飲食店なら絶対知っておきたい!食品に対するアレルギーについて

飲食店なら絶対知っておきたい!食品に対するアレルギーについて

アレルギーにはさまざまな種類があります。薬や自然物、食品や金属といったようにその種類はたくさんありますし、そこのなかでさらに細分化されています。ただ今回はそのなかから、飲食店と深い関わりのある「食物アレルギー」についてだけ取り上げていきます。


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食中毒を出したらそのお店は非常に厳しい立場に立たされます。しかし食中毒と同様、お店の存続にまで関わってくるものがあります。それが、「アレルギー」です。

食物アレルギーとは何か

アレルギーにはさまざまな種類があります。薬や自然物、食品や金属といったようにその種類はたくさんありますし、そこのなかでさらに細分化されています。ただ今回はそのなかから、飲食店と深い関わりのある「食物アレルギー」についてだけ取り上げていきます。

食物アレルギーは、アレルゲンとなるものを何らかのかたちで摂取したときに起こります。本来は無害な成分なのですが、体はそれを「有害物質だ!」ととらえて大騒ぎをすることがあります。その結果として、有害物質を外に排除するためのさまざまな症状が出てしまうのです。

症状は実にさまざまですが、嘔吐や頭痛、ぜんそくやじんましん、下痢などがその代表例です。ひどい場合は意識の混濁、さらには死亡にまでつながります。

食物アレルギーのなかには、「代表例」が存在します。起こる人が多くて、かつアレルギーが出た場合重篤な症状に繋がる恐れが高いものを「特定原材料7品」としています。これの表記は法令で定められており、どの食品にも必ず記されています。

特定原材料7品目は、以下の通りです。

・卵
・乳
・えび
・カニ
・小麦
・そば
・落花生

食物アレルギーのひどさは、症状以外にも「どんな状況下で反応するか」によってもわけられます。

たとえば、カニがだめな人の場合、「カニに触れるだけでもアレルギーが起こる」「カニを扱っていた人が触れた物品にさわるだけで食物アレルギー症状に苦しめられる」などです。その人それぞれ出方は違いますが、いずれの場合にせよ、決して軽視はできません。

食物アレルギーに関する知識の共有が大切

食物アレルギーは、持っていない人から見れば「ただの好き嫌い」に見えてしまいかねないという恐ろしさがあります。また、たとえ「食物アレルギー」というものの存在は知っていたとしても、その症状が命に係わるものだとはわかっていないケースもあります。さらに、「食物アレルギーはとても大変なものだけれど、この食品や料理にはその材料は使っていないみたいだから大丈夫だろう」と考える人もいます。

実例その1 知識不足から・・

食物アレルギーではないものの、私はラズベリーが非常に苦手です。唯一食べ物のなかで食べられないのが、このラズベリーなのです。
そのため、どこのお店に行っても、必ずラズベリー抜きでと注文をしています。

しかしあるお店で、それを2回も告知していたのにも関わらず、出てきたのは「フランボワーズソースを使った肉料理」でした。

フランボワーズはラズベリーのフランス語表記であり、同じものです。つまり私は食べられません。しかしサービス担当の人が新人で、「フランボワーズとラズベリーは違うものだ」と考えていたわけです。そのためシェフにそれを伝えておらず、フランボワーズを使った料理が出てきてしまったのです。

これはただの「好き嫌い」の話です。食物アレルギーと好き嫌いは違います。しかしこの問題は、そもそも新人のスタッフが「ラズベリーとフランボワーズは違うものだ」と考えていたところです。もし私が、「ラズベリーを食べるとアレルギーが起こるので、除いてください」と言っても同じことが起こるでしょう。

このように、食物アレルギーを防ぐためには、料理や食材の知識も踏まえた勉強が非常に大切です。新人には、「好き嫌いやアレルギーがあると言われた場合は、『その日のメニューにはその食材は含まれていないな』と自分で確認するだけでなく、ほかのスタッフにも共有するように」としっかり教育すべきです。

実例その2 お店が実際につぶれたケースも

先ほどあげた例は、まだましなものです。もっとひどいケースで、このような実例があります。

あるお客様から、「この料理に○○は入っていませんか。私は○○がアレルギーなので」と尋ねられたスタッフが、「入っていませんので安心してお召し上がりいただけます」と回答しました。たしかにその料理には、目に見える形でアレルゲンは入っていませんでした。しかしエキスとしてスープのなかに混ぜられていたわけです。

お客様はその料理を食べた後、意識不明になりました。スタッフの責任は当然追及されましたが、お店自体もその後つぶれることとなりました。

お客様からすれば、「入っていない」と断言されているから絶対に大丈夫だと思って安心して口に運びます。スタッフも、「形はないし、自分で食べたときにも○○の味はしなかった。だから大丈夫だ」と判断したのでしょうが、アレルゲンの有無は見た目や味では判断できないこともあります。

このため、「アレルギーです」と言われた場合は、必ずその全成分表を確認してお出ししてください。高級店と言われるお店の場合、成分表のチェックを2人態勢で行っていることもあります。

食物アレルギーは、人の命も店の命も奪ってしまいかねないものです。自分自身が被害者や加害者にならないために、しっかり勉強をしていきましょう。