わかりやすく解説!「事業再構築補助金」とは!
「事業再構築補助金」とは、新規事業分野への進出や事業再編等の取り組みにかかった費用の一部を国が補助する制度のことです。
適用には、新規事業分野への進出や事業再編等の取り組みを行っている中小企業であることなど、一定の要件を満たさなくてはいけません。
昨今、新型コロナウイルスの流行が長期化し、さまざまな企業で売上の回復が難しくなっています。
そんななか、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業をはじめとした多くの企業が以下のような事業再構築に取り組んでいます。
・事業・業種転換等の取り組み
・事業再編等の取り組み など
このような、思い切った事業再構築に意欲がある中⼩企業の挑戦を支援するために、「事業再構築促進補助金」が用意されているのです。
【要件】これらを満たせば事業再構築補助金を受け取れる
ここからは、事業再構築補助金を受けるための要件を見ていきましょう。
事業再構築補助金は、中小企業と中堅企業で補助額などに違いがあります。しかし、補助金を受けるための要件は、以下のように共通しています。
1.申請前の直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等2.事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等
3.補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成
補助額については、企業が該当する枠によって異なります。中小企業と中堅企業のそれぞれの補助額を見ていきましょう。
【対象】中小企業
中小企業に対する事業再構築補助金は、通常枠と卒業枠に分けられています。
卒業枠とは、事業計画期間内に
2.新規設備投資
3.グローバル展開
このいずれかによって資本金、または従業員を増やし、中小企業から中堅企業へ成長する事業者向けの特別枠を指します。
通常枠、卒業枠の補助額・補助率はそれぞれ次のとおりです。
枠 | 補助額 | 補助率 |
通常枠 | 100万円~6,000万円 | 2/3 |
卒業枠 | 6,000万円超~1億円 | 2/3 |
なお、中小企業基本法による中小企業の定義は以下のとおりです。
業種分類 | 定義 |
製造業・建設業・運輸業・その他(下記を除く) | 資本金3億円以下 または常時使用する従業者数300人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下 または常時使用する従業者数100人以下 |
サービス業 | 資本金5,000万円以下 または常時使用する従業者数100人以下 |
小売業(飲食業含む) | 資本金5,000万円以下 または常時使用する従業者数50人以下 |
この定義にある常時使用する従業員とは、「予め解雇の知らせを必要とする者」を従業員として考えます。つまり、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、非正規社員及び出向者であっても、期間の定めなく雇用されていたり、期間を定めて雇用していても契約を更新していたりする場合などは、「予め解雇の知らせを必要とする者」に含まれます。なお、会社役員は予め解雇の知らせを必要とする者に該当しません。
【対象】中堅企業
中堅企業を対象とした事業再構築補助金は、通常枠とグローバルV字回復枠に分けられています。
グローバルV字枠とは、以下の要件を満たしている中堅企業向けの支援のことです。
1.直前6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業2.補助事業終了後3~5年で付加価値額または従業員一人当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること
3.グローバル展開を果たす事業であること
通常枠、グローバルV字回復枠の補助額・補助率は、それぞれ次のとおりです。
枠 | 補助額 | 補助率 |
通常枠 | 100万円~8,000万円 | 1/2
(4,000万円超は1/3) |
グローバルV字回復枠 | 8,000万円超~1億円 | 1/2 |
なお、中堅企業の定義は以下のとおりです。
業種分類 | 定義 |
製造業・農林漁業・鉱業・
建設業・その他 |
資本金 3億円超 10億円以下 |
卸売業 | 資本金 1億円超 10億円以下 |
小売業(飲食業含む)・サービス業 | 資本金 5千万円超 10億円以下 |
【補助金で挑戦】事業再構築補助金の使用例
事業再構築補助金とは事業再構築にかかった経費の一部を補助するもので、対象となる経費は以下のとおりです。
・建物改修費
・設備費
・システム購入費
・外注費(加工、設計等)
・研修費(教育訓練費等)
・技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
・広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)など
ただし、補助対象企業の従業員の人件費や旅費は補助対象外なので注意しましょう。
低迷が予測される宿泊業の挑戦
事業再構築補助金の申請が多いと予想される業種のひとつとして挙げられるのが、宿泊業です。新型コロナウイルス感染が再拡大した影響で、GoToキャンペーンは一時停止されました。
こうした事情から過剰な有利子負債を抱えている企業は多く、今後に向けた資金調達が重要な課題となっています。
新規事業を展開するための投資が難しいなか、事業再構築補助金を利用することで、今後の感染予防対策だけでなく、新たなサービスやそれに必要な機器の購入費に活用できるでしょう。
たとえば、空いている部屋をコワーキングスペースとして活用する場合、改修費が必要です。これに事業再構築補助金を活用すれば、新たな事業展開を行いやすくなるでしょう。
落ち込んだ飲食業の挑戦
宿泊業とともに、事業再構築補助金の申請が多いと予想される業種が飲食業です。こちらも新型コロナウイルス感染の再拡大により、営業時間の短縮要請などによる大きな影響を受けています。
飲食業の事業再構築補助金の活用先には、以下のようなものが想定されます。
・宅配などの新規サービスの設備導入費
・広告宣伝費 など
【早速!】補助金の申請方法
では、事業再構築補助金の申請方法について見ていきましょう。
事業再構築補助金の申請は、電子申請のみです。また、電子申請システムの利用には、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。
GビズIDプライムアカウントの取得には、2~3週間程度かかる場合があります。そのため、事業再構築補助金の利用を予定しているのであれば、あらかじめ取得しておいたほうがスムーズに申請できるでしょう。
ただし、事業再構築補助金の受付はまだ始まっていません。令和2年度第3次補正予算が国会で成立後、数ヶ月以内に申請手続きが始まる予定です。
補助金・銀行融資で事業再構築が難しい場合はどうする?
政府は、新型コロナウイルスの影響拡大による企業の倒産を防ぐために、さまざまな補助金などを用意しています。
事業の再構築を検討している方は、事業再構築補助金を活用して経営難からの脱却を目指しましょう。
ただし、事業再構築補助金は前払いではありません。事業再構築のための経費は、企業が事前に支払う必要があります。
すでに経営難に陥っている飲食店などは、まとまった資金を事業再構築に使うことが難しい場合もあるでしょう。そのため、銀行から融資を受け、キャッシュを増やすことを検討することになります。
とはいえ、経費の支払いや銀行からの融資が難しい場合もあるでしょう。このようなとき、M&Aによる会社・事業の売却という選択肢があります。
つらい決断になるかもしれませんが、M&Aによる売却で、次の事業を始めるための資金をつくれる可能性があります。未来への選択肢として、一度検討してみるのも良いでしょう。
M&A Propertiesでは飲食店に特化したM&Aサポートを行っています。事業再構築にお悩みの方は、まずは一度、弊社にご相談ください。
事業承継・引継ぎ後も支援!「事業承継・引継ぎ補助金」
政府の支援は、事業再編等の取り組みだけに留まりません。事業再構築促進補助金とは別に、事業承継・引継ぎ後も支援できるよう、事業承継や引継ぎ推進事業にも約56億円の予算を確保しています。
「事業承継・引継ぎ補助金」とは、事業の多角化戦略によるM&Aや、その後の設備投資などの資金も補助する支援制度です。
補助率は設備投資などにかかった費用の3分の2で、親族内承継の補助上限額は最大400万円、M&Aを用いた引継ぎは最大800万円を受け取れます。また、廃業をともなえば、さらに200万円の補助金が上乗せされます。
事業承継・引継ぎ推進事業では補助金とは別に、M&Aや事業承継で引き継いだ後継者に求められる能力や素質を明確化し、それらの承継トライアル実証事業も実施しています。
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、私たちの生活には新たな生活様式が定着しはじめました。ウィズコロナを生き残っていくために、企業にはそれに合わせた事業の再構築が求められています。
今後始まる事業再構築補助金は、事業再構築の資金を一部補助してくれる制度です。ただし、経費の前払いが必要であることに注意してください。
また、補助金の活用だけでなく、金融機関からの融資やM&Aなど、あなたにとって最適な事業再建の方法を選択しましょう。