成功する飲食店の経営ノウハウ「基本となる3つの数字を覚える」
飲食店を成功させるには、経営ノウハウを熟知する必要があります。
まず店が商売繁盛しているか否か。その大きな判断基準となる、売上高を知りましょう。次に売上高と経費のバランスを見るFLRを熟知し、最後に利益を残すための指標となるコスト損益分岐点売上高を把握します。
紹介する用語の意味と、導き出された数字の意味を覚えておきましょう。毎月の経営サイクルにメリハリが出てくるはずです。
①「売上高」を覚える
売上高は、年間、1カ月、1日ごとの売上をしっかり把握することが重要です。そこから売上の変化や上昇した要因を分析していきます。基本的な考えは、「客数×客単価」です。
売上が減った場合、考えられる理由が2つあります。
・客数が減っているケース
・客単価が減っているケース
このどちらかです。
前者であれば集客宣伝を見直す必要があり、後者であればメニューリストを考え直す必要があります。また、客数は新規客と既存客に分別できるので、どの客層を増やしたいかによって、今後、経営者が打つ戦略も変わってきます。
さらに詳しく、売上高を分析していきましょう。客数と客単価で分析する次の段階では、時間帯や曜日で売上を分解する作業をします。
たとえば、ビジネス街に飲食店を経営すると、平日の昼間にサラリーマンがランチを求めて客が集中するでしょう。
この場合、さらに売上を伸ばそうと考えるならば店内飲食のほかに、弁当販売によるテイクアウトでの客数と客単価の分析を組み込む必要があります。より売上を伸ばす手法を、後は実際に試行錯誤しながら見極めていきます。
さて、売上の解釈の仕方には大きく分けて、3つの考え方があります。
低調時売上
飲食店を経営していれば、必ず見込める売上を指します。開業直後や不測の事態に陥ったときでも見込める売上です。ここを見誤ると、一気に資金繰りが苦しくなります。
経営者として、最も調子の悪い状態で考えられる低調時売上の状況でも資金繰りが可能な計画を練っておきましょう。最悪のケースを何度もシミュレーションしておくと、予測の精度も向上します。結果的に、店の経営安定に繋がっていきます。
通常時売上
通常経営をしていれば達成する営業売上を指します。この数値を分析する時に、近隣店舗を参考にして、基準値を算出することが一般的です。そのため、基準値を算出すると共に、近隣店舗と自店舗の類似点を分析しおきます。他店との差別化を図るためです。
好調時売上
精一杯、努力して届く売上の数値です。この数値が飲食店としての目標になるため、できる限り高めに設定しておきます。
②「FLRコスト」を覚える
Fは売上に対する原価率を指し、Lは売上に対する人件費率を示します。最後のRは、売上に対する家賃比率のことを指します。つまりFLRコストとは原価率と人件費率、また家賃比率の合計を総称したものです。
飲食店の原価率と人件費率の平均は30%程度だといわれていますが、ビジネスモデルによって、各コスト項目の平均が大きく変わってくるのが現状です。ただし当たり前ですが、アルバイトや従業員に力を入れれば、Lの人件費率は向上します。そのため、一概に飲食店だからどの項目が高い、と断定的に示せるものではありません。
ただ一般的に、飲食店経営の場合においてFLR比率を70%程度に抑えると利益が出ると考えられています。この比率において、家賃は10%以内に留めるのが理想的な経営といえます。これらのコストは工夫次第で大きく下げられるでしょう。
またFLRコストの削減は、売上単価を上げる工夫と連動している側面も持ちます。どの材料に費用をかけるのか。また、どこでコストを削減するのか。「FLRコスト」を覚えて、経営に取り入れましょう。
③「損益分岐点売上高」を覚える
損益分岐点売上高は、利益がゼロになる売上のことを示します。つまり、黒字と赤字の分岐点です。赤字の場合、当面の目標は損益分岐点売上を超えることになります。絶対的な経営指標が、この数値によって導き出せるというわけです。
・計算方法
└損益分岐点売上=固定費÷{1-(変動費÷売上高)}
各項目を見ていきましょう。
前述したとおり、損益分岐点とは黒字と赤字の境界線です。
固定費とは、飲食店を営業する際に少なくともかかってしまう必要な費用を指します。売上とは全く関係性を持たないのが固定費です。売上の大小に関わらず、一定の費用がかかります。代表的な例は家賃でしょう。他にも固定資産税やリース料、減価償却費などさまざまな項目があります。
対して、変動費は月々の売上に応じて変動する費用です。飲食店で一番に思い浮かぶ変動費は、食材原価でしょう。売り上げが増えれば増えるほど、料理の提供数が増え材料の仕入れ数も上がります。水道光熱費や販売促進費も同様の考え方です。
ここで赤字の状態を考察してみましょう。固定費が30万円とします。変動費が20万円、売上高が40万円とします。先程の計算式に数値を代入しましょう。
損益分岐点=30万円/(1-20万円/40万円)=30万円/(1-0.5)=60万円
この経営状態の場合、損益分岐点売上高は60万円からです。反して売上高が40万円しかないので、20万円の赤字となります。
飲食店経営に困ったら専門家のアドバイスを
飲食店経営には、これまで解説したようなさまざまな知識が必要です。ただ経営分野の専門的な指標に、不安を抱く方もいるでしょう。そんなときは、専門家にアドバイスを求めるのが効果的です。
飲食業界に強い専門のコンサルティングサービス
飲食業界の経営コンサルティングには、形式が2つあります。
・特化型コンサル
・総合型コンサル
特化型コンサルではスタッフの育成、販売促進など飲食店の売上を高めるためのアドバイスを専門家が徹底的に行います。
対して総合型コンサルでは、店全体の業績を上げるため、経営の課題を改善する策の提供を行います。その中には、店のブランディングやフランチャイズ化などのサポートも含まれています。
M&A Properties の経営支援
異業種から飲食店を新たに開業する場合には、さまざまな課題があります。
今回、一から店を立ち上げて飲食店を始める前提で解説してきましたが、手段はこれだけではありません。すでに飲食店として経営されている店舗を、M&Aによって買う手段もあるのです。そうすれば、店舗のブランドや設備だけでなく人的資源も一気に確保できます。
飲食業界に強いM&A Propertiesでは、M&Aのサポートを手厚く行っています。詳しくはこちらからご覧になれます。
まとめ
飲食店を経営するノウハウとして、3つの数字を紹介しました。
売上高は、店の利益を正確にとらえる指標となります。FLRでは、その売上高と費用のバランスを見極めます。最後にコスト損益分岐点売上高を用いると、店の赤字と黒字の境界線が数式により算出できるので、より健全な経営を意識することが可能になるでしょう。
店の経営がうまく改善できない場合、飲食業界に強いコンサルティング会社に助けを求めるのもひとつの方法です。費用は必要ですが、自分達では気付かなかった問題を的確に洗い出してもらえるはずです。コンサルティングには特化型コンサルと総合型コンサルがあります。どちらがあなたの店舗経営に必要なのか、それを見極めることも大切だといえるでしょう。