に「株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう」と定義されています。
新株予約権の所有者は、予め定められた期間にその権利を行使することによって、当該会社の株式を予め決められた金額で取得することが出来ます。
予め金額が決められているので、時価が上昇した場合には、売却することで利益を得ることが出来ます。新株予約権は、株主総会の特別決議によって発行されます。
新株予約権の利用が想定されるケースは主に、役員や従業員へのインセンティブ(ストック・オプション)、新株予約権付社債(資金調達)、敵対的企業買収に対する防衛策などが挙げられます。
新株予約権を利用した買収防衛策には「ポイズン・ピル」と呼ばれる手法があります。これは敵対的TOBが開始されたときなどに新株予約権を活用し、仕掛けてきた相手企業の持ち株比率を低下させて買収を防ぐ方法です。敵対的買収者が買収を成立させるには、TOBでより多くの株式を株式を買収しなければならなくなり、目標達成のために多額の資金が必要となります。そのため資金が足りずに買収を諦める可能性も高くなるので、買収防衛策として有効といわれています。
M&Aにおいては、主に会社の再建や業務提携の強化、または資金調達の1つとして用いられる「第三者割当増資」を実行する際に新株予約権を利用することもあります。
特に、上場会社の間では、2019年頃からMSワラント(Moving Strike Warrant)と呼ばれる、行使価額修正条項付き新株予約権を活用して資金調達を図ることが増えています。