M&Aの優先交渉権とは?独占交渉権との違いは何かを解説!

新型コロナウイルスの影響によって飲食業界を取り巻く環境が劇的に変化し、苦しい経営状況に立たされている会社は珍しくありません。しかし、昨今の状況下でも、M&Aは今なお盛況とされています。 ただ、厳しい環境下で飲食店のM&Aに成功させるには、交渉を有利に進める優先交渉権を得ることが重要です。 そこでこの記事では、飲食店のM&Aにおける優先交渉権について詳しく解説します。


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優先交渉権とは

M&Aにおける優先交渉権とは、複数の買い手が競合したときに、特定の買い手が他の買い手より優先して、売り手とのM&A交渉を進められる権利のことを指します。

M&A交渉を有利に進めたいなら、優先交渉権を正しく理解して、その機会を得ておきたいところです。

まずは、優先交渉権がM&Aで利用される意味や権利を得る手段など、基本事項をお伝えしましょう。

M&Aで優先交渉権が必要な理由

M&Aでは、売却を希望している会社一社に対し、複数の会社が名乗りを上げることが一般的です。こういった場合、買い手候補があげる買収条件を検討したうえで、売り手側が買い手を一社(あるいは少数)に絞って、優先的に交渉を進める権利を与えることがあります。

これが優先交渉権です。

仮に優先交渉権を設定せずに進めたとすると、複数のライバル会社が一斉に交渉することになります。そのため、デューデリジェンスに対する売り手の対応が遅れて交渉に時間がかかる、他の会社から新たな条件が提示されるごとに自社の買収条件に見直しが必要になるなど、買い手はM&A交渉に多大なコストや時間がかけることになります。

万が一、売り手から一方的に交渉を打ち切られてしまえば、買い手が受けるダメージは計り知れません。

そのため、特定の買い手が交渉を有利に進められる優先交渉権を設定することで、M&Aにおける公平性を保っているのです。

優先交渉権を持たない買い手からの買収条件が、優先交渉権を持つ買い手を上回ることもあるでしょう。しかし、あらかじめ合意された一定期間中、売り手はまず優先交渉権を持つ買い手と交渉しなくてはなりません。

優先交渉権は入札や早い段階の意向表明で得られる

優先交渉権は、入札(オークション)方式のM&A交渉において、比較的早いタイミングで付与されることがほとんどです。

入札方式でM&Aが行われる場合、売却案件が生じたときに複数の買い手候補が買収条件を提示し、同時並行で交渉が進められます。しかし、先述のとおり、交渉先が多すぎると、売り手・、買い手の双方に多大な時間とリスクを与える可能性があるのです。

そのため、入札を受け付けるタイミングで、もっとも良い条件を提示した買い手に優先交渉権を付与することが多いようです。

優先交渉権は基本合意書に盛り込まれる

優先交渉権は、入札のタイミング以外にも、基本合意書の条項のひとつとして盛り込まれることが一般的です。

基本合意書とは、買い手から売り手に提出される意向表明書の内容や、売買収価格など基本的な双方の合意事項を盛り込んだもので、売り手と買い手の双方が買収条件を確認するために作成される書類です。M&Aの最終契約に向けて、スムーズに交渉を進める根拠として用いられます。

ただし、基本合意書は、機密保持などに関わる一部の条項を除いて、法的な拘束力を持ちません。そのため、交渉中に優先交渉権を解除されるリスクが存在することを認識しておかなければなりません。あり

また影響するのが、デューデリジェンスの結果です。

通常、基本合意書はデューデリジェンスの前段階に作成されます。デューデリジェンスはM&Aの成立に大きな影響を及ぼす要素であるため、デューデリジェンスの結果よっては基本合意書の内容を変更される可能性があり、優先交渉権を失うことも考えられるのです。

優先交渉権の期間

優先交渉権は一定の期間を設定することが一般的で、おおむね2~3ヶ月間であることが多いとされます。

売り手から期間を提案されることが一般的です。しかし、M&Aの規模や交渉によっては買い手からの提案によって、設定期間を長くするまたは延長するといった対応が可能な場合もあります。

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優先交渉権と独占交渉権の違い

優先交渉権は、M&Aをスムーズに進める手段として買い手に与えられる権利です。一方、M&Aには、特定の会社が売り手との交渉を独占して進められる独占交渉権も存在します。

M&Aが最終締結に至っていないタイミングで特定の会社に独占交渉権を与えることには、一体どのような意味があるのでしょうか。

ここでは独占交渉権の持つ意味を理解するとともに、優先交渉権との違いを解説します。

優先交渉権を得ても他社との優劣はない

優先交渉権と独占交渉権は、特定の会社に売り手との交渉権を与えるという点に関してはよく似た権利です。しかし、両者には大きな違いがあります。

優先交渉権の場合、売り手は権利を持つ会社と優先的に交渉しなくてはなりません。しかし、複数の買い手が権利を保有するときにはどの会社も同列に扱われます。そのため、優先交渉権が必ずしも有利な交渉にはつながるといえないのです。

一方の独占交渉権は、権利を持つ会社のみが独占的に売り手と交渉することが認められます。そのため、独占交渉権が効力を発する期間は、他社からどれだけ好条件を示されたとしても、売り手は権利を有する会社としか交渉できません。

また、独占的な交渉を実現するため、独占交渉権は通常、優先交渉権にはない法的拘束力を持ちます。そのため、売り手が独占交渉権を付与した会社以外の買い手と交渉すれば、訴訟に発展することもあります。

あくまで優先なので他社に買収される可能性も

特定の会社に独占的な交渉権を与えることはなく、法的拘束力はないものの、優先交渉権はM&Aの成立をスムーズにする交渉の仕組みです。しかし、独占交渉権とは違い、優先交渉権における交渉はあくまで「優先」されるに留まります。

そのため、優先交渉権を与えられた買い手として交渉を進めている最中に、より高い買収条件を示した他社とM&Aが成立する可能性もあるのです。

優先交渉権を付与されても、M&Aの最終締結に至ったわけではないことを念頭に置くように注意して下さい。M&Aの成立まで、売り手は複数の買い手候補が提示する条件を検討中であることを、忘れてはいけません。

優先交渉権のメリットを享受しながらも、資産価値の調査やデューデリジェンスを適格に行い、着実に交渉を進めていきましょう。

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優先交渉権を得るには

買収を確約されるものではありませんが、優先交渉権を得れば、M&A交渉を有利に進められることは間違いありません。企業買収を検討中の経営者なら、優先交渉権をいかにして得るか、日頃から準備をしておくことが重要です。

優先交渉権を付与されるには、売り手の希望に見合った内容であるとともに、他の会社よりも好条件を提示することが不可欠です。また、最初に買収の意向を表明した会社が付与されるケースも多いことから、入札を決断するまでのスピード感も重視すべきでしょう。

そのため、業界についての入念なリサーチや、買収計画や戦略の具体的な立案など、日頃からM&Aに対する準備を怠らないことがです。

とはいえ、多忙な経営の傍らでM&Aの準備も進めるのは、大きな負担となるでしょう。そこで、信頼のおけるM&Aアドバイザーと出会って適切なアドバイスを受け、ムリなくM&A成立を目指すのもおすすめです。

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まとめ

M&Aは、買収に名乗りを上げた複数の会社と同時に交渉すれば、成立までに何年もの長い時間を要する可能性があります。優先交渉権を設ければ特定の会社との交渉を優先できるので、スムーズな契約締結につながります。

ただし、たとえ基本合意書の条項として記されたとしても、優先交渉権には法的な拘束力はありません。そのため、権利を反古にされて、優先交渉権を持たない他社との間にM&Aが成立する可能性を考慮しておく必要があります。

M&Aを成立に導くためには、まず優先交渉権を得るために日頃から準備をしておくこと、そして飲食業界の事情に精通したM&Aアドバイザーに相談することが大切です。

飲食業界のM&A事情に精通したM&A Propertiesであれば、豊富な実績と経験からM&Aの契約締結までしっかりとバックアップいたします。ぜひ一度ご相談ください。