特定エリアで集中的に出店するドミナント戦略とは

「ドミナント戦略」という言葉を知っていますか。 実は日頃の買い物や散歩で、目の当たりにしているお店の並びに、「ドミナント戦略」が隠れていることがあります。 今回は、ドミナント戦略の意味やメリット・デメリット、成功させるためのポイントを紹介します。


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多店舗展開における「ドミナント戦略」とは?

「ドミナント戦略」のドミナント(dominant)とは「支配的な」「優勢な」という意味があります。つまり、ドミナント戦略は他店よりも優位に立つための戦略といえます。

店舗展開における具体的なドミナント戦略の流れは、以下のとおりです。

1. チェーン展開をする地域を特定
2. 限定したエリア内で、集中的に店舗展開を行う
3. 店の経営効率が高まる
4. 地域内のシェアが拡大する

ドミナント戦略では、特定のエリア内で集中的に店を出していきます。そうすることでエリア内での認知を上げ、市場の占有率を高めることで全店舗の利益を上昇させることができます。

ドミナント戦略の代表例が「コンビニエンスストア」です。街を歩いていて、近い距離で同じコンビニを複数見かけたことはありませんか?

あの状態は、ドミナント戦略から発生した構図となっています。

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ドミナント戦略のメリット

ドミナント戦略のメリットは、大きく3点あります。

1. 経営資源を効率的に活用できる
2. エリア内における認知度が上がる
3. エリアに適したマーケティングが行なえる

物流コストを下げ、広告宣伝費を削減していきます。そのうえで、各エリアに適応した独自のマーケティングを展開することで、ドミナント戦略の効果を高めていきます。

各メリットを、細かく見ていきましょう。

経営リソースを効率的に活用できる

ドミナント戦略では、経営リソースを効率的に活用できるというメリットがあります。

限られたエリア内で同一チェーンの店舗を展開するドミナント戦略では、店舗が近距離に集まっているため、一度の配送でたくさんの店舗を回れるようになります。結果、配送コストや移動コストを低く抑えることが可能です。

飲食店や小売店舗の場合、他店舗への応援や掛け持ちのシフト組みができるようになるため人件費を抑えて効率的な経営ができるようになる点も、ドミナント戦略の魅力といえるでしょう。

エリア内における認知度が上がる

エリア内における認知度が上がる点も、ドミナント戦略のメリットです。

狭い地域に同じ店が複数店舗並んでいることで、その地域に住む人たちは日常的に看板や店を見かけることになるため、「この地域にはあの店が多い」という認知度を得やすくなります。

その効果は広告コストを下げるだけではなく、店に対して信頼感や安心感を抱いてもらえる効果もあります。

また、エリア内の店舗と共同でキャンペーンを行うなど、地域に根ざした独自戦略を実施することも可能です。そのため、高い宣伝効果を狙える戦略でもあります。

ほかにも、ドミナント戦略にはほかの企業の参入を防ぐ効果もあります。

たとえば、ほかの都道府県では見かけないスーパーや飲食店が、地域住民にはなくてならない店として親しまれている様子をテレビなどで見たことがある人も多いでしょう。

多くの人は、普段から使い慣れた店を好んで利用します。地域内で店が人気になれば市場が独占的になり、ほかの店は顧客を奪い取る戦略に苦慮するため、参入を見送ることになります。

エリアに適したマーケティングが行いやすい

エリアに適したマーケティングが行いやすい点も、ドミナント戦略のメリットです。

地域によって親しまれる商品やサービスは異なります。たとえば、うどんは関東では鰹節ベースの味付けが好まれますが、関西では昆布ベースが好まれます。

店舗を複数地域に展開する場合は、それぞれの地域の特色を把握したうえで適したマーケティングを行わなければなりません。

一方、ドミナント戦略では同エリア内に多数の店が構えられているため、その地域で好まれるマーケティングに特化することできます。

地元の名産品や地域名と関連付けたメニューやキャンペーンなど、地域の特色をうまく店に取り入れられれば、売り上げアップにつながるでしょう。

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ドミナント戦略のデメリット

次に、ドミナント戦略には気をつけなければならないデメリットが2点あります。

ドミナント戦略は狭めた地域に店を多数出店することで、メリットを全店舗で享受できる戦略です。しかし裏返せば、デメリットも全店舗に広がっていく恐れがあります。

どちらのデメリットにも細心の注意を払って、リスクに対応する心構えが必要です。

地域的なリスクが集中する

集中して出店している地域がある場合、災害などが発生したとき全店舗が被害を受ける可能性があります。エリアを狭めている分、同一チェーンの店舗全体に影響してしまうでしょう。

また、リスクは災害だけではなく、不祥事などのトラブルも同様です。

どこかひとつの店舗において悪いイメージがついてしまうと、連鎖的にほかの店舗にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

ドミナント戦略は、常に地域的なリスクに警戒心をもちながら進めなければなりません。

グループ内での顧客の取り合いにつながる

地域を集中する戦略に固執するあまり、場所を限定しすぎることも危険だといえます。

同系列の店舗があまりにも近い距離にあると、グループ内で顧客の取り合いにつながりかねないからです。その結果、採算のとれない店舗が増加する恐れがあります。

また、流行や時代の流れによって、店の需要が減少してしまうケースもあります。人口減少や宅配サービスの普及によって実店舗の利用者数が減少すれば、一部撤退などの決断を求められる可能性があります。

採算が見込めそうかどうか、店舗を展開する前にしっかりとした調査が必要です。

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ドミナント戦略を成功させるためのポイント

ここからは、ドミナント戦略を成功させるためのポイントを紹介していきます。

戦略のメリット・デメリットを抑えたうえで成功するための道筋を考えると、より具体的なプランを練られるでしょう。

対象となる地域について入念にリサーチする

ドミナント戦略は、地域の選定がカギとなります。対象となる地域はどのような特徴をもっているのか、入念にリサーチしておかなければなりません。

調査範囲は現在だけでなく、将来にまで渡ります。たとえば、現在の人口と将来予想される人口の増減や世帯層の変化などです。

未来に起こりうる地域と需要の変化を予想したうえで、戦略を立てていく必要があります。

多店舗展開に詳しい専門家のアドバイスを受ける

ドミナント戦略で多店舗展開を考えている場合、戦略はもちろんのこと、店舗の増やし方にも工夫が必要です。

とくにM&Aによる多店舗展開を考えているケースでは、よりプランが複雑化していきます。M&Aに精通した専門家によるサポートを受けることは得策といえるでしょう。

飲食業界に豊富な実績をもつM&A Propertiesなら、丁寧なヒアリングをもとに最適な多店舗展開のサポートを行います。またドミナント戦略を組み込む多店舗展開に関しても、お力添えさせていただきます。ぜひ、一度M&A Propertiesにご相談ください。

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まとめ

ドミナント戦略は、特定の地域内に集中的に出店することで、地域での認知度を高めシェアを拡大させる効果的な戦略です。

ドミナント戦略には経営リソースを効率的に活用できる、地域に特化したマーケティングが行いやすいといったメリットがあります。しかし、限定された地域での展開は、震災や不祥事などの影響が全店舗に及ぶ可能性があるため注意が必要です。

ドミナント戦略を上手く活用するには、対象地域の徹底したリサーチを絶対に行いましょう。将来的な人口の増減や世帯数など、エリアの特色を把握することは商品やサービス展開にも役立ちます。

M&Aによる多店舗展開を検討している場合は、M&Aの専門家によるサポートを受けましょう。M&A Propertiesは飲食業界に関するプロの専門家を揃えております。経験と実績も豊富ですので、まずは気軽にご相談下さい。