V字回復し復活を遂げた企業事例
V字回復を果たし、復活を遂げた企業の実例を紹介していきます。
紹介する企業は、以下のとおりです。
各事例を詳しく解説していきます。
マクドナルド
マクドナルドは、V字回復した企業の顕著な例です。
そもそもマクドナルドが業績を落とした要因が「鶏肉問題」でした。2014年に発覚した当問題は、翌15年の異物混入事件と相まって純損失347億円まで落ち込みました。
ここでマクドナルドは、ファミリー層や若者にターゲットの絞り直しを実行。日常的にSNSを見ている若者に対して、商品名をインターネットで募集するなど参加型の取り組みを行ったのです。また管理面も見直し、広告費の削減を実行して人件費を増加させました。
顧客の満足度向上を徹底した結果、過去最高の業績にV字回復を果たしています。
リンガーハット
長崎ちゃんぽんの専門店「リンガーハット」は2009年に過去最大の赤字24億円を計上しているのです。打開策として、国産野菜、小麦の使用を徹底していきます。材料費が約10億円上がるのを覚悟した上で、国産野菜100%に切り替えていきました。
現場の育成費にも力を注ぎ、女性が活躍する場を同時に提供しました。女性の意見を参考に、自分好みの食材をトッピングできる「myちゃんぽん」を導入。その結果、2016年2月期の売上高は前期比3.5%増の395億円になり、そこから3期連続最高益を達成しています。
ゼンショー
「すき家」を運営するゼンショーは深夜を1人で回す営業体制「ワンオペレーション」問題と向き合ってきました。ブラック運営から打開するために2014年、ワンオペ廃止を決定します。このため、人件費の増加で、25億円にものぼる巨額損失を出します。
ただし2016年には、大幅赤字からV字回復を果たしています。
その決め手は「New Value」をコンセプトとした牛丼の商品設計を見直しにありました。
商品単体の値段は引き上げたものの、具材をボリュームアップさせ、サイドセットの充実にも力を注ぎました。カレーなどがよい例です。
ケンタッキー
ケンタッキーを展開する日本KFCホールディングスは、売上高減少に苦しめられました。2018年6月までの売上高は、前年比18.7%減にまで落ち込んでいるのです。売上高が減少した主な原因が「客離れ」にありました。
ここでKFCホールディングスは手を打ちます。メニューで魅力的な期間限定の500円セットランチや、曜日限定のお得なセットを展開したのです。そうして新たな顧客をつかみ、また季節商品を限定で販売することで、離脱率を下げていきました。
客数を確実に伸ばした同社は、V字回復を達成しています。
無印良品
「無印良品」を運営する良品計画は、2001年から2003年まで業績が落ち込みました。最大の要因は、商品力の低下でした。そこで、消費者とともに商品開発する「くらしの良品研究所」を展開し、客が欲しいと思える商品を販売する「投票制」を採用しました。
努力が実を結び、同社がV字回復したのは2016年。
消費者とのコミュニケーションを増やして、ニーズをしっかりと掴んだ結果、国外、国内ともに売上高が急増しました。
森永製菓
森永製菓の売上をけん引するゼリー飲料「inゼリー」です。
2007年付近は高い売り上げを誇っていましたが、2014年3月には新たな商品展開や英字にするなどのパッケージデザインを中心に商品をリニューアルしたところ、売り上げが下降していきました。
焦って4ヶ月後にリニューアル前に戻したものの、客は戻ってきませんでした。
そこで2015年度からは商品の軸を機能性重視に戻していきます。
ビジネスパーソンを軸に、スポーツをする人や風邪をひいた人に対するニーズにも応える商品作りを徹底していきます。
細かい点では、店頭のPOP広告を健康重視にするために「水分補給」や「ビタミン摂取」の文字を入れるようにしました。またマスクやサプリメントなどの風邪対策の商品棚にゼリーを置くように変更しました。
その結果、2016年3月度以降、売り上げは一気にV字回復を果たしています。
ジャパネットたかた
2012年に2年連続で大幅減収した「ジャパネットたかた」はピンチを迎えます。原因は地上デジタル放送に伴うテレビの買い替え特需が終了した反動で売上げが減少したのです。
テレビを含む電化製品(デジタルカメラ・カーナビなど)が大苦戦したことを受け、同社はマーケティング戦略を修正します。
取り扱う商品を大幅に増やしたのです。掃除機や調理家電、ウォーキングシューズなど販売商品は多岐にわたっています。
その結果、同社は2014年に最高益を叩きだしました。
日産自動車
1999年頃、日本経済のバブル崩壊で巨額の赤字を抱えた「日産自動車」はフランスの自動車メーカー「ルノー」の傘下に入ります。ここでカルロス・ゴーン氏が同社CEOに就任し、目標の明確化と現場主義を徹底していきます。
具体的に提示した目標は3点です。
・ 2002年度に、連結売上高営業利益率4.5%以上を達成
・ 2002年度末までに、自動車事業の連結実質有利子負債を7,000億円以下に削減
実際にゴーン氏はこの3つの目標を1年前倒しでクリアし、V字回復の立て役者となりました。
V字回復成功の要因
V字回復成功の要因は大きく3つ上げられます。「ブランド力」、「ポテンシャル」そして「資金力」です。またその上で、従業員にコンセンサス(合意)を得ることが非常に重要になっていきます。
ここから、項目ごとに詳しく見ていきます。
ブランド力
企業や商品にブランド力があることは、V字回復成功の大きな原動力につながります。
そもそも、ブランド力がある企業は名知名度が高いので回復する手が打ちやすいのです。
例えば、マクドナルドはいち早く広告費の削減に着手しました。これはマクドナルドのブランド力があるからこそ出来た選択ともいえます。
ポテンシャルがある
V字回復とは、もともと優良だった企業が業績の落ち込みから回復することを意味します。つまり、いずれかの製品やサービスが優秀だったはずであり、企業にそもそものポテンシャルがあるというわけです。
そのポテンシャルさえあれば、落ち込みの原因の把握と正しい対策次第で、軌道修正が可能なはずです。具体的に好調だった際に主力だった商品(サービス)を調査するだけでも細かな変化がみえてくるはずです。
- 商品自体に関するリニューアルをして、失敗したのか。
- そのほか、外部要因に問題があるのか。
徹底的な分析を行っていきましょう。
資金力がある
業績をV字回復するためには、さまざまな施策を行う必要があります。実施には資金力が必要不可欠です。社内でまかなえるのであれば理想的ですが、ほとんどの場合、そうはいかないでしょう。
銀行など、資金調達先を確保することが必要になります。資金力の確保が業績を回復させる第一歩になっていきます。
従業員のコンセンサスを得る
実は、業績のV字回復に最も大事な点は「従業員のコンセンサスを得る」ことです。V字回復するための施策が決まっても、企業内部の従業員の協力がないと絶対に成功しないからです。
トップだけが勢いよく経営戦略を切り替えたところで、意味がありません。
皆が同じ目標に向かって進むことが、重要であるのです。
まとめ
企業の業績がV字回復した例と要因を詳しく解説していきました。会社の方針によって、独自に立て直した企業もありますが、共通して企業の立て直しに採用されている要素もありましたね。
V字回復成功の要因は大きく3つ「ブランド力」、「ポテンシャル」そして「資金力」が必要になっていきます。
同時に、従業員にコンセンサス(合意)を得ることが大事です。また外部にアドバイスを求めるのも一つの手です。
M&A Propertiesでは、飲食業界を中心に豊富なネットワークとM&A実績を誇ります。M&Aを通じて業績が回復した例もありますので、気軽にご相談して頂ければ幸いです。