内装制限とは、建物内部で火災が発生した際に、火災の拡大や有害なガスなどの発生を遅らせて安全を確保するために、内装に関する規制を設けて制限することを意味しています。
内装制限は「消防法」と「建築基準法」という2つの法律によって規定されています。
消防法による内装制限では、火災予防や、防火、消火を目的としており、消火栓の設置(どこにどれだけ設置するか)を義務付けています。
建築基準法による内装制限では、火災初期の段階での安全避難を目的としており、炎が急拡大して避難を妨げることがないよう、壁や天井の仕上げに準不燃材料(または難燃材料)の使用が義務付けられています。
建築基準法による内装制限は、建物の用途や規模により異なりますが、一般的に制限を受ける内装は、1.2m以上の高さの壁部分、及び天井となっていて、床や建具などは対象外となっています。
建築基準法では、内装制限の対象となる建物の種類が定められています。
対象となるのは「特殊建築物」と呼ばれるもので、具体的には以下のような種類の建築物に、内装制限がかかる可能性があります。
1.劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
2.病院、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等
3.百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業
4.自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ又はテレビスタジオ
5.地下又は地下工作物内に上記1、2、3の用途の居室を有するもの
内装制限の対象となる建築物でも、内装制限がかかるかどうかは建物の面積などにより細かく決められており、「内装制限一覧表」で確認することが出来ます。
飲食店の場合、内装制限対象となる建物内の面積の基準は以下のようになります。
耐火建築物・・3階以上の部分の床面積の合計が1,000㎡以上のもの
準耐火建築物・・2階の部分の床面積の合計が500㎡以上のもの
その他の建築物・・床面積の合計が200㎡以上のもの
特殊建築物の条件に当てはまらなかったとしても、建築物の規模が大きい建築物、窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、調理室等火を使う設備を設けた建築物は建築基準法により内装制限の対象となります。
また消防法によって定められている消火栓の設置にも独自の基準が設けられています。
内装制限に適さない建物をつくるととみなされる場合がありますので、確認が必要です。