飲食店の食中毒予防は厨房内の「菌対策」を万全に!

飲食店の食中毒予防は厨房内の「菌対策」を万全に!

飲食店を開業するために必ず行わなければならないのが、“厨房内の衛生管理”。その中でも、菌対策は万全にしておかなければなりません。一度でも食中毒を引き起こしてしまえば、お店の信頼は地に落ちてしまいます。お店を名実共に人気店にするためにも、厨房内の菌対策を確実なものにしてく必要があります。


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飲食店を開業するために必ず行わなければならないのが、“厨房内の衛生管理”。その中でも、菌対策は万全にしておかなければなりません。一度でも食中毒を引き起こしてしまえば、お店の信頼は地に落ちてしまいます。お店を名実共に人気店にするためにも、厨房内の菌対策を確実なものにしてく必要があります。どこに菌がいて、菌はどういった症状を引き起こすのか…そして、菌に対してどう対策をとるべきなのかを知っておきましょう!

どういった条件で菌は存在してしまうのか

食中毒を引き起こしてしまう主な原因として、細菌とウイルスの2種類があります。温度や湿度といった環境条件がそろってしまうと爆発的に数が増えてしまい、その食品を食べた人に様々な症状を引き起こしてしまうのです。

細菌として代表的なものが腸管出血性大腸菌(O157)。気温7度から増殖を開始し、人間の体温前後で一番増殖します。細菌は主に夏場に大繁殖をするので、細菌性の食中毒は夏場に多くなります。湿気が大好きなので、水気の多い厨房内は細菌が生存・増殖するにあたって最高の環境といえるためです。厨房内の野菜庫から床、調理台、洗い場と全て細菌の繁殖に好環境になるので、いかに細菌を入れず、そして増殖しないようにするかがカギとなります。

ウイルスが原因での食中毒で代表的なものがノロウイルス。主に冬場に流行します。調理者の血液や体液が食品に付着して感染する場合と、二枚貝がもっているウイルスが大繁殖して引き起こされる場合があり、飲食店や給食施設等で発生すると大規模な被害が出ます。年間の食中毒患者数のおよそ半数を占めるほどの猛威をふるうので細心の注意が必要です。ウイルスに関しては、厨房内の“どこか特定の場所で増殖する”というわけではなく、厨房内で働く人間によって媒介・感染するものなので、調理従事者がいかに衛生的に調理を行うかにかかっています。

菌にはどう対策をすれば良いのか

食中毒を引き起こす細菌にどう対策をすれば良いのか、悩ましいところですよね。食中毒の予防には、厚生労働省が発表している“食中毒予防の3原則”というものを遵守しなければなりません。その3原則とは、下記の通りです。

食中毒菌を付けない

菌を調理器具はもちろん、調理従事者の体に付着させないことが大事。細菌やウイルスを持っている可能性のある肉や魚介類といった加熱が必要な食材と、野菜といった加熱の要らない食材とを完全に分けて下ごしらえをする必要があります。まな板と包丁を加熱用食品と生食用食品とそれぞれで専用のものを用意し使い分けるのがオススメです。また、使用後の洗浄も確実に行うようにしましょう。特に、調理(閉店)後の厨房内の細菌が付着したままのまな板で菌が増殖してしまうリスクを避けるために、殺菌用機械の導入も検討してみると良いでしょう。

手指の洗浄方法の徹底と調理従事者の意識統一も重要です。手を洗う際には必ずハンドソープを使用し、手の平や手の甲だけではなく爪の間や手首までしっかりと洗浄を行うことが重要です。手洗い場と調理用の流し台を必ず分けること、そして手洗い場の前には手の洗浄方法を記載した張り紙を用意するなどして“手洗いの徹底・周知”を図り菌を付けないための習慣づけを行いましょう。

食中毒菌を増やさない

菌をゼロにするというのは大変難しいことです。厨房内の菌を“完全に無くす”ことを考えるのではなく、厨房内に存在する菌を“悪さをしない数にとどめておく”ことが重要です。菌を増殖させないために、清掃を徹底することが必要不可欠です。調理段階で出た食品廃棄物や食べ残しを厨房内に放置しないことが大前提。食べカス・食材の欠片に至るまで徹底して厨房内に残さないようにしましょう。

食中毒菌をやっつける

菌もウイルスも、加熱に弱いというのが大きな特徴です。肉や魚は特に気を付けて、もちろん野菜も加熱をしっかりと行って提供すれば安全といえます。加熱の方法として目安になるのが“中心部を75℃で1分以上”。サッと火を通したから大丈夫、という意識だと危険ですので、加熱するということは“中心部まで火が通った状態にすること”だと調理従事者には意識の共有をしましょう。

また、まな板や包丁の手入れと洗浄はもちろん、お手拭きといったタオル類にも注意が必要です。いくら手指や調理器具を洗浄しても、それを拭くタオル類に菌が付着していてはどんなに対策を取っても菌をやっつけることができません。タオル類は洗濯すれば良いということではなく、洗濯前に食器用洗剤を用いて手洗いで洗浄し、その後熱湯をかけて殺菌、その後に洗濯機で洗濯をする…というプロセスを踏んで行うことでより菌をやっつけることが可能です。

望ましい厨房のあり方とは…

厚生労働省のガイドラインに基づき、具体的な対応策について記載してきました。望ましい厨房の在り方について、理解を深めることができたでしょうか。飲食物を取り扱うということは、衛生管理が徹底されていることが大前提になります。そのためには、菌が繁殖できない清潔で温度管理が行き届いた厨房を保つと同時に、調理従事者の意識と行動管理も徹底することが必要なのです。