営業利益率とは

これから飲食業に新規参入しようと考えている場合、営業利益率は重要な指標となります。 この記事では飲食業において、なぜ営業利益率が大事なのか、営業利益率の算出方法、どのように営業利益率を上げることができるかについて、具体的に解説します。


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飲食店経営の大事な指標である「営業利益率」


営業利益は、会社本業の利益を表す指標です。売上が上がっていても営業利益が赤字であれば飲食店の経営は成功しているとはいえません。売上高に対して、営業利益がどのくらいの割合で出ているかを示した指標を営業利益率といいます。

営業利益とともにM&Aの世界で重要なのはEBITDAです。EBITDAとは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略であり、償却前営業利益とも呼ばれています。売上高に対するEBITDAの割合のことをEBITDA比率と呼び、営業利益率と並んで重要な指標です。

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営業利益率とEBITDA比率の計算方法

それでは、営業利益率とEBITDA比率がどのように計算されるのかを解説します。

営業利益率の計算方法

飲食店の営業利益率は下記のように計算されます。

・売上高-売上原価=売上総利益
・売上総利益-販売費および-般管理費=営業利益
・営業利益÷売上高=営業利益率

また、各種用語は一般的に以下の意味を指します。

売上:飲食を提供し、その対価として顧客から得た代金の総額
売上原価:食材やドリンクの仕入原価など
一般管理費:家賃、マーケティング費用や人材のコスト

売上総利益率を見ることで、顧客に提供しているメニューは仕入原価にどれだけの利幅を乗せているかを分析できます。この数字が低ければ低いほど、顧客の立場からは、いわゆるコストパフォーマンスが高いレストランということになります。

ただし、上場企業でも売上原価にどのような数字が含まれているかは企業によって定義がさまざまです、そのため、上場企業を一概に単純比較することは困難です。売上総利益率を確認する際は、何が売上原価に含まれているのかはしっかりと把握するようにしましょう。

また、一言に飲食店といっても、レストラン、カフェ、居酒屋、フランチャイズ、などさまざまなタイプがあります。カフェは長時間顧客がいることが多いため回転率が悪い、居酒屋はハイボールなど原価率の低いお酒がメインで売れれば営業利益率が高くなる、フランチャイズに加入している場合は手数料を取られるため利益率を圧迫する、といった業態ごとの特徴があります。

新規に飲食店業に参入する際は、どの業態の営業利益率が高いのかを見極めたうえで参入するようにしましょう。

EBITDA比率の計算方法

EBITDA比率は営業利益から下記の調整を加えることで計算できます。

営業利益+減価償却費=EBITDA
EBITDA÷売上高=EBITDA比率

ではなぜ、EBITDAやEBITDA比率がM&Aの世界では重要視されるのでしょうか。

減価償却費は会計上のルールとして計上される過去の設備投資などの劣化する価値のことであり、実際にお金が出ていくものではありません。そのため、営業利益に減価償却費を加算して計算されるEBITDAは、獲得した営業キャッシュフローの意味も持っています。また、会計基準は日本基準、IFRS、米国会計基準、中小企業の会計基準などさまざまなものがあり、営業利益の概念が採用する会計基準によって異なります。そのため、企業ごとの比較を容易とするため、EBITDAを分析に使われることが多いのです。

たとえば、M&Aの案件の相場がどれくらいかを図るうえでも、EBITDAの何倍、といった計算式で相場を知ることも可能です。この計算式をマルチプル法と呼ぶこともあります。

また、EBITDAは上記のようにマルチプル法に使われるだけでなく、M&Aの株価算定でよく使われるDCF法にも登場することがあります。DCF法は将来キャッシュフローを割引現在価値になおすことで株価を算出する方法ですが、将来キャッシュフローを何にするかが問題となります。

M&Aの際、売手は事業計画を策定しますが、通常は売上利益といったPLベースのものです。PL上の利益はキャッシュフローでないため、これをキャッシュフローに戻す作業が必要となります。その点、EBITDAは便利な指標です。営業利益に減価償却費を足すことで簡単にEBITDAを計算できるからです。

EBITDAを算出した後は、これを将来キャッシュフローと置き換えてDCF法を使うと、簡易に株価算定を行うことができます。

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飲食店経営に営業利益率を活かす

最後に、飲食店経営においては、どのように営業利益率が活かせるのかについて説明をします。

コスト管理が利益を生むカギ

営業利益率をもとにコスト管理を行えば、経営をより効率的で安全なものにできます。人件費、家賃、売上原価について具体的に解説していきます。

人件費

営業利益率が低い原因が人件費にある場合、シフトコントロールを見直す必要があります。

もちろん、ただやみくもにシフトを抑えるだけでは現場は回りません。現場の対応可能性を鑑みながら、目標の営業利益率に近づけるようシフトコントロールを行うことが重要です。

家賃

次に考えなければならない点は家賃です。家賃は固定費であり、いったん店舗を決めてしまうと容易に家賃を引き下げられません。

解約のためには半年前に不動産オーナーに予告しなければならないなどの内容が賃貸契約に含まれていることが通常であり、解約に時間がかかるためです。また、解約しても次の空き店舗が見つかなければ移転して開業することもできません。

それでは、飲食業界において、適切な家賃はどのくらいでしょうか。成功している飲食店では、月商の10%未満に家賃を抑えている店舗が多いです。つまり、月商が500万円の飲食店だとすれば、月の家賃は50万円未満に抑えることが望ましいと言えます。

売上原価

最後に営業利益率が低い原因が売上原価にある場合です。食材の仕入コストが売上原価の大部分を占めていますが、仕入先やマーケットの状況もあり、大幅な改善は難しいと思われるかもしれません。

売上予測を鑑みながら適切な食材を仕入れることで、営業利益率の改善を目指すことが大切です。

M&A Properties が初めての飲食店経営をサポート

ここまで説明してきたように、飲食店経営を成功に導くためには、一定のノウハウが必要です。ノウハウなしにやみくもに飲食業界に参入してしまっては、成功する確率は極めて低くなってしまいます。

また、飲食店業界は一見すると単純なビジネスのように感じられるかもしれませんが、成功している飲食店経営者は百戦錬磨のツワモノばかりです。

初めて飲食店経営を目指す場合は、既存飲食店を買収するM&Aも選択肢のひとつです。その際は飲食業界に強い専門家にサポートを依頼することで、リスクを抑えたM&Aを実施することができます。
M&Aによる新規参入であれば、すでにある店舗をそのまま引き継げるため、難しい立地選択や最初の顧客を獲得すること、メニュー作り、人材採用などが必要ありません。

M&Aはゼロから店舗を新規オープンさせるよりも時間の節約が期待できます。ゼロから店舗を作る場合、立地を調査して不動産オーナーと交渉し、内装工事会社に見積もりを出し、実際の内装工事が終わるのを待ち、設備を整える、など数多くのステップがあり時間がかかってしまうのです。

M&A Propertiesも、飲食店のM&Aを高い専門知識でサポートしています。M&A Propertiesは、創業以来、飲食業における取り扱い総額が10年間で450億円という豊富なM&A実績があり、飲食店のM&Aについて熟知した、経験豊富な専門コンサルタントが在籍している点が強みです。

売り手側への打診、資料リストの作成、留意点の洗い出しなど、精密なデューデリジェンスをはじめ、飲食業界のM&Aにまつわる包括的なサポートも大きな強みです。

M&A Propertiesのサービスについてはこちらをご確認ください。

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まとめ

今回は、飲食店経営の基礎知識である営業利益率について解説しました。営業利益やEBITDAの計算式、実務でどのように使われるか、営業利益率をどう経営に生かしていくかの参考になれば幸いです。

また、初めて飲食店経営に新規参入する場合は、M&A Propertiesにて買収を考えてみてはいかがでしょうか。既存の飲食店を引き継ぐことで、ゼロからの新規オープンよりも格段に成功確率が上がります。飲食店とM&Aのノウハウや知見を持ったコンサルタントが相談を承りますので、ぜひ一度お問合せください。