腕の良い調理師が繁盛店のオーナーになるのは確かに普通の流れだが・・・
一般的に料理が上手だからお店でも出したらいいのに・・・などという会話が普通に交わされるほど、調理の腕が飲食店経営に大きく関わってくるのは事実です。
飲食店は何といっても料理を提供するのが基本なわけですから、自分自身が一から十まで全てこなせるとあらば、これほど心強いことはありません。飲食業界で十分な経験を積んで来ている場合がほどんどですから、その経験が開業時には大きな役割を果たしてくれることは言うまでもありません。
ですが、調理に関するスキルがないからと言って飲食店経営ができないのか、成功することは不可能なのかと言えば、それは全く別次元の話です。調理畑での経験やスキルが成功へ直結しているわけではないということを、よく理解しておく必要があります。
成功している経営者が調理師出身でないことはザラ
成功している飲食店の経営者が調理師、又は調理畑出身でないケースはザラにあります。あなたの周囲でも調理には全く関わっていない経営者を結構目にしませんか?
それを端的に表している好例が芸能人や元芸能人の経営によるお店です。誰もが知ってる芸能人がラーメン店を経営していたり、和食のお店を持っていたりするのは有名な話です。他にも現役時代はかなり活躍していたスポーツ選手が飲食店のオーナーをしているなんて話も耳にしますよね。
彼らは飲食店経営で一定以上の成功を手にしているのですが、調理に関連した経験をきっちり積んできたわけではありません。言ってみれば調理に関してはど素人です。
その他にも、多店化して上場するまでに成長を果たした飲食チェーンのオーナーの中にも調理畑出身でない方々はかなりたくさん存在しています。
つまり、調理に関して素人であったとしても、飲食店経営に成功できる可能性は大いにある、ということを彼らが身をもって証明してくれているのです。
調理経験を持ち合わせていないのであればあなたの事業計画にぴったり合った調理担当者を雇用することで十分にその穴を埋めることが可能です。
調理に精通していない方が強い!?
意外かもしれませんが、調理に精通しないことによるメリットもあります。調理経験者はそのほとんどがどこかのお店で修行してきいるため、そこでの経験をベースに物事を考える傾向にあります。
和食高級店でやってきたのであれば高級な和食店、イタリアンをやってきたのであればイタリアンのお店、というように出店するお店の業態やスタイルが無意識のうちに決まってしまっている場合が多く、このことが意外にも足かせとなるケースがあるのです。
お店を出店するにあたり大きなウエイトを占めているのが出店場所です。仮に和食の高級店を出店したいと決めてしまっているのであれば、どこでも良いというわけにはいきません。高級和食店として成立し得る雰囲気のエリアに店を構える必要があります。この時点でかなり出店候補地は絞られてしまいます。
さらに家賃とのバランスも計算に入れなければいけません。こうなると難解なパズルのようなものです。ますます候補地は狭くなっていきます。
先に高級和食店というカテゴリーを無意識のうちに設定してしまっているがために、結果的には出店候補地が限られてしまうのですが、それでも何とか開業にこぎつけたいという意思が働き、結果的に納得しきれていない場所で見切り発車的なスタートを切っていまうようなケースに陥ることもあるのです。
逆に調理に精通していない場合はどうでしょう。一つの業態やスタイルに絞り込んだ調理経験がないことが良い方に働き、余計な先入観がない状態で候補地の絞り込みが可能になります。「成功を第一に考えた出店」が実現しやすくなるのです。
もともと特定の調理経験など全くないのですから、出店場所の選択肢が多くないような場合でも業態やスタイルを臨機応変に変更するなど柔軟な対応がしやすく、限られた選択肢のなかからチョイスしたとしても、出店エリアの雰囲気に業態を合わせるというスタンスが可能になるのです。
よって見切り発車的なスタートを切るようなことにもなりませんし、成功を十分に狙える最高のスタートが切りやすいというとても良質なメリットを確保できるのです。
調理経験が全くなくても成功者になれる
このように調理経験の無いことが飲食店経営での成功を阻むということは全くありません。無いものは雇用と言う形で補い、経験がないことを逆にメリットとして捉えながら独自の強みを発揮していくことができます。
調理経験が豊富な人も素人の人も、お店を成功させるために最も大事なことは営業力の強化です。
いくら美味しい料理を提供できる体制が整っていたとしてもお客さんを呼べない飲食店は成功できません。極端な話をすれば、そこまで美味しさを極められなくても、お客さんを呼べる店は繁盛店になれる可能性は十分にあるのです。
売り上げを確保し、それを維持し続けること。その手段として「美味しい料理=調理経験やスキル」を活用しているに過ぎないということを意識しておくことはとても大切です。