クロスボーダー(クロスボーダーM&A)とは

クロスボーダーとは、国際間での取引のことであり、M&Aの当事者のうち、譲渡企業あるいは譲受企業のいずれか一方が外国企業である取引をクロスボーダーM&Aといいます。


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クロスボーダーとは、国際間での取引のことであり、M&Aの当事者のうち、譲渡企業あるいは譲受企業のいずれか一方が外国企業である取引をクロスボーダーM&Aといいます。
M&Aには、国内企業が国内企業を買収する「In-in」、国内企業が海外企業・事業を買収する「In-Out」、海外企業が日本企業を買収する「Out-in」という3つの取引パターンがあり、この内、国際間の取引である「In-Out」「Out-in」がクロスボーダーM&Aと呼ばれています。

In-Out型M&Aは、年々増加傾向にあります。日本国内の人口減少や少子高齢化などによる国内市場の縮小などの影響により、多くの日本企業が新たな市場、テクノロジー、生産拠点を海外に求めた結果です。特にアジア諸国の新興市場や、北米・欧州巨大マーケットなどへの進出が多くみられます。件数だけでなく、成約金額も大きくなってきています。
In-Out型M&Aの例としては、ブリヂストンによる米国ファイアストン社の買収、セブン&アイホールディングスによるスノコLP社(コンビニエンスストア事業とガソリン小売事業)の買収、ソフトバンクグループによる英国半導体開発大手のアーム・ホールディングス社の買収などが挙げられます。

日本のOut-in型M&Aが実行される件数は、諸外国と比べても多くないと言われています。日本国内の人口減少や少子高齢化などにより国内市場が縮小傾向にあること、それに加え、市場の閉鎖性やビジネスコストの高さ、許認可や規制の厳しさ、製品やサービスに対する消費者の要求水準の高さ、人材確保の難しさなどが原因と言われています。ただし、件数は多くないものの、近年、成約金額は大幅に増加しています。2015年には1兆200億円であったものが、年々増加し続け2018年には8兆272億円となっています。
Out-in型M&Aに関しては、2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業社がシャープ株式会社を買収するなど、主に中国系企業が大きな買収を実施する傾向があります。

クロスボーダーM&Aは大手企業ばかりでなく、最近は中小企業によるクロスボーダーM&Aも増加していますが、失敗確率は50%を上回り、成功率は10〜30%程度といわれています。海外企業相手なので、「カントリーリスク」「訴訟リスク」「環境リスク」「人的問題」などのさまざまなリスクがありますので、しっかりと検討し、進めていくことが必要となります。