店舗サブリースとは?仕組みやメリット・デメリット、起こりやすいトラブル

サブリースには、賃貸住宅のサブリースと店舗のサブリースがあります。今回はオーナー様向けに店舗のサブリースについて、仕組みやメリット・デメリットをわかりやすくご紹介します。


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店舗サブリースとは

一般的に「サブリース」とは、不動産会社が物件オーナーから物件を借り上げ、その物件を借りたいという人に不動産会社が転貸する(又貸し)という方法です。
そのため、物件オーナーと借主は直接契約を結びません。

サブリースには賃貸住宅のサブリースと店舗サブリースがあり、賃貸住宅のサブリースは一棟丸々不動産会社が借り上げることが一般的ですが、店舗サブリースの場合は、物件オーナーが持っている物件を一棟丸々借り上げるとは限りません。
物件の中で、店舗物件として貸し出す部分だけを不動産会社が借り上げて、テナントへ貸し出すこともあります。
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店舗サブリースの仕組み

ではここで、店舗サブリースの仕組みについてご紹介します。

まず店舗サブリースをせずに、直接テナントに貸す場合について見ていきましょう。

1、物件オーナーまたは管理会社が、借りてくれるテナントを探します。
2、店舗として使いたいと希望してきたテナントが複数いた場合は、業態や条件面などからテナントを選びます。その後、物件オーナーとテナントとで賃貸借契約を結び、テナントから毎月の賃料をもらいます。
3、テナントとの間にトラブルが起こった場合はその対応をしなければなりません。
4、テナントが退去した場合、原状回復を経て次の借主を探すため1に戻ります。

このように、テナントとの直接契約の場合はオーナー自身がテナント募集から物件管理、テナント対応までのすべてを行う必要があります。
また、テナントによっては賃料の未払いが発生することもありますし、店舗運営の専門知識なども物件所有者側で持っていないと対応が難しい場合があります。

さらに、次の借り手が常にいるとは限らず、借り手がいない場合は物件があっても無収入になる期間があることも覚悟しなくてはいけません。

それに対して、不動産会社が間に入ったサブリース契約の仕組みは、
1、物件オーナーと不動産会社とで賃貸借契約(マスターリース)を結びます。
2、不動産会社から毎月の賃料が入ってくるのでそれを受け取ります。
3、テナントとの間にトラブルが起こった場合は不動産会社が対応するので物件オーナーが対応する必要はありません。
4、テナントが退去した場合、不動産会社が新たなテナントを探しますので物件オーナーおよび管理会社がテナントを探す必要はありません。

ただし、不動産会社から入ってくる賃料は、テナントと直接契約でもらえる賃料よりも安くなることもあります。
ですが、物件オーナーとしてしなければいけない事が格段に少ないというのが特徴です。
テナントの募集から、賃料未払い発生リスク、トラブル対応、物件メンテナンスまで全てを不動産会社が行ってくれるという仕組みです。

さらに、物件オーナーが直接テナントを探す場合は空室リスクもありましたが、サブリース契約は、間に不動産会社が入ることでそのリスクもなくなります。
これは店舗にテナントが入っていなくても、不動産会社は常に物件オーナーの店舗を借りていることになるからです。

店舗物件として貸し出し、運営をするならば、
①高リスク高収入のテナントとの直接契約
②低リスク定収入の店舗サブリース

双方の仕組みを理解しておきたいところです。
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住宅サブリースと店舗サブリースの違い

ここまでサブリースの仕組みについて紹介してきましたが、よく混同されがちなマンションなどの住宅サブリースとお店が入る店舗サブリースの違いについてもご紹介します。

マンションなど賃貸住宅でのサブリースは建物のすべての部屋の一括借上げが一般的ですが、店舗サブリースの場合は一括借上げとは限りません。
物件オーナーが持っている物件の一部のみをサブリースすることもあります。

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店舗サブリースを利用したときのデメリット

店舗サブリース契約をすると、細々としたことをしなくても安定した賃料を得られるのですが、物件オーナー視点に立った場合に問題点もいくつかあります。
ここではそのうちの5つをご紹介します。

①テナントとの関係性
店舗サブリースを利用する利点として、テナントとの直接契約をしないという点がありますが、直接関わらないということは、物件オーナーとしてテナントとの関係の構築が難しくなることが考えられます。
万が一、何かトラブルが起きた際も物件オーナー側で直接対処ができず、サブリースを依頼している不動産会社の対応待ちという状態になりやすいので、直接対応はできなくとも、日頃からコミュニケーションを取っておくことで、事故やトラブルの拡大を抑えられるかもしれません。

②店舗サブリースを依頼した不動産会社の対応力
物件の運営にトラブルはつきものですが、サブリースを依頼した不動産会社の対応が悪いと、余計なトラブルに発展する場合もあります。
サブリースを依頼する際には、依頼する不動産会社の評判も気にしておいたほうが良いでしょう。

③どんなテナントが入るかわからない
店舗サブリースの仕組みとして、テナントと契約するのが不動産会社になるため、物件オーナーが想定していないテナントが入ってくる場合もあります。
入ってほしくないテナントの業態などがあれば、不動産会社に前もって伝えておくか、契約書に記載しておく必要があります。

④直接契約よりも賃料が少ない
サブリースを利用すると、空室リスクなく毎月一定の賃料が入ってきますが、テナントとの間に第三者(サブリース会社)が入るので、テナントと直接契約をしたときに入ってくる賃料と比べると、収益が少なくなるのが一般的です。ただし、管理会社と契約する必要がないので、その分の費用が節約できます。

⑤近隣住民との関係性
どんなテナントが入るのかはサブリースを依頼した不動産会社にかかっているため、もし臭気が強いテナントが入ったり、騒音等の賑やかなテナントが入った場合に、近隣から苦情が来ても対応が難しく、問題を解決できない場合もあります。
この場合、近隣に住んでいる人や物件を持っているオーナーと、借主であるテナントとの関係性が悪化することもあります。

未然に防ぐことのできる問題もあるのでサブリースを利用する際には十分に気をつけましょう。
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店舗サブリースのメリット

では店舗サブリースのメリットについても紹介したいと思います。ここまでにもいくつかメリットとなることを書いてきましたが、以下の4つにまとめました。

【1】テナントの解約後の対応
入居しているテナントがあっても、永遠に借り続けてくれるわけではありません。テナント側から解約を希望される場合もあります。
その時に、直接契約をしているのであれば、再度新しいテナントを探す必要がありますが、サブリースを利用していれば、契約をしている不動産会社が全て行います。

【2】安定した賃料収入
店舗サブリースを選ぶ人の中で一番重きを置いているのが、安定した賃料収入という人もいるぐらい魅力のあるメリットです。
テナントと直接契約をしている場合、入居しているテナントがいる間はいいのですが、次のテナントを探している間は空室となるため、賃料収入がゼロになります。
サブリースを利用していれば、テナントが入っていても入っていなくても、契約している不動産会社が物件オーナーに賃料を支払う仕組みなので賃料収入がゼロになることはありません。

【3】契約手続きや物件管理・工事対応などを行わなくて良い
入居テナントとの契約手続きや、物件管理・工事対応というのは、慣れていなければ時間もかかりますし、ある程度の知識も要求されます。
サブリースの仕組みを利用すれば、それらの業務はすべて依頼している不動産会社が行います。

【4】テナントの管理やトラブル対応もおまかせできる
物件にテナントが入っているときは、サブリースを依頼している不動産会社とテナントが契約を結んでいるため、賃料管理やトラブルが起きたときの対応はすべて契約をしている不動産会社が対応します。

以上のように、細々としたことから専門的なことまでサブリース契約をしていれば、不動産会社が対応してくれる仕組みになるので、物件オーナーとしてはとても安心して不動産経営ができるようになります。
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サブリースを依頼する不動産会社の選び方

最後に、サブリースを依頼する不動産会社をどういった基準で選ぶとよいか簡単なポイントをご紹介します。

・出店希望テナントとのネットワークが多くある不動産会社かどうか
出店希望をしているテナントとのネットワークがあれば、テナントが決まるまでのリーシングがスムーズになります。
安定して貸出ができるので、空室期間を減らすことができます。

・店舗専門の不動産会社かどうか
住居と店舗では物件に対する知識や運営方法が大きく違います。
そのため、住居にだけ強い不動産会社ではテナントとの間にトラブルが起きた時に対応ができない可能性があります。
そのため店舗専門の不動産会社の方が安心です。

・店舗サブリースの契約実績があるかどうか
店舗のサブリース契約をこれまでも行ったことのある会社であれば、契約実績としてホームページに載せていたり、こちらから尋ねた時に実績を見せてくれたりします。
経験のある会社にしかわからないこともありますので、選ぶ際には確認してみましょう。
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