潰れる飲食店の前兆
潰れる飲食店の主な前兆には、①客足が遠のいている、②客層が変わった、③人気メニューの売上が減った、の3点があります。
ここから、それぞれの前兆について、具体的にみていきましょう。
客足が遠のいている
飲食店では、当然ながら、客数が売上に直結します。客足が遠のけば売上は減少するため、飲食店が潰れる可能性は高まります。
しかし、どの経営者も飲食店を開店するにあたって、マーケティングや経営プランをしっかり行っているはずです。それでも客足が遠のくとすれば、経営者が気付いていない何かしらの原因があるはずです。
そこで、客足が遠のいていると感じたら、すぐに原因を分析しましょう。
原因はその飲食店により異なります。近くに同じような店ができて客を奪われた、メニューの値上げによりリピーターが減った、新規顧客を獲得するための宣伝が不十分だったなど、様々な原因が考えられます。
客層が変わった
ターゲット層としていた客が減り、想定外の客層が増えた場合は要注意です。
飲食店では、ターゲットとなる客層に合わせたメニューや価格設定を行い、それによりひとり当たりの客単価を想定し、売上の予測をつけるのが一般的でしょう。
しかし例えば、流行のメニューを取り入れたことで。想定より若い客層が集中して客単価が下がるなど、経営者の考える客層とのミスマッチから経営難に追い込まれることもあるのです。
ターゲット層が求めるメニューを開発する、インテリアなど店内の雰囲気を変えるなど、経営者が想定するターゲット層に好まれる飲食店とするために、戦略を練り直す必要があるでしょう。
人気メニューの売上が減った
飲食店にはその店の看板ともなる人気メニューが存在するものです。そんな人気メニューの売上が減った場合も、飲食店が潰れる前兆である可能性があります。
売上に貢献してきたメニューの注文が減ったということは、つまり、そのメニューの魅力がなくなってきていることを意味します。
人気メニューの売上が落ちる理由には、使用する食材を変えたり、調理する人を新たに雇ったりすることで、これまでとは微妙に味の違いが出てしまうこともあるでしょう。また、数年前のタピオカブームのように、一時的な流行に乗っただけで、時間とともに目新しさがなくなったということもあるかもしれません。
飲食店の安定した経営には、人気メニューの改良や新たなメニューの開発に向けて努力をし続けることが重要となります。
特に飲食店の経営が安定してくると、メニューはマンネリ化しやすいものです。一方で、客の求めるニーズは常に変動しています。ライバル店の動向や食のトレンドは、常に調査しておく必要があります。
飲食店が潰れる前兆が現れる原因
ここまで、飲食店が潰れる前兆を解説してきました。これらの前兆は、飲食店そのものの問題だけではなく、ライバル店や食のトレンドに影響を受ける場合はあります。しかし、経営者の判断で原因を取り除けるケースもあるのです。
経営者が日頃から気を付けておきたい、飲酒店が潰れる原因を紹介していきます。
オペレーション管理ができていない
飲食店のオペレーション管理は、客離れや飲食店の低評価にもつながりかねない重要な項目です。現状を確認し、改善点を見極めましょう。
店舗のオペレーション管理ができていないと、混み合う時間に人手が足りず料理の提供に時間がかかる、追加のオーダーになかなか応えられないなど、客が不満を持ちやすくなります。
オペレーション管理は、次のふたつの要因に分かれます。
・店内オペレーションルールの不徹底
人手不足では、単に従業員の人数が足りないことはもちろん、必要なときに必要な人数が配置されないことが大きな問題となります。
人手不足から充分な接客を行えなければ、客の満足度を下げ、リピーターを獲得できません。その結果、来客客数・売上の減少を招く恐れがあります。
また、人手や人員の配置に問題がなくても、客へスムーズに料理の配膳ができない、オーダーが正確に通らないなど、オペレーションルールが徹底されていなければ、これも客の満足度を下げる原因となります。
従業員の実務を自身の目で確認し、ルールが守られているか、あるいはルールが適切であるかなど、現状を分析しましょう。
さらに、従業員によりオペレーションルールの理解度に違いがみられるなら、現場を熟知している社員をリーダーとし、全員にルールを浸透させることも大切です。
原価管理ができていない
メニューの原価管理も、飲食店が潰れる原因になることがあります。
店で提供するメニューに対して、例えば以下のような項目で曖昧になっていることはないでしょうか。
・どの材料・調味料をどれくらいの分量で作るのか
・提供するひとり当たりの分量はいくらか
・仕入れた食材を余らせていないか
・作り過ぎで料理を余らせていないか など
おいしい料理を提供すれば、飲食店は繁盛するでしょう。しかし、原価が高すぎたり、目分量や調理する人の感覚に頼りすぎて原価が曖昧になったり、食材や料理を余らせる機会が多かったりすれば、利益に対する損失の割合が大きくなり、経営を圧迫します。
このような曖昧な原価管理は、いずれ破綻します。大切なのは、メニューごとにかかる原価を正確に把握し、店側・客側にとっての適量を守り、原価に見合う価格を設定することです。
利益優先で顧客目線に立っていない
あまりに利益を追求しすぎると、サービスの低下などから、顧客離れを起こす可能性があります。
例えば、料理やサービスのクオリティーの低下が考えられます。
一品あたりの原価を抑えれば抑えるほど、利益率はアップしていきます。しかし、食材のクオリティーを下げすぎると、料理に対する顧客満足度が下がり、客は減っていくでしょう。そうなっては、いくら利益率の高いメニューを用意しても、飲食店としては機能しません。
簡単に固定費を減らせるからと、安易に人件費を削るのも問題です。
従業員の解雇によって、給料の支払いなどが減れば、財務上は利益が増えたようにみえます。しかし、人手不足によるサービスの低下があれば、一時的な利益確保にしかならず、客離れの原因となるでしょう。
場合によっては人件費の削減も大事な経営判断ですが、飲食店では特に顧客目線に立つことを優先することが重要です。
客席のレイアウトに無駄がある
飲食店の売上アップには、どれだけ多くの客を呼び込み、回転させるかが大事です。客席のレイアウトが、利益を逃す原因になることもあります。
テーブルの間隔が広すぎる、一人客や四人客など客数ごとの対応が難しいなど、客席のレイアウトが悪ければ、呼び込めるはずの客を失う可能性が高まります。
また、従業員や空きを待つ客から見えにくい席が多いと、客は店の混雑状況を気にすることなく、長居しやすくなります。つまり、レイアウトによっては回転数も悪くなり、いつも客でいっぱいなのになぜか売上や利益につながらないということにもなりかねません。
店舗のレイアウトに無駄があると感じたら、効率良く売上につながるようなレイアウトに変更しましょう。
グルメサイトなどのWEB情報が不十分
新規顧客の開拓は、リピーターを増やし、飲食店の経営を安定させる重要な要素のひとつでしょう。新規顧客をどのように獲得するかは飲食店により様々ですが、最近はネットを使う方法が主流です。
例えば、お客様へのアピールする方法として「店舗のWebサイト」や「グルメサイト」を活用する経営者は多いでしょう。しかし、サイトに掲載されている情報に誤りがあったり、古いままで更新されていなかったりと、情報が不十分であれば顧客獲得にはつながりません。
また、多くの飲食店がネットを使った宣伝や広告を行っているため、多くの店から選ばれる工夫や努力も必要です。そのため、以下のように、サイト情報の充実を図っていきましょう。
・店舗のおすすめポイントや独自のこだわりを紹介する、
・デート向き、宴会向きなど適した用途を明確にする など
中でも画像は、多くの客が飲食店選びの参考にする重要な要素ですので、プロのカメラマンを雇うのもおすすめです。また、個室がある、貸切できる、ファミリーでも使いやすいなど、どのように利用できるかを知らせると客は安心して来店できます。
「お客様は何を知りたいのか」を考えて、ネットのコンテンツを増やすことをおすすめします。
客層や周辺店舗のマーケティング不足
飲食店を新規開店するときには、事前のマーケティングが不可欠です。ターゲット層やライバル店に対するリサーチ不足により、閉店になるケースも考えられます。
まず何より重要なのが立地です。ターゲット層が訪れやすい場所か、近隣にライバル店があるか、日中と夜間あるいは平日と祝日とでの人通りの違いはどうかなど、細かく把握しましょう。
店をどのように宣伝するのか、これもターゲット層の好む方法を選択する必要があります。
また、客層に沿わないメニューの提供は避けなければなりません。良い立地にはそれだけ多くのライバル店が存在します。ライバル店に差をつけるには、客層に合ったメニューを提供するだけなく、常に新たなメニュー作りに取り組むことも必要です。
とはいえ、先ほどのタピオカブームのように、流行中という理由だけでメニューに加えると、ターゲット層から敬遠される恐れもあります。
リピーターに継続して通い続けてもらうために、客の声やクチコミをアイディアとして取り入れるのもいいでしょう。
店に清潔感がない
当たり前のことですが、清潔感がない店には客は入店しようとしません。料理を食べる場所に清潔感がなければ、どれだけ新規顧客が訪れてもリピーターにはなってくれないでしょう。その結果、売上が伸び悩むことになります。
飲食店にとって、清潔感は命です。テーブルやフロアといった料理を提供する場はもちろん、以下のような場所も忘れてはいけません。
・トイレ など
出入口は飲食店の顔に当たります。店の第一印象を決める大切な場所ですから、入り口前の道を含め、日頃から清掃を心がけて下さい。
また、飲食すればトイレを利用する機会は自然と増えます。そのため、飲食店のトイレは客の目に触れやすい場所です。多くの人が利用する分、定期的に清掃するオペレーションを組まなければなりません。
店内の隅々をチェックして、ホコリや汚れがたまりやすい場所を確認して下さい。キッチンの位置や料理の内容によっては、油飛びによるベタツキにも注意が必要です。
改善策を施してもうまくいかない場合はどうすれば良いか
どんな経営者も不本意に飲食店を潰したくないでしょう。しかし、飲食店の潰れる前兆を把握し、改善するように努力はしたものの、効果が出ないときもあるかもしれません。このような場合、次にできることとは何でしょうか。
考えられる案は、次のふたつです。
・店の業態を変更する
あくまで最終手段ですが、飲食店経営の出口戦略として把握しておきましょう。
閉店したくないと限界まで粘るのは得策ではない
改善策を実行したのに、それでも売上が改善しない場合は、店そのものに問題はない可能性もあります。
例えば、コロナ禍による営業自粛など、時代の流れもあるでしょう。あるいは、人気のチェーン店や大手企業によるライバル店が近隣にオープンしたなど、避けられない要素も少なからず含まれます。
どのような場合でも、経営者は柔軟に対応を考え続けなければなりません。それでも売上が改善しなければ、店舗を続ければ続けるほど赤字を増やしてしまうことになります。しかし、閉店したくないからと、運転資金を限界まで使いきることはおすすめできません。
限界まで資金を使いきれば、新たな問題が発生しても、対応できるだけの力はもう残されていないでしょう。
また、閉店を決めたとしても、店を閉じる日まで家賃や人件費といった出費は続きます。例えば店舗の原状回復費などに払う資金が足りず、閉店するためにお金を借入れることになるリスクもあります。
閉店を決めても実際に空き店舗になるのは数ヶ月先となるのが一般的です。閉店となる事態も想定しながら、最後の段階で困ることのないように、感情論で動くことなく余裕をもった資金繰りを考えて下さい。
また、閉店後に新たな飲食店をリスタートしたいときにも、資金のある・なしでは状況は大きく変わるでしょう。
業態を変更する
飲食店の経営がうまくいかないときには、思いきって今の業態を変更するのもひとつの手法です。
例えば、周辺で大規模開発があり、それまでは少なかったファミリー層が増えたとしましょう。こうした客層の変化に合わせた店舗に業態を変更すれば、売上チャンスがあるかもしれません。
ただし、業態変更には、多かれ少なかれ、店舗改装などにより資金が必要になります。資金力がなければ、簡単には実行できません。金融機関にローンを申込んでも、現在の経営が苦しければ、思うように借りられない可能性もあります。
飲食店の閉店・業態変更にM&Aを活用しよう
飲食店の経営者として、閉店や業態変更といった最終手段を検討しているなら、ぜひ検討いただきたいのがM&Aです。
飲食店専門のM&Aアドバイザー「M&A Properties」は、飲食店経営者の方々にM&Aという選択肢を提案しています。
M&Aには、飲食店経営者に数々のメリットをもたらします。
最も大きなメリットは、店舗を売却することによって、閉店時に生じる原状回復費といったコストを削減できることでしょう。飲食店の内装撤去などの費用は、面積にもよりますが、数百万円かかることも珍しくありません。
M&Aによって店舗を売却すれば、こうした費用を払う必要がないうえ、条件によっては売却益を得ることも可能です。また、交渉条件によっては、経営者自身や従業員の雇用を守ることができるのも、M&Aの魅力です。
飲食店のM&Aで買手となる企業のほとんどが、飲食店経営のノウハウに精通しています。そのため、新たな法人格としてリスタートした飲食店は、安定した経営を実現しやすいといえるでしょう。
「M&A Properties」には、飲食店のM&Aを成約してきた豊富な経験と実績があります。成約するまで手数料はゼロなので、まずは気軽にお問い合わせください。
まとめ
潰れる飲食店には共通する前兆が見られ、その前兆に至るのには原因があります。閉店という事態を未然に防ぐために、経営者は日ごろから様々な対応策を講じることが大切です。
ただし、あらゆる策を講じても改善しない場合、資金の限界まで経営を続けることはおすすめできません。閉店にも店舗のリスタートにも、大きな資金が必要です。感情論ではなく財務状況や経営計画を元に、冷静に判断して下さい。
閉店や業態変更という最終手段を検討する際には、M&Aという選択肢も考慮してみましょう。
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