写真の撮り方で「おいしさ」が決まる!飲食店にふさわしい照明のあり方

写真の撮り方で「おいしさ」が決まる!飲食店にふさわしい照明のあり方

私たちは普段、私たちを照らしている照明の種類にまで気を配りません。しかし料理の写真や料理本体は、照明の違いによってその表情を大きく変えます。照明にまで気を配ることは、料理をおいしく見せるためにとても重要なのです。


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まだ行ったことのないお店の情報を得るとき、私たちはインターネット上の情報を参考にします。該当店舗を検索して、そこに載っている料理の写真を見て、「おいしそうなところかどうか」を見定めます。これはお店に入った後も同じです。写真付きのメニューブックを見て、その料理が魅力的なものかどうか判断するでしょう。

そのとき、料理の印象を左右するものに「照明」があります。この「照明」は、写真だけでなく、実際の料理の味をも左右するものです。

5つの写真から見る「料理の照明」について

ここに、一眼レフで撮った写真が3枚あります。これらはすべて同じ角度、同じ料理、同じ調度品で同じ撮影者が撮ったものです。

①一眼レフライティング

一眼レフライティング

②一眼レフ室内灯

一眼レフ室内灯

③一眼自然光

一眼レフ自然光

①の写真は、一眼レフをライティングで撮影したものです。この方法を使うと、被写体がくっきりはっきり明瞭に映り込みます。とても清潔な雰囲気を出すことができ、被写体の状態をわかりやすく記録するにはとても向いています。

室内灯は、「どんな灯りを使うのか」によって大きく変わります。(詳しくは後述します)
ただ、オレンジ系統の色合いを使うと、料理が「あたたかさ」を持った状態で映り込むため、とてもおいしそうに見えます。

3枚目の写真は、自然光のなかで撮ったものです。一般的に、写真を撮るときは自然光のなかでシャッターを切るのがもっともよいとされています。写真が暗く落ち込むことがありませんし、自然の柔らかい光を映し出すことができるためです。

腕のいいカメラマンに自然光のなかで撮ってもらうのが一番理想的です。ただ、すべての料理の写真をそのようにして撮れるか、というと少し難しいかもしれません。自然光での撮影は、時間帯などにも左右されやすいからです。そのことを踏まえたうえで、選ぶべき照明を考えましょう。

④スマホ室内灯

スマホ室内灯

⑤スマホ自然光

スマホ自然光

こちらの2枚は、スマートフォンで撮影したものです。1枚目は室内灯、2枚目は自然光で撮ったものです。

現在のスマートフォンは非常に画質がよく、料理の写真もきれいに撮ることができます。自分が「客」の立場で来店したときに思い出として撮影する場合などは、スマートフォンのカメラでも十分でしょう。

ただ、お店のメニューブックやホームページに載せる場合は、やはり少し力不足です。これも確かに美しいのですが、同じ光・同じカメラマンが一眼レフで撮影したときに比べるとやや見劣りします。

「仕事」として撮る写真であるのなら、やはり一眼レフを使い、プロにお任せした方がよいでしょう。

白熱灯と蛍光灯、そしてLED

上では「室内灯で撮影した」としましたが、室内灯にもいろいろな種類があります。それについて見ていきましょう。

一般的に、料理の写真を撮影するときには、蛍光灯の光はそぐわないと言われています。蛍光灯は非常にクリアな灯りを放つため、会議室などにはとても向いています。しかし料理に当てた場合、どうしても冷たい印象に仕上がってしまいます。また、平坦でのっぺりした表情になるため、料理に立体感を出すことが難しくなります。

料理に向いている照明としては、一般的には、白熱灯がよいと言われています。料理の表情を際立たせ、柔らかい雰囲気を作ることができるからです。特に赤色や緑をきれいに見せることができるため、おすすめの照明です。

ランニングコストを考えたときに採用したくなるのがLEDライトです。これも大変優れた光なのですが、「白熱灯がよいか、それともLEDライトがよいか」については評価が分かれています。「白熱灯がよい」とする説もあれば、「LEDが一番だ」とする説もありますし、「優劣は就けにくい」とする説もあります。LEDを使うのであれば、光の色に注目して選ぶと良いかもしれません。

LEDは非常に優れたコストパフォーマンスを発揮する照明ですが、その特性上、明るい色の部分がやや青~緑がかって見えることもあります。これは、車のライトが青っぽく見えることを踏まえて考えれば納得できるのではないでしょうか。一般的に、飲食店では寒色系の色味は避けるべし、と言われています。そのため、LEDを導入しようと考えるのであれば、この点にも注目しておきたいものです。

もし可能ならば、白熱灯とLEDの両方を1つずつ購入してみて確かめると良いでしょう。同じ料理、同じ時間帯のときに照明だけを変えてみるのです。こうすることによって、自分のお店にふさわしい照明がどちらなのかを判断しやすくなります。

もちろん、「色の見え方」「何をおいしそうと感じるか」は人によって見方が違いますので、なかなか「正解」はありません。コミュニケーションの一環として、店の従業員や家族にアンケートをとるのもよいでしょう。

私たちは普段、私たちを照らしている照明の種類にまで気を配りません。しかし料理の写真や料理本体は、照明の違いによってその表情を大きく変えます。照明にまで気を配ることは、料理をおいしく見せるためにとても重要なのです。