飲食店経営の多角化!業態の違う店舗を増やすには

事業が軌道に乗って収益も安定してくると、「新しい業態の事業を始めてみよう」と考える経営者もいると思います。 このような、新事業の導入によって企業全体を成長させる戦略のことを「多角化」と呼びます。 経営の多角化戦略にはさまざまな方法があり、メリットとデメリットの双方が存在します。 今回は「飲食店が事業を増やすことのメリットとデメリット」を解説すると共に、経営の多角化を成功させるためのポイントについて紹介しますので、経営者の方は参考にしてみてください。


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飲食店経営で多角化(業態を増やす)するメリットとデメリット

多角化とは、「既存の主力事業・主力製品とは別に、新たな事業・製品によって企業の成長を図ること」を指します。
多角化には大きく2つのメリットがある一方、2つのデメリットも存在します。

多角化のメリット

多角化の2つのメリットとは、「経営上のリスクを分散し、収益を安定させられる」ことと「企業全体の成長を促進できる」ことです。

近年のビジネスには大きな変動がともなうことが大きく、特に飲食業界では消費者のニーズが常に変化しています。そのような状況の中、既存の主力事業一本に頼っていると、主力事業が打撃を受けた場合、企業全体の業績も悪化してしまうリスクがあります。しかし経営の多角化により事業を複数持つことで、そのようなリスクを分散できるでしょう。1つの事業が打撃を受けても、他の事業が順調ならば企業全体の収益は安定します。

また、企業全体の成長を促進することも可能です。現代では技術が加速度的に進歩しており、それにともなって、さまざまなビジネスチャンスが次々と生まれています。このようなチャンスをつかんで経営の多角化を進めることで、新事業で大きな成功を収めることも可能です。新事業が拡大していくことで、企業全体の成長をスピーディーに進めることができるのです。

多角化のデメリット

多角化の2つのデメリットは、「中小企業には多大なコストが負担になる」ことと「効率的な経営が難しくなる」ことです。

経営の多角化を行って新しい業態の事業を始めるということは、新しいシステム、マニュアル、人材などが必要になるということです。これらの構築には多くのコストが必要となります。
また、消費者に新事業が認知されてシェアを伸ばすまでにはある程度の時間がかかります。十分な売り上げを得るまでには赤字が発生することも考慮しなくてはなりません。

コスト負担の増加と同時に、経営の効率が落ちるリスクもあります。事業を1つしか有していない場合、仕入れ管理などさまざまな業務を効率よく行うことが可能です。しかし、複数の異なる業態の事業を有している場合、異なる作業が生じてくるため必然的に業務の効率は落ちてしまうでしょう。その結果、コストがさらに生じることもあります。

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経営の多角化における4つの戦略

経営の多角化をさらに細かく分類すると、4つの戦略に分けることができます。4つの多角化戦略の大まかな内容を説明すると共に、その具体例を解説します。

① 水平型多角化戦略

水平型多角化戦略とは「その企業がすでに持っているノウハウやスキルを活かして、既存事業の市場と類似した市場で新しい事業を展開する戦略」のことを指します。

例として、すし屋が海鮮居酒屋を出店することなどが考えられます。すし屋は、魚の仕入れや保管などの、魚介類についてのノウハウを持っており、そのノウハウを海鮮居酒屋にも活用できます。
有名なビールのメーカーであるサッポロビールは、1977年にワイン事業にも展開しました。同じ酒類に関するノウハウを活用したのです。

② 垂直型多角化戦略

垂直型多角化戦略とは、「ひとつの企業が、事業を上流から下流まで全て担う戦略」のことを指します。

飲食チェーン店の多くは下流である販売を担います。上流である生産や物流は他のメーカーに任せることが一般的です。垂直型多角化戦略を採用すると、飲食チェーン店が自ら生産、流通、販売の流れを行うことができるでしょう。

③ 集中型多角化戦略

集中型多角化戦略とは、「現在自社が有している事業や資源を応用して、関連度の高い分野を開拓する戦略」のことを指します。

外食企業が自社のノウハウを活かして食品加工事業を展開することが、この戦略に当てはまります。この戦略のポイントは、既存事業のスキルやノウハウを応用する点や、既存事業の顧客に似た顧客層をターゲットにする点だといえるでしょう。

④ 集成型多角化戦略

集成型多角化戦略とは、「既存事業とは直接の関連がない、新しい業態の事業を行う戦略」のことを指します。

有名な牛丼チェーン店を経営する「ゼンショーホールディングス」が小売事業を展開する際に採用した戦略です。外食事業を主軸としていたゼンショーホールディングスは、スーパーマーケットを買収することで新しい事業である小売事業を展開しました。
この戦略のポイントは、今までに培ったノウハウやスキルとは関係のない分野に進出し、既存の顧客層とは異なる顧客層をターゲットにする点です。

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飲食店の多角化を成功させるためのポイント

経営の多角化には大きなメリットがある一方、さまざまなデメリットもありました。また、同じ多角化といえども、さまざまな分類や方法があります。

ここでは、経営の多角化を成功させるための共通のポイントを3つ紹介します。

主力事業に注力する

1つ目のポイントは、「現在ある主力事業を安定させる」ことです。
多角化をすることは、経営資源を分散させることでもあります。主力事業に安定性がないと、新事業で何かトラブルがあった際には企業全体が打撃を受けてしまいます。
経営を多角化し、新事業を展開する際には、主力事業が安定していることが前提となるのです。

フランチャイズによる多角化

2つ目のポイントは、「フランチャイズ加盟を足掛かりにして新事業を展開する」ことです。
新しく進出を考えている分野には、成功している企業がすでにいます。このような企業はその分野では知名度があり、成功するためのノウハウを蓄えていることが多いのです。

その企業とフランチャイズ契約を結ぶことで、成功するためのノウハウやスキルを取得することができるでしょう。

新しい分野での経験が全くない状態でも、大きなコストや時間をかけることなく新規事業を立ち上げることができるのです。

M&Aを利用する

3つ目のポイントは、「M&Aを利用する」ことです。
M&Aとは、日本語では「買収と合併」を指す用語であり、複数の事業や企業がひとつにまとまることをいいます。

初めから新事業を展開すると、多くのコストと時間が必要となるでしょう。しかし、M&Aを行うことで、すでに完成された事業をそのまま取得することができます。また、収支状況も把握した中でスタートできるため、全く新規で事業展開するよりも計画を立てやすいです。つまり、自社で新規事業を立ち上げるよりもはるかにスムーズな展開が可能となるのです。

飲食店におけるM&Aなら、ぜひ一度M&A Propertiesにご相談ください。飲食店のM&Aについて熟知した経験豊富な専門コンサルタントが在籍していますので、最適な提案を行うことができるでしょう。

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まとめ

4つの種類がある多角化戦略には、リスクの分散や企業規模の拡大などさまざまなメリットがあります。
一方で、コストの負担が増加することや経営の効率が低下するなどのデメリットも把握しておかなければなりません。

新規事業の展開を成功させるためには、主力事業を安定させることに加え、フランチャイズ加盟することも有効となるでしょう。また、M&Aによって多角化を行うことでスムーズな展開が可能です。多角化を行って事業の業態を増やすことを考えている方は、M&Aも検討してみてください。