劣後ローンとは、他の債権よりも支払いの優先順位が劣る融資のことを指します。
どちらかというと株式(特に無議決権優先株)に近い性質を持っている為、金融機関(銀行や証券会社)などからは自己資本規制比率上の自己資本の一部としてみなされますが、企業会計上では負債として扱われます。
メザニンファイナンスの手法の1つで、シニアローンに比べて返済順位が低く、金利が高いローンです。メザニンローンとも呼ばれています。
シニアローンでの調達資金に不足が発生した場合に主に利用されています。
劣後ローンの特徴としては、無担保、利率は業績に応じて上下、期限一括償還、資本性ローンとして扱われることが多い、などがあります。
また、借り手は破産時の返済義務がなく、すべての債権者への弁済を終えてなお残額がある場合に返済が行われます。
劣後ローンは、多額の資金を必要とするがまだ財政が安定していないベンチャー企業や、自己資本比率が悪く債務が多いとみなされる企業が自己資本比率対策向上の目的で利用する場合もあります。
最近の劣後ローンの調達事例としては、2020年10月のANAホールディングスが挙げられます。
融資額は合計4000億円となり、三井住友銀行と日本政策投資銀行からそれぞれ1300億円、みずほ銀行が600億円、三菱UFJ銀行が500億円、三井住友信託銀行が300億円で調整されました。
成長投資のための長期性資金を確保すると同時に、財務の健全性を維持・向上させることを目的として、劣後ローンによる資金調達を実施しました。
劣後ローンは負債でありながら資本に類似した性質および特徴を有していることから、格付機関から借入額に対して50%の資本性の認定を受けられる予定であり、株式を希薄化させることなく実質的な財務構成比率を改善し、財務の健全性を高めることが可能となると説明がありました。